自分と相思相愛最強説
ときおり思い出すことがある。
きっともしかしたら、誰もが経験したり感じたことのある痛みかもしれない。
好きな人や付き合ってた人に、自分のこころの一番やわらかい大事な部分を知ってもらいたくて、恐る恐る、出したことがあった。
今ならわかることは、わたし自身がそれを出したことで相手の反応をみたい、なんならそんな大変なことがあったんだね、って慰めてもらいたかった気持ちがあった気がする。
そしてそれはお互い好きであろうが、なんだろうが、相手にとってはいろんな意味で重荷になるであろうということまでは、そのときのわたしはわからなかった。
『あなたは、それがあったから自分のことを特別だって思ってるでしょ??』
パンチの効いた答えが返ってきた。
なるほど、そういう捉え方もあるのか、と冷静に思う自分と、ええええ、ま、まじか、やばっ…超かなしいんですけど!泣きそうなんですけど!と若干ギャル味をおびたコメントも同時に出てきた。
たしかに、特別だって思ってたかもしれない。
その出来事はわたしにとって衝撃であり、大きなことだったから。
一緒に仲良く食べてたはずの皿うどんの味が一気にしなくなった。
昼から気分良く飲んでたビールも、結露とともにどんどん苦く、温くなる。
『そうかもしれない』
そう答えた。
でも、仮にそうだとしても。
もし今のわたしが、そのふたりの後ろの席で同じく、たまたま息子とランチ中昼ビールかっくらいながらその会話を聞いていたとしたら。
『あのーすいません、ちょっとよろしいですか??特別じゃない人間なんてこの世に存在するんでしょうか??あらっあなたもしかして自分のことを特別じゃないと思ってらっしゃる??そりゃまた大きく出たもんだ!ほらほら、彼女も冷たいビールでも、あっすいませーん!!生ひとつくださーい!!あっ突然すいませんね、ちょっと耳にはいってきたもんだから!ちなみにわたしは自分のことをちょーーーーーうぜつ特別だと思ってますよ。こんなに日々、人間がんばってやってきて、38歳までこんなやわらかくすぐに壊れてしまうような肉体とこころを持ってして今日まで生きてんですから。何があっても、どんなことでもかみ砕いて消化して、なんならまた呑み込んで栄養にして生きてるわけですから。ふつうに超絶!!特別でしょう。彼女、大丈夫、今のことだってめっちゃくちゃ良い栄養になって、なんならこの出来事もいつかは笑い話のネタになるし、違う視点からの自分の気づきの材料にもなる。大丈夫!!あなたはめちゃくちゃ魅力的だから!!あっすんません、ありがとうございます!はい、生!あなたはめちゃくちゃ特別です!!乾杯💖っつーことで!!』
と乱入するやばいやつになることでしょう。
未来の自分からしたら、そのときのわたしをめちゃくちゃ可愛がってあげたい。
その想像をしただけで、涙がにじむぐらいわたしが救われるのです。
過去は変えられる。
未来の自分が、つらいことやかなしいことがあったときのことはあまりちゃんと思い出したくないかもしれないけど。
そのときの自分をあらためて客観的にみて、今のわたしなら、そのときのわたしになんて声をかける?声をかけなくてもそばにいる?大好きな飲み物を知らないふりしてあげる?気を紛らわせるために目の前でずっこけてみる?
ちょっとでも気が楽になって欲しい、喜ばしたい、いいんだよ、そのままで、つらいかもしれないけど、大丈夫だよ大好きだよって、言ってあげたい。
そういう出来事は生きてるうちにみんないくつかあると思うから。
もちろん、ひとから救われることもたくさんある。きっと、救うことも。
ただ、常に一緒に、産まれてから死ぬまで常に常に一緒にいるのは自分自身だから、今も一緒だし、圧倒的に会話しやすいんだな。
わたしも長らく自分のことをいじめたり、罵ったり、厳しく厳しくしていた部分があった。
そしてちょっと前にそれをやめたのだ。
なぜかというと、本当に人とかかわり合いたいって心から望んだときに、どうしていいかわからなくなったことが最近あった。
まずやり方もわからなければ、何からしていいのかもわからない。
本にもネットにも心理的に、とかいろいろ情報はあれど、やってもやってもうまく行かない、しっくりこない。
いやだなぁ、なんでだろう?そういう性格なのかな?むりなのかなぁ、もうだめだ、わかんない、わたしがわかんないから結局だめなのかもしれない。
と自分をまただめだと思った瞬間、
とんでもなく自分がかわいそうになった。
どうしていつもわたしはわたしのことをダメって言うんだろう?
他の人にはダメとか、罵ったりとか、そんなことも出来ないの?とか言ったりしないのに。
自分には、なんでも言っていいと思ってるじゃん。
厳しくしたほうがいい、すぐに甘えるし、向上心がなくなる、とか、自分にはすぐ言うじゃん。
なんで?
なんでわたしにはやさしくしてくれないの?
甘えさせてくれないの?
大好きって言ってくれないの?
きらいなの?
って、ぶわぁーーーーってほんとの子どもみたいな本音の本音が流れ込んできたのです。
もうそれで、思わず自分のこと思いっきり抱きしめながら、ごめんごめんねっほんとにごめんっなんで自分のことは厳しくしなきゃとか、罵っていいとか、甘えるからだめ、とか思ってたんだろう、本当にごめん、今まで本当にごめんね、遅すぎるかもしれないけど大好きだよ、いつも一緒にいてくれてありがとう、ずっと一緒にいてくれてありがとう、産まれてから死ぬまで一緒にいてくれてありがとう、ごめんね、大好きだよ、と一時間ぐらい号泣しながら自分と仲直り、からの両思い、そして相思相愛になったのです。
それはそれはまた人生にとっても衝撃的な出来事で。わたしはその瞬間から、自分にとっても甘々な溺愛彼氏のようになったのです。
しかしながら、モラハラ彼氏(己の内側のね)と長いこと付き合ってたのでなかなか脳みその癖があるのです。気を抜くとすぐにまた、モラハラしてこようとするので、そんなときに脳みそを言葉でムリヤリアップデートします。
しあわせだなぁ!とか、わたしの人生最高だ!!わたしってなんて魅力的なんだろう、あぁしあわせだぁ、とかもし思ってなくても口に出すのです。
たとえば『今目の前にあるもので赤いものを探してみて』って言われたら、みんな即座に赤いものを発見できると思うんだけど。
それと同じく、だめって言えばだめなものを脳はみつけようとするし、しあわせだぁと言えば脳はしあわせなものを見つけようとする性質があるっていうのを聞いた。
それ最高じゃん?
もちろん、かなしいとか苦しいとかという感情がだめなわけでなく、それはそれとして感じ切って。
で、ちょっと落ち着いたところで、うん、でも、わたしの人生って最高だな、ありがとう自分、大好きだよ。いつもわたしの味方でいてくれて本当にありがとう。
と、なる。
そして不思議なことに、自分自身と相思相愛になってから、今までだったら友達にも家族にも好きな人にも、好きだの大好きだの言ったことなど無かったのに、言えるようになってしまったのだ。
なおかつ、好きとか大好きとか気恥ずかしくて受け止めきれんかったものが、全力で受け止めるうえに、うれしい!!ありがとう!わたしも大好きだよ!とか言えちゃうようになったのである。
なんだこれは?
え、すごくないか??
自分と両想いになるって話には聞いてたけど、リアルにやったら本当にすげーぞ…??
となったのである。
ってか、なんの話してたんだっけ?笑
ほらーすぐ長くなる!これもわたしのいいところ❤
とか、こんなふうになるのである。
あああ、もう気づけば深夜の二時じゃんかよ。夜っていいよね!!
自分と両想いになった話じゃん、結果的に。
しかして、まじおすすめなのでそのチャンスがきたらぜひラブラブになってみてね!
坂田米米子 memeco sakata
佐藤寛子