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場がないから深まる関係性、の話

「共通の場がないのに繋がりがある」って、かなり稀有で素敵なことじゃないですか?

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高校や大学など、学生時代はめちゃくちゃ仲良かったのに環境が変わっただけで、疎遠になってしまう人はいっぱいいる。
毎日のように話してたのに、卒業後は1回も会っていないなんてザラにある。

全然会ってない友達をSNSで見ると少し寂しく思うけど、その人に誘われて「うん」とは言えない気もするし、お互い様でしかない。


これは、コミュニケーションコストが圧倒的に高くなったからなのだと思う。

学校や職場という毎日足を運ぶ場があれば、コミュニケーションコストは圧倒的に低い。
惰性、とまで言うと悪いけど「そこにその人が居るから話している」って感覚。深く考えずに日々話すし、ご飯を一緒に食べたりする。

その中で共通の場がなくなると、意識的にコストを払って話す場所や集まる場所を作らないといけない。結果、「そこまでして会わなくてもいっか…」となる。


要はめんどくさいんだ。
久しぶり!と連絡して、日程を調整して、集合場所を決めて…etcがめんどくさい。そこまでの関係性じゃないな、となる。

こうして会わない期間が長くなると、よっぽどじゃないと連絡さえしなくなる。同窓会で会っても当たり障りない会話しか出来ない、よくある疎遠な仲の出来上がり。


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一方で、共通の場所がないのに定期的に会う人もいる。

お疲れ様!今何してるー?
〇〇と飲んでるから、もし時間あれば!

昨日の夜、前職でお世話になった先輩から急にお誘いが来た。(ちなみに〇〇さんも前職の先輩)
飲み会が嫌いってnoteも書いたくらいだけど、こういう飲み会は別の話。すぐに飛んで行って、めちゃくちゃ楽しい時間を過ごした。


色んな話をしていた中で、面白いなぁと感じたのは全員の立場が違うこと。

誘ってくれた先輩は僕よりも先に会社を辞めていて、今は別のところで仕事をしている。
もうひとりの先輩は、体調を崩して会社を少しお休みしている。
僕はというと既に転職済みで、別の会社で仕事をしている。

そんな立場の3人なので、「あぁ、ちょっとめんどくさい」となってもおかしくなかった。

「後輩とはいえ、急に誘うの申し訳ないしやめとくか」
「お世話になった先輩やけど、今からかぁ」

先輩が僕を誘わなかったり、僕がお誘いを断ったりする理由はいくらでもあった。でも、先輩は僕を誘ってくれたし、僕は急だったけど飛んで行った。とても楽しかった。


上にはコミュニケーションコストが云々とか書いてたけど、この理由は簡単。

その人に会いたかったから。ただそれだけ。

共通の場所がある、ないとか関係なく、その人の話を聴きたかったし、その人に話を聞いて欲しかったから。
先輩や後輩、上司や部下、といった関係性からはみ出して、1人の人として会いたいと思ったから。

まさに、人と人との関係性。

大げさかもしれないけど、とても楽しい時間を過ごしながらそんなことを考えていた。これ、ずっと大切にしたい関係性だなって。


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所属する場を変えると、疎遠になってしまう人は増えてしまう。ちょっと寂しい気持ちをしてしまう。

その代わり、より深い関係性になれる人も増えるのかもしれない。上辺じゃなく血の通った会話をする人が増えるのかもしれない。

共通のコミュニティや場を持っていない。だけど、集まって楽しい時間を過ごしたい。語り合いたい。
そう思える人とはこれからも話をしたいし、自分もそう思ってもらいたい。

そんな関係性って当たり前じゃないし、素敵なことだなぁ、なんて思いながらほろ酔いで夜道を歩いていた。


場がないからこそ深まる関係性って面白い。

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安久都智史/とろ火
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