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人類みなスーパーマン説
「人間って、自分のことをきっとスーパーマンかのように思ってるんだと思うの。」
この台詞を聞いて、心躍ったのはきっとあの場ではわたしだけだと思う。
簡単に言えば人生の先輩とでもいうのだろうか。彼曰く、無駄に生き延びてしまって困っているらしいが、まだ四半世紀弱しか生きていないわたしにしてみればその3倍の年齢で現役な時点で人生幸せだと思うが。
私は自身がまだ大病をしたこともなければ、幸運にもとてつもない疾病に侵された人を身近に目撃したこともない。
だから私にはなかなかピンとくる言葉ではなかった。
何なら新しい世界を見せてくれる、とてもないキーワードのような気がしたくらいだ。
彼の言い分はこうだ。
年齢はただの数字だ、と思う人が世の中には多すぎる。
若い時はそれでも全然構わないのだが、こうやって医療の現場に身を置き、毎日沢山の人と話していると、"いい意味での身の丈知らず"が溢れかえっている。
身体的な面で言うと着々と下降傾向なのにも関わらず、気持ちは現役時代のままでいるから、「何も変わらないよ」
「とっても元気だよ」という言葉を耳にすることが多い。
「病気なんて全然。まさか自分がこんな状態になるなんて言われるまで気付きもしなかったよ。」と。
そんな所謂「幸せボケ」が祟って、しっかりと自分自身に対して幻滅してしまう。
そして彼はこう続けた。
病は気から、なんて昔の人は言ったけれど、「もしかして私は今調子が悪いのか?」と思えば、どんどん症状は悪化の一途を辿ることになるんだよ。
自分のことに当てはめてみると少し物哀しいよね、と。
でも私にとっては、普段から真面目な彼が冒頭の文学的な表現をしたことへのワクワクが勝ってしまった。内容よりも。
自分は無敵なんだ。
誰かに診断名をつけられるまで、何にも染まらず、ずーーっと孤高のスーパーマンでいられるんだ、と。
そう思って彼くらいの年齢まで生きられたら、そんな素敵なことないなと考えてみている。
「人類がみんなスーパーマンなら」
きっと明日の私もご機嫌に生きられそうだ。