愛は不透明だ
それ以上は何も無い。それ以下でも無い。
この世界の万物に色があるのならば、間違いなく愛は灰色だと私は思う。
光は混ざり合えば最終的に白になる。
画材としての色は混ざれば黒になる。
だから誰にとって身近なものが何色であれ、誰かと誰か、何かと何かが混ざり合えば最終的にはグレーになる。
先か見えない不確実な日常を未来と名付け、いつまで続くかわからない確約を誰かと交わす。
この人こそが生涯の伴侶だと心に決め、純白を身に纏って交わした契りでさえ、彩りの溢れた日々があったとしても、パレットの中で何かが混ざっていつか色褪せてしまう。
消えるもの、儚いものこそが美しいと思うのはきっと、「続く」ことに価値を見出した誰かがいたからだろう。
グレーゾーンという言葉があるように、白黒付けられない曖昧なものは全て、明度でしか表現できない。
だから愛は、灰色で、グレーで、
白にも黒にも化けられる。
ただ、この絵をこの目で見て感じた。
空中に投げられたり
オークションやらシュレッダーにかけられたり
すぐに壊されたり
風船になって飛んで行ったり。
バンクシーの描く愛は独特で、でもそれこそ本質なのではないか、と。