新型コロナワクチンを1回で止めたらどうなるのだろう(5)
ワクチン接種が遅れた理由の続きです。
⑨ お手軽にできるPCR検査施設が近くにできた
PCR検査が3000円ぐらいで受けられるようになったのも、ちょうど7月末頃だったと記憶しています。それまで病院では症状が出なければ受けられず、自費で受けようとすると7000円以上かかっていたものが、検査事業者の乱立により、検査料が財布が痛まない程度に下がっていきました。
格安PCR検査機関の多くは、美容外科の医院が監修をしていましたので、検査精度への不安はありましたが、「陰性だ」という証明を出せば取引先にも納得してもらえるため、対面取材の前に2回ほど利用させてもらいました。ワクチンを接種していない者にとっては非常に助かるサービスでした。
PCR検査は「自分のために」というよりは、周囲に「自分は安全な存在である」という理解を求めるためものではないかと思っています。「陰性」という結果さえ出れば、検査した者としては対外的に「陰性だ」と言えるため、「陰性」という検査結果さえ出れば、一応役割を果たしていると言えます。ただし、本当にそれが「陰性」かどうかの保証にはならないのも確かです。
厚生労働省は2019年7月に発表した「無症状者の唾液を用いたPCR検査等について」の中で、
と明示しています。ですので、PCR検査そのものについては、比較的有効性高いと言えるかと思います。
潜伏期間や感染後・治療後などの時期によって反応が出やすかったり出にくかったり、検体採取や検体保存の条件が整っていない場合には「偽陽性」となることもあるようですが、医療機関などで行われている検査については、基本的には「信頼性がある」と考えていいでしょう。
一方、検査を行っている民間業者についてはグレーです。どのような環境で検査を行っているかについては、厚労省でも把握できてません。検体を集めるだけ集めて、検査をせずに「陰性です」という証明を出したとしても、利用者から苦情がくることはほぼないでしょう。
私が利用したような、街中の空きテナントに入ったPCR検査サービスの場合、発熱などの症状がある人は受けられないことになっていますので、利用者がその後、医療機関に出向いて正しい検査をする可能性も低いと思われます。つまり悪徳業者に利用されやすい仕組みになっているということです。
昨年8月に、医療機関が委託した検査機関で「陽性」を誤って「陰性」と判定してしまったケースもありましたが、この時は大問題になりました。その原因はPCR検査室内が汚染されていたからとのことです。
<参考>
医療機関が委託する検査機関でもこういうことがあるのですから、民間のPCR検査事業者では一体どのような検査を行っているのかと、疑いたくもなります。ただ、利用する側の“思惑”(「陰性」という結果さえ出してもらえればいい…など)もありますので、互いの利害は一致している限りは、検査精度を問われることもありませんし、PCR検査への参入業者はますます増える一方となるでしょう。
厚労省では「自費検査を提供する検査機関一覧」を公表していますが、ここにも
と書かれてあります。業者側の良心で成り立っているものであり、行政として内部まで踏み込むことは、よほどでなければなさそうです。
できれば正直者(正しい検査を行っている検査機関)だけがバカを見るようなことにはなって欲しくはないですね。
ちなみに私が受けたPCR検査は美容クリニックが監修しているもので、経産省の「TeCOT認定医療機関」となっていました。TeCOTは海外渡航者を対象とした新型コロナウイルス検査センターです。経産省のTeCOTに関するページでは
とあります。一応、「医療機関の管理下」として認められているという機関ではあったようです。
PCR検査については、最近になって無料で受けられる機関が設置されるなど、新たな動きがありましたので、この辺りの事情に関しては後ほど追記したいと思います。