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「職業体験」その後

手紙が届いた。
生徒さんたちからだった。

「はじめて知ったことが、たくさんありました。」
「とても有意義な時間でした。」
「着物をさわったり、羽織ったり、すばらしい体験ができました。」
「山口さんがどんな方にも親身になって着物を作っているということを学びました。」
「着物は一枚の布に帰るということがよく理解できました。」
「印象に残ったことは、なぜ仕立て屋という仕事が必要かということです。
単純に布を着物に仕立てるだけではない、譲り受けたものやサイズの合わない着物を合うようにする、大切な職業だということがわかりました。たくさんの技術と知識がないとできない大変な仕事だと思いました。」
「生地の状態や依頼者さんのことを考えて綺麗に仕立てなければ、依頼に応えられない。とても大変な仕事だと思いました。」
「着物の袖を3時間近くかかって、肩や首が痛かったのですが、これを職業として毎日していると思うと、大変で疲れる仕事だと感じました。でも完成できてすごくうれしかったです。」
「着物を着る人のことを考える気持ちがないと勤まらない仕事だと思いました。」
「着物のことを好きと思う気持ちがないと勤まらない仕事だと思いました。」
「あれほど集中力がいるものだとは思っていませんでした。この作業を毎日良いものを作るためにしていると思うと、とても辛くて大変だと思いましたが、(山口さんの)お話を聞いて、辛いばかりではなく、作り終えたときの達成感や、好きなことを仕事にすると、こんなに楽しいんだなと思いました。」

みんな本当は疲れて大変だったんだね。

でも、
「楽しかった!」
と言ってくれた笑顔は、
本心だったと思いたい。

わたしにとっても、
楽しくて、大変で、勉強になって、
刺激的で、有意義な時間。

始めは緊張でこわばっていたみんなが、
終わる頃には一人一人が満足気に人懐っこく笑っている。
中でも
とってもシャイで表情がさみしかった子が、最後にははにかんだ笑顔で、
「ありがとうございました」
と声をかけてくれたのには、
感動さえおぼえる。
注意深くないと感じられない変化ではあるが、
きっと彼女にとってはとても大きな進歩なのだと思う。

「もうひとつの、きもののちから。」

着物は人の心を動かす衣だと、本当に思う。


ライフワークとは何かを
最近よく考える。

命には限りがあるし、私も一線を退くときが必ず来る。
和裁で得たことを生かして、弱い立場の人たちに何かできることはなんだろう。

「忙しい子どもたちの心を解放する時間と居場所をつくる」

多分、和裁でわたしが最終的に目指すのは
こういうこと。

外に出ると、風の流れを感じる。
土台を積み上げていこう。と、思う。

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