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『JOKERに愛された男』第11回

 誰か、この状況を説明してくれないか。
 目の前に潤がのした男が倒れている。彼は慣れた手付きで男の懐やズボンのポケットを探っていたが、身元に繋がりそうなものは出てこなかった。
ただ一つ、彼が真っ先に取り上げた拳銃を除いては。
「舐められたもんだね」
「え?」
「拳銃と身なりからはそこそこの派遣元が考えられる。それなのにこんなに弱いんだから下っ端も下っ端じゃないかな」
 確かにこの男と潤のアクションシーンは映画であれば短い方だったかもしれない。でも、少なくとも今日見た中では一番長かった。
 ドアを開けると、すぐさま拳銃が突きつけられた。僕が助けを求めると同時に潤はもう飛び出していて、最初の一蹴りが銃を持つ手に直撃。武器を弾かれた後の組手のような流れを僕はただただ目で追っていた。
「この銃、本物かな?」
「だと思うけど、試してみるかい?」
 笑顔でそんなこと聞かないでほしい。

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