マガジンを作りました。
こんにちは、亀山真一です。
前々から作ろうと思っていた「黒い羊」シリーズのマガジンを作りました。集団の中で排斥されかねないマイノリティを指す言葉を冠したこちらは、幽霊が見えたり見えなかったりする子たちをメインに描いた作品集です。
特に重要なのは、僕のペンネームに採用している自作キャラクター「亀山真一」が登場している作品が集められていることです。そのため執筆順や公開順ではなく時系列で並べることにしました。
今のところ『黒い羊のいる世界』『最後のひと仕事』『ツイテル僕と兄貴』『ツイテイナイ透の憂鬱』が収集されていますが、スピンオフである『ツイテイナイ透の憂鬱』の順番が顕著でしょう。新作を載せる際も時系列を考えながら追加していくことになると思います。
ここからは僕の愛するキャラクターと僕の描く世界におけるルールについて語りましょう。若干ネタバレ……いや、ネタバレどころかこれから書きたい作品の案出しも含まれますので、小説を読んで楽しみたい方は本編へ飛んでください。
さて、既に書いている通り「黒い羊」シリーズは僕が筆名に使っているキャラクター「亀山真一」が登場し、彼の周りにいる幽霊が見えたり見えなかったりする人間、及び幽霊になってしまった人間が奮闘する話が集まっています。
物書きとして考察を重ねた結果、僕は霊感を「第六感と同じようなものであり、鋭い、鈍いの差はあれど基本的には皆が有しているもの」と結論づけました。普段は視界にいてもピントが合っていないような状態ですが、もともとの勘の良さ、会いたい気持ち、霊を信じているかどうかといった様々な要因でその存在に気付くことでピント調節機能が働きます。見えるかどうかは生きている人間側の問題だと解釈することで、大抵のシチュエーションに対応できるようになりました。僕の手元には「黒い羊」シリーズ以外にも死者が登場する作品が数多く存在しますし、今後も増えていくことでしょう。
亀山真一は霊感が強すぎて日常的に幽霊が見えているキャラクターとして設定されました。しょっちゅう身体を乗っ取られる霊媒体質を自認していますが、霊は物理的な干渉が苦手なので「感覚がシンクロしてしまう」と表現した方が正確かもしれません。それと『黒い羊のいる世界』の中で「テストで鉛筆を転がして満点を取る」「しれっとロイヤルストレートフラッシュを出す」と評されていますが、大輔と紗希の勝手なイメージでしかありません。実際には運よりも勘がいいので、鉛筆を転がすより目の前の選択肢から直感で選ぶこと、上から順に引いていく山札より駆け引きで勝負する方が得意です。
また、これまでの作品で貧乏だということはちょくちょく語られていますが、真一は母子家庭で育っています。働きづめの母親よりもずっと自分の近くにいてくれる父親に懐いていたが、ある日その父親が既に亡くなっていることを知り、自分が触れることのできない人間は幽霊なのだと気が付いた……というエピソードをそのうち書きたいと思っています。諸々考えると透相手に珍しく自分語りを始める形になることが想定されますが、仔細は何も決めておりません。いつか書きたいとぼんやり考えているだけです。
野々村透は逆に霊感が全くない、むしろ霊を拒絶するキャラクターを作ろうとして生まれたハイスペックで残念なイケメンです。第六感的なものがないため実はめちゃくちゃ鈍いのですが、頭がいいので観察力と分析力と推理力で補っています。とはいえ、真一に振り回されることと医師を目指せるだけの家庭環境を考えたら裕福な親に愛されて育った根はいい子に違いないと『ツイテイナイ透の憂鬱』を書いてみました。
ついでに晒してしまうと、僕は透をロマンティックアセクシャルではないかと考えています。不器用で面倒くさい彼と向き合ってくれる辛抱強い相手が現れれば恋心を抱くことはありますが、その相手に性的な感情を向けることはありません。とりあえずモテるけど興味も見る目もないということで、学生時代に女性関係のトラウマエピソードは必至です。その際に透自身は「一生恋愛はできないだろう」と思い込んでしまったけれど、真一は「鈍いだけで恋愛ができないわけではない」と知ってしまったので囲い込みに必死になった……というエピソードもいつか書きたいと思っています。
真一と透のコンビではときめきが足りないため、実際に小説を書くとなると神坂大輔が重宝します。幽霊が見えるわけでも見えないわけでもない点は一般人ですが、恋愛至上主義の美少年で真一とは全く別の方向に我が道を行く黒い羊です。
いい人止まりの性格や幼い外見、惚れっぽい割に見る目があって悪い女には引っ掛からない彼の報われない恋路はとても楽しそうですが、「黒い羊」シリーズとしては超進学校を記念受験して幸か不幸か合格し、在学中にスカウトされてアイドルタレントになる異端児ぶりも描いていく必要があります。不文律で守られてきた規則や暗黙の了解で築かれてきた秩序をどんどん壊していくのですが、いろいろと自覚し力業で相手を黙らせる真一と違い、大輔は悪気なくやらかし愛想の良さで相手の毒気を抜きにかかります。金髪もピアスも彼にかかれば不良というより英国少年風だし、テストで赤点を取っても真面目に補講を受けて「わけが分からない」と嘆く彼に教師の方が焦る、そんな存在なのです。
執筆順では『ツイテル僕と兄貴』の方が『黒い羊のいる世界』より早く、布川紗希は後から生まれたキャラクターです。イヤリングの片割れを手に入れるのはどんな人間か考えた結果、霊視は苦手だけど感受性が強く、真一さえ同情する霊媒体質の女の子になりました。イヤリングといえば「霊能力は物にも宿る」は考察を深める前の何でもアリだったファンタジーで書いてしまった台詞です。扱いが非常に難しいのですが、真一の視点では認識はできても解明はできないものとして逃げきるつもりです。
そんなことより、紗希は真一から透を取り上げられた後どんな人生を歩むのか――持ち前の共感性の高さと数々の幽霊と対峙することで身に付けた精神的な強さから、心理学か社会福祉学方面に進学して他人と向き合う仕事に就くのではないかと考えました。『ツイテイナイ透の憂鬱』を書く際に母校のスクールカウンセラーとして登場させたらどうかと思いつき、結局透と真一の会話しか取り上げなかったけれども市原譲に手を差し伸べる黒い羊がいるとすれば間違いなく彼女が適任だと考えています。
そんなこんなで幽霊が見えたり見えなかったりする黒い羊たちがこのシリーズでは大暴れします。彼らを描くのが僕にとっては至福のひと時なので、そのうち新作が生まれることでしょう。