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もっともっと遊びたい
こんにちは、亀山真一です。
とうに夏休みは終わってしまいましたが、文字起こしだけはしてあるので少しずつ昔の課題シナリオを投稿していきます。
4つ目のお題は「出会い」です。講評ではもう少し「その先」が見えるものがいいと書かれていましたが、ぶっつけ本番のワンシーンでは難しいですね。
ちなみに僕、スポーツ観戦では高校野球が一番面白いと思っているのですが、今年はリアル『弱くても勝てます』かなと思ったら全然そんなことはなく強くてビックリしました。そして僕が作中で野球をするとこんな感じになるわけです。
『かみなりおじさんはもう古い』
井出タクマ(9)小学生
恩田カズサ(27)会社員
〇空き地(昼)
野球をするには少し狭い空き地で、十数名の小学生が野球をしている。バッターボックスに井出タクマ(9)が入る。バットを強く握りピッチャーを睨む。
一球目は空振り。二球目はサード方向に転がるファウル。そして三球目、バットがボールの芯を捉える。
大きな当たりに喜ぶ少年たち。だが、打球はそのまま空き地の隣の家の庭へ。ガチャンと音が響く。
少年たちの顔が凍りつく。
〇恩田家の庭
窓に面した縁側と物干しがある小さな庭。窓ガラスが割れている。その前に恩田カズサ(27)が立っている。
タクマ「すみません」
タクマが恐る恐る入ってくる。
タクマ「あの、ボール」
カズサがタクマの方を見る。と同時に、割れた窓を見てタクマが頭を下げる。
タクマ「ごめんなさい!」
カズサ「君がやったの?」
タクマ「はい。ごめんなさい」
カズサ「そっか」
カズサはボールをタクマに渡す。
カズサ「はい」
タクマ「あ……」
ボールを受け取ったタクマは少し安堵の表情を浮かべる。
カズサ「怒鳴られると思った?」
タクマ「はい、まあ」
カズサ「カミナリおじさんがバカモンって」
タクマ「はあ」
カズサ「もう二度とするんじゃないぞって? それはもう時代遅れだなあ」
カズサは笑顔で、つられてタクマの口角も少し上がる。
タクマ「お姉さん……」
カズサ「もうやらなければ許されると思っているの?」
タクマ「え?」
カズサ「君が弁償するのに、どれくらいかかるかなあ。よろしくね」
ニコニコと笑っているカズサ。タクマの顔が一気に青ざめる。