全国の演劇関係者、特に演劇部顧問の皆様へ
ここに書いても届かないだろうけど、ここくらいしか投稿先がないので書いときます。
先日、脚本サイト「はりこのトラの穴」を通じて上演申請が続けて2件届きました。
どちらも高校演劇部の顧問の先生からだったのですが、これが一方は読んでいて嬉しくなってしまうくらい丁寧な文面で、もう一方は大人として大丈夫かと思うような内容だったんですよ。
上演申請はだいたい演劇部の顧問、部長、あるいは学劇だと制作の誰かが行います。このうち本業の制作が一番しっかりしているのは当然のこと、学生は文章が拙くても用件は簡潔で分かりやすいことが多いです。
しかし、社会人スキルが底辺の僕が言うのもなんなんですけど……学校の先生ってビックリするほど酷いメールを寄越すことがあります。きっと僕みたいなのがそのまま教師になっちゃったんでしょうね。
ということで、過去に20校くらいやり取りした中で困ったポイントをまとめてみました。
①予防線を張りすぎる。
セルフハンディキャップしたい気持ちはすごくよく分かるんですけど「初めての申請で~」とか僕に言われても困るんですよね。
いや、その程度なら読み飛ばすだけですが「部員数も少なく」「練習時間も足りない」と舞台のクオリティまで言い訳されると悲しくなります。うーん、僕が本番を見たいとか言い出したのが悪いんでしょうか。部員たちが精一杯頑張ってくれれば十分なのに。
②たぶん部員とコミュニケーションができてない。
僕の高校演劇部時代の顧問の先生って、基本的に何にもしてくれない人だったんですけど、それならそれで上演申請は生徒が勝手に出すんです。
けれども部長から上演申請をいただいた後に顧問から上演申請が届いて「?」となったことがあります。しかもその時は大会だったから許可書にサインする必要があって、郵送用に教えた住所が宙に消えそうになったんですよね。学校の先生が個人情報の扱いこんなに雑で大丈夫かと本当に心配になりました。
③そもそも連絡が遅い、来ない。
僕も既読スルーが「了解」の意になりがちな人間ですけど、それをメールでのやり取りが全ての相手にやらないでいただきたい。
特にこちらは本番を見たいという相手からしたら想定外の、でも突飛というわけでもないお願いをしているので、返信が来ないと余計に心配になります。ダメならダメでいいから早く返事をください。
上演申請の際に「映像を送る」とお約束いただいている場合でも、公演終了後になかなか届かないと催促するのもいかがなものかと頭を抱えてしまいます。映像に関しては完全にお願いしている側なので強く出られないというか……DVDに落とすのだって結構な手間ですからね。
④書類のやり取りが残念
先程②でも触れましたが、大会などの規定によっては上演許可書に署名したり脚本使用料をいただいたりします。
上演許可書にサインしたはいいものの、返信用封筒がなくてこちらが郵便代を持つということもありました(今後のためにも指摘はしておいたところ後から切手が送られてきました)し、一番ビックリしたのは郵便と現金書留を同時に送って書留が先に届いてしまったのであろうパターンです。事前にメールでお知らせしてくれればいいものを、郵便が届くまで「何だこの現金は?」状態でした。
⑤脚本改編にまつわるエトセトラ
自分たちで脚本を改編したいという申し出がたまにあります。
分かりやすい理由ですと大会で尺が決まっているため短くしたいとか、男子部員が足りないので性別を変えたいとか……この辺り僕は演出判断だと思っているので基本的にはオーケーを出します。わざわざこの脚本を選んでくれたのだから、悪いようにはしないだろうという性善説でもあります。
時には僕もビックリのいい台詞が飛び出すこともありますし、説明台詞が足されて赤入れしたくなる時もありますが、演者の一生懸命が見えるので結果的に不満が残ることはありません。
……が、許可取り段階で「この先生ホントに演劇のこと分かってる?」と驚愕したお伺いがありました。
1つは「アドリブ好きな部員がいるんですけど大丈夫ですか?」というものです。そもそも許可取りしたアドリブなどアドリブではないですし、何をやり出すのか分からないから演出判断に委ねる他ありません。
おそらくこの先生は演劇経験がないのに「指導」までしなければならない立場だったのでしょう。ホントに「演劇部員なら絶対分かってることだから恥を忍んで生徒に聞きなさい」と思うことまで脚本家に質問してきて……僕だから丁寧に答えましたけど、とうに演劇から離れてバリバリ働いている社会人が相手だったらブチギレものだった気がします。
もう1つ、実は冒頭の大人として大丈夫か心配になった先生が上演申請の前に「衣装の予算が足りないので『こちら出雲恋愛相談所』を現代の話に書き換えてもいいですか?」なんて質問をしてきたのです。
……この人は何を言っているのだろう?
仮に僕がOKを出したとて、そんな大がかりな脚本の改編ができる人間がいるのでしょうか。いるなら衣装の予算を削る方法くらいいくらでも思いつくはずです。そもそもあの脚本は和風ファンタジーをやりたい人間しか選ばないものだと思っていました。
僕らの公演でどんな衣装を用意したのか具体的に説明して、悪いことは言わないからおやめなさいと遠回しにNGを出したら「ありがとうございます。大変助かります」だそうです。
……この人は何を言ってるのだろう?
質問だけで上演申請的な情報をまるで寄越さなかったので、衣装を買う前に僕に脚本使用の許可を求めた方がいいですよとまた遠回しに促したら「近く上演申請をします」と言ったきり2ヶ月以上放置されました。
そう、この質問は年末に受けていたのです。おそらく必要な情報が出揃うのを待っていたのだと思いますが、ご無沙汰したとは思っていないようで「先日はありがとうございました」「上演許可書を提出するのでお願いします」と学校の住所を送りつけてきました。
……この人は何を言ってるだろう?
上演許可書は演劇部側が「あとは署名捺印するだけ」のものを用意するのが基本です。というか、こちらは大会主催者等が求める書式を知りません。
僕に調べさせて一から作らせる気かと困惑していたら、ウチの母に言われました。
「医師の診断書みたいに3000円くらい手数料を取ったら?」
ホント、それぐらいの労働をさせるつもりですよね。郵送料は着払いで結構ですと言われたところで、平日の真っ昼間に郵便局に行くくらいなら切手代が自腹になってもポストに投函したいのですが、僕何か間違っていますか……?
とりあえず上演許可書はそちらが用意してくれと、できるだけ言葉を選んで返しておきました。
……すいません。あまりに驚愕した勢いで、匿名とはいえほとんどやり取りを晒してしまいました。
でもですね、世の演劇部の顧問の先生は本当に気を付けてほしいんです。僕はあんまり他人のことを言えない現役のもの書きなので下手に出ながら言葉を尽くしますけれど、そうじゃない方もいると思います。
とにもかくにも、全国の演劇関係者の皆様が楽しく演劇に関われる世界を望んでいます。