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『JOKERに愛された男』第14回
5
僕は大学の徒歩圏内に住んでいるので、元々定期券は所有していない。鉄道用のICカードは持っていたはずだが普段使わないせいか財布に入っていなかった。ということで券売機で切符を買う。
ホームに立つと、ちょうど反対車線の電車が停まったところで、僕が乗るべき電車には数分の余裕があった。せっかくなので先輩に到着予想時刻をメールする。
「さーかもーとくん!」
振り返ると桐谷先輩が、いた。
「……え?」
「あたしね、ホントにホントに駅のすぐそばに住んでるの。だから来た電車に飛び乗って、今、反対のホームに着いたところだったの」
「ええ?」
「すれ違っちゃわないか心配だったけど、この方が早く会えるし都合がいいかなって」
「そうですか」
こうして見ると本当に可愛い。同期の奴らに結局顔かよって言われたことがあるけれど、可愛いものは可愛いのだ。
「ていうか、何持ってるの?」
「晩ご飯、ちょうどコンビニで買ったところだったんです」
「……坂本くんって、たくさん食べるのね?」
二人分の量を見て先輩が首を傾げる。僕は笑って誤魔化した。
「あ、電車が来る」
先輩が僕の腕を取った。
「え? あ、えっと……先輩の家の方に行くんですか?」
「だって、せっかく駅まで来てくれたんだもの」
こちらを引っ張るように駆け出した桐谷先輩は――その勢いで、僕を線路に突き落としていた。
……え?
それからのことは、全く、記憶にない。
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