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パラとタバコと大人と子供

 こんにちは、亀山真一です。
 パラアーチェリークラブの会計を頼まれてから2ヶ月ほど経ちました。今のところただ会費を預かっているだけですが、なんかドキドキしてしまいます。つらい。

 僕が唐突に会計を頼まれた背景には会長さんの入院予定もあるんですが――メンバーみんな障害者だけあって入院には驚きませんが――それまでに僕の不調をなんとかしようと練習会の度にほぼマンツーマンで面倒見てもらっていました。大変。

 この春、ようやくクリッカー――つがえた矢を固定するクリップのようなもの――を弓に取り付けたんですが、ここから僕は絶不調でした。
 もともと30メートルで練習していたはずなのに、18メートルでも矢がまとまらない。何故か矢羽はボロボロになるし、矢を乗せるレストをいくつも壊してしまいました……。
 僕の引きグセを見つけて矯正している間も会長さんが弓具を調整し続け、最終的にはクリッカーと同時に導入したカーボン製の矢が僕には合わなかったという結論になりました。本当に大変でした。

 カーボン製の矢は一本数千円もする「いいもの」を貸してもらっていたんですが、それまで使っていたお安いアルミ製に戻すとスコアもきれいに戻っていきました。3ヶ月以上苦しんでいたのが馬鹿みたいです。
(とはいえ、引きグセは直すに越したことはないでしょう……)

 弓具を調整した中で、ノッキングポイントという、矢を弦につがえる際の目印を作り直してもらいました。
 実はこれが仕上げにライターで炙るんですよ。

「しまった、ライター忘れた!」

 そう言って車まで取りにいった会長さんの言い訳がこちらです。

「これから入院だからなるべく禁煙するようにしてて、ライター持ってると吸いたくなるから持たないようにしてたんだよ」

 対して、嫌煙家の僕が目一杯オブラートに包んで続けた会話がこちらです。

「タバコ吸ってると若い子にモテませんよ」
「いや、もう別に……ハッ、タバコやめたらモテるのか」
「そういうことでもないですけど」

 喫煙がマイナスに働くことはあっても、禁煙がプラスに働くことは滅多にありませんからね。

「真ちゃんのお父さんはタバコ吸わないの?」
「吸いません。弟は隠れて吸ってますけど」

 母が「喫煙者とすれ違っただけで咳き込むレベルの嫌煙家」なので、弟は家族の前では吸いません。疚しさではなく、マナーの問題です。
 それにしても……何であんな臭いものが好きなのか理解できません! というのが、オブラートに包まない僕の本音です。

 話は変わりますが、僕が初めて覚えたタバコの銘柄はハイライトです。
 小説で見かけた際、文脈からタバコと分かったけれど、フィクションに商品名を出す発想がなかったので一般名詞だと思い込んでいました。酷い勘違いでした。

 嗜好品はキャラクターの肉付けに使われることがままありますが、ハイライトとマルボロとフィリップモリスの違いなど僕には分かりません。
 夏川草介の『神様のカルテ』シリーズで医師や看護師がスパスパ吸っているんですが、人によって銘柄を変えてこられてもちんぷんかんぷんでした。

 まだ身近な自家用車の違いだって怪しいものです。こちらは東野圭吾の小説から。
『ラプラスの魔女』の青江教授がクラウン
『ガリレオ』シリーズの草薙刑事がスカイライン
『ナミヤ雑貨店の奇跡』の浪矢さんがシビック
 母に話すと「経済力が分かりやすい」と笑っていましたが、

「全然分かんないよ。そもそもシビックってどんな車?」
「真が教習所で乗ってた車」

 予想外に分かりやすい答えが返ってきました。そうだったのか。

「ちなみに、ミステリーを読んでると不審車両としてよくRV車(?)ってのが出てきて、死体とか運んでるイメージがあるんだけど」
「……確かに重い荷物も運べるけど!」
「あと、よく見る外車ナンバーワンといえば黒いベンツで、ナンバーツーは赤いミニクーパー。でも僕ミニクーパーって知らないんだよな」
「あれだよ」
「え? ……ウソ、マジでMINIって書いてあるじゃん」

 こうしてちょっとずつ「大人の常識」を覚えていくのですが、僕ら世代を描くなら「車とか知らないし」と嘯く方が正解なんでしょうね。

 話はパラアーチェリーに戻りますが、8月いっぱいで洋弓場使用の認定証が切れます。そろそろ更新しなければなりません。
 この頃はご時世的にも洋弓場の個人利用はしていないので「上を見て30メートルの認定に挑戦したら?」と、親より年上の大人たちから言われました。クラブの練習会だけなら認定証が切れていても参加できます。

 昨年は、そうはいっても30メートルで270点に届く自信がなかったため、18メートルで認定を取り直したのですが……今年はどうしましょうね?

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