静岡県東部地域×スポーツ パラサイクリング藤井美穂選手
楽天ソシオビジネス(株) パラサイクリング選手
藤井 美穂(ふじい みほ)選手
「自転車に乗ってると車とは違う目線で面白い」
パラサイクリング(C2クラス)選手。東京2020パラリンピック自転車競技トラック500mタイムトライアル7位入賞
2022年は、プロ野球東北楽天ゴールデンイーグルスの試合で始球式も体験。右足に軸を持たせる練習動画をSNSに投稿。始球式の感想は、「めっちゃ、大変でした。めちゃめちゃ難しかった。最後、ボールを投げる時に、かかとをついてつま先へと重心が移るので。本当は、もうちょっと右脚軸で止まりたかったんですけど、緊張しすぎて覚えてないです。みんな、やりたくてしょうがないことを、やらせてもらえました!」とのこと。
静岡県東部地域でのくらしについて
-静岡県東部地域にお住まい。引っ越した経緯を教えてください。
「サイクルスポーツセンター(伊豆市)が伊豆にあり、トレーニング合宿で何回も伊豆に来ていました。トレーニング環境として、海も山もあり平坦も登坂もあるので、トレーニングしやすい、ということからでした。
伊豆は、気候の変動が年間を通してあまりないですよね。雪がすごく降ったり、大雨がずっと続くということもないです。久しぶりに11月に実家(茨城県)に帰ったのですが、寒かったです。伊豆にその後戻ってきたら、暖かいなと思いました。1年中練習しやすい、と改めて思いました。」
-伊豆は良いところですね。
「水と空気がおいしいです。他の選手もよく言っていますよ。茨城県から義肢装具士さんが来て、調整をしてくれますが、「静岡は空気がいい」と言っています。川本翔大君(※パラサイクリング日本代表選手)も伊豆に来ると、2人でよく深呼吸をしてます。」
-自転車に乗って感じる伊豆の良さや、地域の方とのふれあいを教えてください。
「伊豆にいる人は、みんな優しいです。やっぱり自転車の国というだけあって、本当にどこを走っていても車がちゃんとよけてくれます。都会の方だと、ギリギリまで攻めてきたり、クラクションを鳴らされることもあります。
伊豆はそのようなことがなく、穏やかですし、横断歩道も必ず車が止まって渡らせてくれます。県民性なんでしょうけど、みんな優しくて、心にゆとりを持って生活してる人が多いのかなと思います。そうそう!車の窓を開けて「頑張ってね」と言ってくれます。なんか本当にほんわかしていて、街全体で自転車を応援してくれているんだなと思います。
今回、サイクリング紹介のスタート地点としているオリーブの木(伊豆市)の近くに温泉施設があります。そこにくるおばちゃん達がいまして。皆さんが物々交換していている所に、ちゃっかり混ぜてもらったりしています。「あー、みほちゃんきたなぁ♪」と言ってもらい、大量のお土産をいただきます。「元気に、ちゃんと食べてもらえばいいんだから」と、言ってもらうこともあります。」
普段の生活について教えてください
「普段は義足を使いますし、両手に杖をついて、スーパーへ行くこともあります。銭湯に行くとか、コンビニに行くとか、普段の生活ではそれほど困ることはないです。自転車のショップは三島方面に行かないとないので、色々と買い物をする時などは三島方面に行きます。
私は義足と杖を使って歩いています。お尻を杖の出っ張りに乗せています。義足を使うようになってから、歩くときに、かかとから足をつくということを初めて練習しました。それまでは、ベタベタという感じで歩いていたので、かかとからつま先、という歩き方をするのが結構大変でした。」
伊豆での楽しみについて
-練習している時の楽しみはありますか?
「大瀬崎(沼津市)のさらに奥に行くと、みかんの無人販売所が何カ所かあります。めちゃめちゃたくさん入っているのに安いです。すごくオススメです。サコッシュを持って行って、帰りに買って帰ります。たまに、練習中に買って食べることもあります。本当においしいので、今年こそは車で行って箱買いをしようと思っています。」
-みかん以外にもオススメはありますか。
「お店で言うと、「ときわや食堂(伊豆の国市)」、「伊豆之助(伊豆の国市)」、「POMODORO(伊豆の国市)」、「チェレステカフェ(沼津市)」。
あと、イチゴの自動販売機が伊豆にありますよ。たくさんのイチゴが安く買えます。私はサコッシュに入れたり、ウエアの中にしまって持って帰ります。でも、サコッシュは「バタバタ」するので、イチゴが潰れちゃうんですよ。他の自転車競技の選手も大量のいちごを「今から買って帰る」という投稿をSNSでしていました。どうやって持って帰ったんだろう??今度聞いてみます。他にも、色々なものを売っています。秋は柿も売っていますし、伊豆ベロドロームに向かう途中も、野菜の無人販売があります。自転車に乗ってると、車とは違う目線で見れるので、そこも面白いです。目線も低いし、ゆっくりですから。」
自転車競技の選手、パラサイクリングの選手として
-伊豆は自転車競技が盛んな地域。今日の撮影中も、チームブリヂストンサイクリングの選手2人とすれ違いましたね。
「選手に普通に会えますよ。前に川沿いを走ってたら、チームブリヂストンサイクリングの橋本英也選手が後ろから来て、ちょっと一緒に走ってもらいました。結構な頻度ですごい選手に会えるので、本当にすごいなと思います。自転車競技の選手達は、走り方も綺麗ですよ。」
-藤井選手は、普段はどんなところで練習していますか。
「オリーブの木辺りから、沼津市の大瀬崎の先のトンネル方面まで走ります。その近くにあるカフェが、私たちパラサイクリングの選手の目的地みたいな感じになっていて、そこまで1時間で帰ってこれるか、という練習をします。今回紹介しているコースもトレーニングで利用していて、最後の伊豆ベロドロームに入るまでの数m、あの上りが一番つらいです。他には、海の方に出て深海水族館のある方向に行くコース。だいたい片道で50km位を平坦で走れるので、帰ってくれば100kmになります。あとは、天城峠の方にも行きます。川の流れを聞きながら、きつい坂を上ります。峠付近の約10kmが、計測区間になっているので、行って測定してくるという練習メニューが最近ありますね。でも、できれば行きたくないです。」
-パラリンピックの自転車競技が昨年静岡県で開催されました。変化はありましたか。
「自転車に乗っている人が増えた気がします。元々いたのかもしれないですが、会う頻度が高くなって、声をかけてもらえることもあります。「藤井選手!」と名前を呼んでくれる方が多くなりました。「すごいね」ではなく、名前を呼ばれることが多くなりましたね。」
-応援する人達もいっぱいですね。
「レースに来てくれる人、わかるんですよ。いつも横断幕を持ってきてくれる方がいて、走っていたらその方を見つけられました。他にもサポートしてくれている方などもロードレースでは見つけています。」
-藤井選手達の練習、見学もできるんですよね。
「伊豆ベロドロームも、営業日は観客席を無料開放しています。結構ファンの方も来ていますね。トラック練習だと、伊豆ベロドロームにもいますし、ロード練習は海辺で会えると思います。是非、パラの選手を探しに皆さん伊豆に来てください。」
-最後にメッセージを
「いつも応援していただいて、本当にありがとうございます。色々なところで応援してもらってるな、と実感することが多くて。静岡県の皆さん、優しいし、食べ物もおいしいし、本当にもっともっとアピールしていいんじゃないかな、と私は思っています。
私はそのアピールする1人として、広報していきたいなって思ってます。」