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011 相続対策における本人の責任

前回は、相続における様々な困難を解決する方策はズバリ遺言であることを述べました。今回は、相続対策における本人(被相続人)の責任と立ち位置について、述べたいと思います。そもそも、相続は、本人が築いた財産を次の世代に承継させる制度です。この主導権は本人にあります。相続を待たずに生前に贈与すること等を含めて、本人が、自由に、自分の財産の行く末を決めることができます。また、その道筋をつけておくことは本人の責任でもあると思います。自分が死んだ後のことは残された人たちに委ねるという意思決定も選択肢のひとつであることは否定しませんが、相続財産の調査、相続人間の意見調整、相続の高齢化問題、これらの問題が立ちはだかり、多くの相続において遺産分割協議が難航している現状(本稿005本稿006)から、残された人たちに委ねるという選択肢はおすすめできません。ところで、相続は法律や税金が関係することでもあり、詳しいことはよくわからないから、専門家に委ねたいという方もいらっしゃると思います。結論から言いますとこれもあまりおすすめできません。例えば、信託銀行等に相談すれば、公正証書遺言の作成を含む遺言信託というサービスを受けることができます。しかし、これも無償のボランティアではありません。本来、本人が主導し、そして、残される家族が争わずに、また、相続手続きを円滑に進めることができるように遺言を書き残すことに、どうして、少額ならぬ手数料を負担して部外者である信託銀行等を関与させなければならないでしょうか。そもそも、信託銀行(銀行員)は相続の専門家ではありません。私は、かれこれ20年にわたり相続に関する問題解決の仕事をしてきましたが、本人の財産のことは本人が最もよく知っていることであり、そして、相続対策は秘密裏に進めなければならないものではなく、相続問題の核心部分は、大切な家族、後継者に伝えておかなければならないものと思います。相続は、本人及び家族にとって一大事ですから、必要に応じて頼れるアドバイザーは必要であると思いますが、部外者に過度に期待したり任せっきりになってしまってはいけません。部外者任せの相続は、きっと、後悔します。私は、相続を、自分の手に取り戻す、家族の手に取り戻すことを提唱しています。そして、それは、十分に可能なことなのです。

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