メタバースでの(動/静)態保存の夢想
名鉄谷汲線、という路線をご存じだろうか。
鉄道趣味人または当地近郊に在住のいずれかでないとピンとこないと思うが、岐阜県の岐阜駅から北北東、大垣からほぼ真北にある谷汲村の谷汲駅へ向かう、揖斐郡大野町にある黒野駅からの路線、であった。
過去形なのは2001年に廃止済みが故、でもある。
その谷汲線だが、「BVE5谷汲線プロジェクト」と称し、鉄道運転シミュレーターである「BVE5」上で谷汲線をまるごと再現してみた、というプロジェクトが存在する。
熱心な鉄道趣味人と当地在住人の協力により、「もし名鉄谷汲線が現存していたら…」というのを具現化したもの。
運転シミュレーターとしての体験とその品質はあえてここでは書かないものの、仮想空間内上で現存しないものを現代によみがえらせる、という観点でも大変興味深い試みではないかなという感想を抱いた。
ちなみに現存しなくなったものをメタバース内仮想空間で再現…という観点ではすでに「バーチャルOKINAWA」の「首里城エリア」というのが存在する。
首里城自体は観光地ということもあり再建が進んでいるためいずれバーチャル内だけではなく現実でもその姿を見ることができるようになる見通しではある。
しかしながら最初に例を挙げた名鉄谷汲線については二度と復活することはないということも考えると意味ある試みだと個人的には感じる。
何らかの理由で現存できなかったものを仮想空間に再現する…メタバースに限った話ではないかもしれないが、個人的にはメタバース方面に期待している方向性の一つは「仮想空間での動態保存」でもあったりするため、このジャンルの隆盛を影ながら応援したいと考えている。