米国特許訴訟の対人管轄_日本企業を提訴可能なケース

1.米国における管轄権の決定の仕方

管轄権の有無は、以下の3段階で判定される。
① 事物管轄権: 連邦裁判所と州裁判所のいずれで裁かれるべき案件か?
② 対人管轄権: 提訴された被告に対して、当裁判所は審理/判決する権限を有するか?
③ 裁判地(venue)の選択: 対人管轄権を有する複数の裁判所の内、どの裁判所で審理するのが適切か?
            ↓
米国の特許権者が日本に所在する企業を提訴できるかどうかは、日本企業に対して米国裁判所の対人管轄権が及ぶかどうかの問題。

2.日本企業に対する対人管轄

(1)日本企業が米国の100%子会社に対して被疑侵害品を販売(輸出)している場合、その日本企業に対する対人管轄権が認められる可能性が極めて高い。
→ 米国の100%子会社が親会社である日本企業を代理して侵害行為を行っているとみなされる。

(2)日本企業が被疑侵害品を米国に向けて輸出しておらず、販売先が米国に輸出しているケースでは、その日本企業に対する対人管轄権が認められない可能性が高い。

(3)日本企業が被疑侵害品を米国の(資本関係のない)販売代理店に輸出しているケースでは、その日本企業に対して対人管轄権が認められるか判断が分かれる可能性あり。

3.対人管轄権の争い方

答弁書を提出せずに、所定の期間内に訴訟の却下を求める申立て(motion to dismiss)を行う。
この申立てを行わずに答弁書を提出してしまうと、対人管轄を認めたとみなされる。

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