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税務コンプライアンスとは?中小企業が対外的な信用を獲得する手段。


中小企業の信用の得難さ

大企業のように強烈な圧倒的ブランド力があるならともかく、ほとんどの中小企業は資金繰りに悩みながら何とか事業継続してゆき、取引先や金融機関など「外部からの信用」を時間をかけてコツコツ積上げてゆかなければなりません。そしてこのテーマには裏技などはありません。

信用を積上げる手段としては以下のように色々ありますが、どれも一朝一夕で効果が現れるものではないため、複数同時進行で取り組むべきです。


売上獲得や資金調達などにダイレクトにつながるのは、当然「外部の第三者へ働きかけるもの」の方ですが、他人を変えることはできませんので「内部で取り組むもの」の方が取り組みやすいと言えます。

本コラムでは税務コンプライアンス構築について解説します。

税務コンプライアンスとは

名前の通り、税務分野におけるコンプライアンスを整備することです。

大企業であればどこもやっていますが、中小企業の場合は「必要性がいまいちよく分からない」「なんとなくめんどくさそう」という方も多いのではないでしょうか。

コンプライアンスとはいわば事業における「盾」に当たるものです。

それだけではなくその会社の信用力の強化にもつながります。

そのため、「やらなければならないもの」とネガティブにとらえるのではなく、「やった方が自社のブランディングにプラスに働くもの」とポジティブにとらえましょう。

以下で「中小企業でも税務コンプライアンスを整備した方がよい理由」を解説しています。

資金調達にプラスに働く

金融機関は融資の審査をおこなう際、法人税の確定申告書などもチェックしますが、法人税の確定申告書のとあるページには、追徴税額などのペナルティを食らったかどうかが分かる箇所があります。

その欄が綺麗であれば「この会社は税務をきちんとやっているな」とプラスに見てもらえます。逆に普段からだらしない税務をやっていたり税理士事務所からのレクチャーなどを無視したりしていると、きちんとした税務をおこなうことができませんので、結果的に追徴税額が課されそれが申告書に反映されるため、金融機関へも伝わります。

また、節税にこだわるあまり目的と手段が逆転してしまっている会社にありがちですが、無駄遣いばかりして利益が出ていない(or赤字になっている)と、「この経営者、公私混同しがちだな…もしお金を貸しても社長のプライベートに使われるんでは?」と疑われマイナスに働く可能性もあります。

取引先に対してプラスに働く

帝国データバンクという会社の情報収集をする民間企業があります。

大企業でも社内の与信審査をするときに帝国データバンクの資料を使うので一般的に普及しているツールです。「本当にこの取引先とビジネスをスタートして良いのか」の判断のために使うということです。

私自身も昔メーカーでBtoB営業をしていたことがありますが、新規のお客様を見つけた場合でも社内の与信審査が通らなければ直取引はできないというルールがあり、その際に使われていた物がまさに帝国データバンクの評点資料でした。

中小企業でも新たな取引先を開拓できそうな場合、その取引先が帝国データバンクの情報を調べている可能性も十分あり得ます。

この資料には、経営者の人柄や経歴(営業畑、技術畑etc)、会計数値などの情報を確認できますが、節税ばかりせずにきちんと税引後利益を残すように健全に経営していれば「この会社は好調だな。取引開始して大丈夫そうだ」とプラスに働くかもしれません。

人材の定着にプラス

仮に自分が勤めている会社が不正な行為やグレーな行為をおこなっていたとしたら、従業員としてはどう感じるでしょうか。

「この会社、ほんとに大丈夫か?」「いざというとき自分がスケープゴートにされるんじゃないか…」という疑念が社内に生じることになります。

会社として法令を無視した行動を取ることは、働いている従業員からしてみれば非常に印象が悪いです。人材流出などに繋がるリスクがあります。

本当の意味の節税につながる

耳障りの良い節税手法を採用すると、以下のような「本来払う必要のなかった支出」が生じる可能性が上がります

  • ペナルティ税額(最大40%の率)

  • 修正申告のための税理士報酬

法的安定性に欠ける節税手法をアドバイスする税理士もいますが、彼らからしてみれば税務調査で問題となった場合でも結局修正申告のための税理士報酬も取れるわけです。あるいは、税務顧問は受任せずに(=責任は負わずに)節税手法のアドバイスや情報発信のみおこなう税理士もいます。

弊所ではこのようなやり方は「節税」とは呼ばないと考えています。

税務コンプライアンス構築により、将来のペナルティ税額など「本来払う必要のなかった支出」を予防できるなど、本当の意味での節税につながります。

まとめ

コンプライアンスとは単に「しなければならないもの」ではなく、社外の第三者をはじめとして利害関係者全員に対して影響を及ぼす可能性がある項目ということです。

最近ではYoutubeやSNSで目先の短期的な節税などを扇動的に発信している人もいます。それらに影響を受けて目的と手段が逆になってしまっている事業者の方々もいますが、弊所では中長期的な目線で税務コンプライアンス構築をサポートさせていただくことによって、クライアントの皆様の対外的な信用力を高めるご支援をさせて頂きます。


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