【毎週ショートショートnote】「涙鉛筆」(444字)
「鉛筆専門店なんてあるのね。あれは?」
「『あみだ鉛筆』だよ。鉛筆の側面であみだくじができる。主に試験の時に使う」
「じゃあこれ」
「神頼み鉛筆、通称『かみだ鉛筆』だね。側面に1~6の数字が付いてる。主に試験の時に転がして使う」
「あれは?」
「『さみだ鉛筆』さ。ほら、こうやって傾けると五月雨みたいに水が滴るだろ」
「そっちは?」
「『たみだ鉛筆』、東北地方で作られた『さみだ鉛筆』さ」
「これ」
「『なみだ鉛筆』」
「こっちは」
「『はみだ鉛筆』、芯が太すぎて確実にはみ出す」
「あっち」
「マミー頼み鉛筆、通称『まみだ鉛筆』。まあ『かみだ鉛筆』みたいなものさ」
「それは?」
「『やみだ鉛筆』、使うと病みだす」
「これ」
「『らみだ鉛筆』、えっと…ラミネートしてくれるのかな?」
「それ」
「『わみだ鉛筆』…わみ?なんだそれ」
「そういえば『なみだ鉛筆』って?」
「ああ、あの鉛筆は、こんな風に泣きながら無理やりショートショートを書くときに使う。一本買っとこう」
「文字数はみだしてるわよ」
「…『はみだ鉛筆』のせいにしよう」
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