【毎週ショートショートnote】「クリスマスカラス」(410字)
「重たいサンタさんの乗ったソリを引かせるなんて、トナカイさん可哀そう」
そんな意見が賛同を集め、トナカイに代わる動物として白羽の矢が立ったのは害獣とされるカラスだった。
もちろんカラス一羽で百キロを超えるサンタクロースを支えることはできない。町から数千羽のカラスが捕らえられ、サンタクロースが装着したハーネスに括りつけられた。
股間に食い込んだハーネスを痛がったというが、サンタクロースは無事に飛び上がりリハーサルは大成功だった。
さて本番のクリスマスだというときに、また誰かが言った。
「重たいサンタさんに括りつけられるなんて、カラスさんも可哀そう」
そうして捕らえられたのが俺だった。
確かに現代において俺のようなオジサンに人権はない。
だがサンタクロースを背負って家から家を移動するほどの罪を俺は犯したろうか。そもそもサンタは自分で歩けないのか。
クリスマスの夜が更けてきた。
誰か俺のことも可哀そうだと言ってくれ。
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