10/13(金)『10年』
久しぶりにタリーズに行った。普段は行きやすさとコンセントの有無を重視して別のチェーン店に行くことが多いのだけれど、気兼ねなくゆっくりしたい気分だったので、遅くまでやっていることに惹かれて足をのばした。
温かい紅茶とマドレーヌを頼み、席につく。店内はそれほど広くはないものの、席間が十分に取られていてゆったり過ごせるし、時間帯のせいもあるのか比較的に客の年齢層が高めで静かだ。小腹がすいていたのでマドレーヌを食べる。表面に大きめのザラメが散りばめられていて、しっとりと柔らかな生地の合間に時折感じるザクッという食感が面白い。少し蒸らしすぎてしまった濃い紅茶によく合った。
食べながらふと、かつて妹がタリーズでアルバイトをしていたことを思い出した。まるで遠い昔のことのようだ、と思いつつ年数を数えたら、なんと約10年前のことだった。十年一昔とも言うし、「遠い昔」と言ってもあながち間違ってはいないだろう。
10年前、私はまさか自分が仙台に住むなんて思いもよらなかった。ましてや福祉系の仕事をしているなんて、当時の私に言っても信じないだろう。でも確かに私はあの日の私と地続きの存在で、ここまで私を運んできた1つひとつの選択は全て私の意思に基づいているのに、「思いもよらなかった」というしかない結果になるのが不思議だ。そして、その結果としての「今」は10年前の私が思っていたのよりもずっと面白い。
これから私はどこへ行くのか。行きたいと思い描く場所はあるけれど、未来はどうか私の想像など軽々と超えて、面白い場所にたどり着いたらいい。