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相手を動かす”物語”の力(ビジュアライゼーション/ストーリーテーリング)




Section 01 コンテキストを理解する

分析には「探索的分析」と「説明的分析」がある。

探索的分析(exploratory analysis)

探索的分析(exploratory analysis)とは、データを理解し何を人につたえるかを理解するためのものです。100の仮説を試したり試行錯誤したった1つのか2つの重要な事象を発見する発見する作業(プロセス)です。

説明的分析(Descriptive analysis)

説明的分析(Descriptive analysis)とは、分析結果を具体的に説明しストーリーを伝えることです。説明的分析を見せる場面で探索的分析を見せてはいけない。相手は混乱し理解する事が出来なくなるからです。


誰に 何を どのように


「3分ストーリー」

「3分しかなかったら、相手に何を伝えますか?」を念頭に置き明確にきちんと説明出来るようにまとめる事。

「ビッグアイデア」

「3分ストーリー」をさらに簡潔に1文でまとめたものです。
ビッグアイデアの3要素とは、
 ① 意見にオリジナリティがある。
 ② 問題点を伝えている。
 ③ 完全な文章である。



Section 02 相手に伝わりやすい表現を選ぶ


ビジュアル表現が伝わりやすいとは限らない。

時に文字や数字の方が伝わりやすい

表は読むもの

太い罫線
薄い罫線
最小限の罫線

罫線は、表を読みやすくするもので見せたいものではない。薄いグレーや最小限にとどめる。目立たせるは罫線の中の値。


ヒートマップで相対的順位を表現

値だけの表
背景色に濃淡を付けた表

グラフは4種類だけ押さえればOK

点グラフ / 線グラフ

点グラフ ・散布図
線グラフ ・折れ線グラフ ・スロープグラフ


棒グラフ / 面積グラフ

棒グラフ ・縦横棒グラフ ・ウォーターフォール ・積上げ棒グラフ
面積グラフ ・ヒートマップ ・ドーナツグラフ


避けるべき表現

第2縦軸 … 値がどの軸に対応しているのか判断しにくい。

悪い例
改善例1:ラベルを貼る
改善例2:縦軸を分割する


Section 03 不要な要素を取り除く


1:クラターを減らす(ごちゃごちゃ)

2:近接の法則 … 物理的に近くにあるものを同じグループと認識する傾向

3:類似の法則 … 類似の色、形状、サイズ、向きを持つものを同じグループと認識する傾向

4:囲みの法則 … 物理的に囲まれているものを同じグループと認識する傾向

5:閉合の法則 … 頭の中にある構造にあてはめる事を好む傾向

6:連続の法則 … 明らかに存在してなくても勝手に連続を作り出す傾向

7:傾向の法則 … 線などで物理的つなげられているものを同じグループと認識する傾向


ホワイトスペース

チャートやプレゼン資料等において出来る「ホワイトスペース」(余白)を恐れ無理にチャートを大きく引き伸ばしたり画像を差し込んだりしない事。画面のがごちゃごちゃ(クラター)になったり、不整列状態になったりする。ホワイトスペースは、文章の「句読点」やスピーチの「間」に相当するもので相手に伝える為には必要なエリア。

悪い例:注釈で余白を埋る行為
改善例:横棒内にラベルで表現

無意識的視覚情報で文字に優先順位をつける

左:無意識的視覚情報なし  / 右:色
左:サイズ: / 右:アウトライン
左:強調 / 右:斜体
左:間隔を開ける  / 右:アンダーライン


Section 04 ストーリーを伝える


物語(ストーリー)を通じて人を説得する。

説得の方法は2種類存在している。

「理性による説得」ビジネスの世界では一般的に箇条書きの事実や統計データを盛り込んで人を説得します。しかしそのやり方には問題も内包しています。説得は相手の頭の中で説得に対して反証し議論してしまうからです。

「感性による説得」物語は相手の感性に働きかけ理性から導き出される結論よりも優先される場合がある。


魅力的な物語を作る7つの秘訣

  1. 自分が本当に関心の持てるテーマを見つける。

  2.  長々とおしゃべりをしない。

  3. シンプルを心がける。

  4. 減らす勇気を持つ。

  5. 自分らしくあること。

  6. きちんと伝える。

  7. 読み手に配慮する。


三部構成で作る

第1章は始まりとなり設定を伝える。前提条件、環境、登場人物、問題、課題、そして望むべき結論・結果を伝える。

第2章は物語の中間(展開)となり可能性や行動の必要性を伝える。問題・課題をどのように解決できるのかを見せ注意をひきつけます。提案する解決策をなぜ採用した方がよいか、もしくは行動したほうがよいかを伝える。

物語の中間を構築する要素

  1. 関連する背景を増やし状況や問題について議論を発展させる。

  2. 外部の資料やデータを使い比較するものを組み込む。

  3. 問題を説明する例を示す。

  4. 問題を示すデータを入れる。

  5. 行動しない場合のリスクを明確にする。

  6. 問題に対しての選択肢を提案する。

  7. 推奨する提案のメリットを説明する。

  8. なぜ相手が行動を起こす立場にあるかを説明する。

第3章は終わりとなり行動を呼びかける。相手に何をしてもらいたいかを明らかにします。提起した問題と行動の必要性を再度説明し緊急性を繰り返しすぐに行動する事を促します。


ナレーションの効果

物語を成功させるにはナレーションが大切です。口で語る言葉は感性に訴え重要であることや面白いこと注意するべきことを伝えることができます。美しいビジュアライゼーションも魅力的なナレーション抜きには価値のない無機質なものになる可能性があります。

ナレーションの流れについて
・結論を先に望む相手?
・まず信頼関係構築が必要な相手?
・プロセスを重視する相手?
・単に答えだけを望む相手?
・相手からの意見を必要とするケース?
・意思決定をもらうケース?
・相手に行動してもらいたいケース?
・最も望ましい形で相手に納得してもらえるかが必要なケース?

ナレーションは相手を導く語り手。ナレーションの流れは完全に明確になっている必要があり明確でない場合、相手にとっても明確にはなりえない。資料の場合、冒頭に物語の重要なポイントを書くとエグゼクティブサマリーになります。最後に冒頭のポイントを繰り返します。これで全体の構造を作り明確に伝える事でき繰り返す事で相手の記憶に残ります。

時系列に並べる流れ
分析プロセスの場合、問題提起に始まりデータ収集、分析、解決策の導出、アクションの提案をします。相手に同じ道筋(プロセス)をたどらせ同じ体験をしてもらう。相手が道筋(プロセス)に興味がある場合は効果的だが結論に興味がある場合は逆効果となる。

結論から並べる流れ
相手と信頼関係を構築している場合や結論に興味がある相手の場合は結論から始める。結論から始めるメリットは、相手がどのような役割を担うのか、残りの物語をどのような視点で見ればいいのか、物語を聞き続けるべきなのかが最初から明らかになっていることです。

プレゼンテーション時のナレーションは、どの部分を資料に書きどの部分を口頭にするかを考える必要がある。

ライブプレゼンテーション
ライブプレゼンテーションの注意点としてスライドの情報が多すぎる場合、話しよりもスライドを読むことに注意が払われることが起こる。また相手が予期しない行動をとる可能性がある。例えばトピック以外のことで質問したり論点が戻ったりなど。プレゼンテーションの軌道から外れるのを防ぐ方法としてプレゼンテーションの冒頭にプレゼンテーションの最後に質疑応答時間を設けていることを伝えましょう。また聞き手の役割とプレゼンテーションの構成を伝えておくとスムーズに進行できます。結論から始める場合は、そのことを事前に伝えておきましょう。

文章・資料
資料上にデータやチャート、文字数字の羅列とは別にナレーションによる説明を記述します。


水平ロジック

各スライドのタイトルを読むとストーリーが分かる構成。タイトルを読んでストーリーを伝える為にはタイトルをアクションタイトルとする必要があります。アクションタイトルとは、説明的ではなく行動を呼びかけるタイトルとすることです。水平ロジックの組み立てには、冒頭にエグゼクティブサマリーの箇条書きとその後のスライドタイトルが同じ順番になっていることが必要です。


水平ロジックの例

垂直ロジック

垂直ロジックは、すべての情報が「自己強化」することを意味します。スライドの内容はタイトルを強化しタイトルは内容を強化します。言葉は図表を強化し図表は言葉を強化します。そこには何も余分な情報や無関係な情報はありません。何を削除するか何を残すかと同じくらい重要になります。

垂直ロジックの例

水平ロジックと垂直ロジックの両方を採用すれば、伝えたい物語がより確実に伝わるようになります。


逆ストーリーボード

各スライドから伝えたいポイントを抽出しアウトラインを作成します。

逆ストーリーボードの例


まとめ

物語(ストーリー)は魔法です。事実を並べるだけでは相手を動かす事が出来ない場合があります。
物語は相手を魅了し記憶にとどまる力を持っています。
もちろん相手を動かす力もです。

物語は、始まり(設定)、中間(展開)、終わり(アクションへの呼びかけ)が必要です。衝突と緊張は相手の注意をひき、維持する鍵です。物語の構成する中心要素のひとつがナレーションです。

ナレーションは順序(時系列もしくは結論から)と方法(話し言葉と文字や図表)から成り立っています。
また繰り返すことで相手の記憶にとどまります。
水平ロジック、垂直ロジック、逆ストーリーボードを使い物語が明確に伝わります。

物語の主人公は相手です。
相手を主人公にすることで相手を物語の中に引き込むことが出来ます。

理性で相手を動かすのではなく感性で相手を動かすのが物語です。
データ分析の世界ではデータストーリーテーリングと呼びます。



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