Walk together No3. fin.
蒼汰「月1は絶対ね」
〇〇「え?」
この約束にその条件、つく?
蒼汰「月末までに連絡なかったら、俺、電話するからね。LINEのスタンプだけ、でもダメだよ」
〇〇「ふふ。可愛いこと言うねー。テレビで見てたイケメンくんが目の前でこんな可愛いらしいこと言ってるの、変な感じ 笑」
蒼汰「イケメンくん、て、、、」
〇〇「今までは、蒼ちゃんだったけど、今日いきなり福士蒼汰なんだもん。わかるかなー、この感じ」
蒼汰「うん、、、ちょっとわかった。おめかし失敗だった。笑」
〇〇「失敗じゃないよ!めちゃくちゃカッコいいよ!で、遠く感じるのかも。テレビ見てるみたい。」
蒼汰「、、、帰りたくなってきた。」
〇〇「ごめんごめん。カッコいいんだよ!凄く、テレビでも、キレーな顔の子だなーって思ってたの」
蒼汰「、、、ありがとう、、」
そう言いながらも、まだ少し拗ねてる蒼ちゃんの顔を覗きこむ。
テーブルに少し乗り出して、目をそらす蒼ちゃんの目を追いかけっこする様に追いかける。
蒼汰「いっぱい食べたね。」
〇〇「笑 そうだね。帰る?」
終わっちゃうのか、最後の夜、と寂しくなる。
蒼汰「うん」
もう少し居たかったな、でも、機嫌を損ねさせたのは私だから。。。
お手洗いに立っている間に、お会計は終わっていて、貰った紙袋を持って席を立つ。
ごちそうさま。と挨拶すると、さっき東京店の事を聞いた店員さんが、SHOPカードを渡してくれた。
東京へも是非お越し下さいと。
丁寧にお礼を言って、店を出る。
〇〇「ごちそうさま。ありがとう。」
蒼汰「ん。ちょっと歩ける?その靴。」
ちらりと私のサンダルを見る。
5センチも無いくらいのヒール。
〇〇「大丈夫だよ。」
蒼汰「ホテルまで、ちょっと川沿いを歩こう。」
〇〇「ん。」
あんなこと、言わなきゃよかったな
後悔で口数が減る。
もう、最後の夜なのに。
もう、会えないかもしれないのに。
やだ。
蒼汰「名古屋、楽しかったな。」
〇〇「うん。私も。」
なんかギュッとなる。
少しの段差に足がとられて躓く。
蒼汰「大丈夫?はい。」
差し出された手を繋ぐのはなんだか恥ずかしくて、腕をからめる。
近くで蒼ちゃんを感じながら、あ、蒼ちゃんだった。福士蒼汰も蒼ちゃんだったのにと。反省する。
〇〇「変なこと言って、、、ごめん。」
蒼汰「んーん。拗ねてるんじゃないよ。
寂しいだけ。」
やだ。もう会えなくなるのは、やだ。
〇〇「ね、、、もう1回、、、キスして?」
蒼汰「え?」
あ、、、
言っちゃった。。。
唐突すぎた。
驚いた蒼ちゃんの声が川沿いに響いた。
慌てて訂正するように、言い訳を付け足す。
〇〇「、、、名古屋の思い出。だめ?」
最初のキスは骨董市の帰り。ホテルの駐車場で。
子どもじゃないよと真顔で言う蒼ちゃんに、ドキっとした。
川沿いには誰もいなくて。
私をじっと見つめて。
この間の一瞬のキスとは違う
息が苦しくなるようなキス。
蒼汰「、、、ダメなわけないじゃん」
言い訳したのに、やっぱり我慢出来なくて
思わず溢れた言葉。
〇〇「も1回、、、」
蒼ちゃんが頭を支えながらキスをしてくれる。
深く、、、深く
蒼汰「ちょ、、、だめだ、、、」
私から離れる蒼ちゃんに思わず言葉が追う。
〇〇「本、、、私の部屋に忘れた、、、まま。」
蒼汰「取りに行っていい、、、?」
〇〇「ん。」
歩きながら、どちらともなく軽いキスを何度もする。ホテルに戻ると別々のエレベーターに乗り、私の部屋の階に着くと2人で部屋に入る。
〇〇「、、、本」
蒼汰「、、、あげる」
言った途端、寝室の電気をつける前に、蒼ちゃんがキスをした。
ベットに倒れ込んで、また。
蒼ちゃんがワンピースのファスナーをするりと下ろす。
下着が露わになると、横になった私の上から少しずつ、少しずつ。味わうように、体にキスをする。
ジャケットはもう着ていなくて
シャツの上からでも、鍛えられた筋肉質な体はわかるほどで、一気に脱いだシャツの下に思わず手を滑らせる。
〇〇「すごい、、筋肉、、、」
蒼ちゃんの手が背中に伸び、私が露わになる。
優しく、優しく包むように。
蒼汰「いいの?」
〇〇「、、、だって、、、」
いつの間にか何もなくなり
私を見下ろすその
優しく微笑む笑顔にまた反応してしまう。
〇〇「や、、、笑」
恥ずかしくて思わず顔を背ける。
やだけど、だけど、もう会えないかな、最後なのかな、その気持ちがお互いを昂ぶらせ、互いを何度も求めてしまった。
穏やかな気持ちで蒼ちゃんの腕に包まれる。
蒼汰「スマホを落としてなかったら」
〇〇「笑 そうだよね出会ってない。」
蒼汰「ねぇ、これでもう会えません。って、
俺無理だよ?」
〇〇「東京に戻ったら
忙しくて忘れてちゃうよ。」
私の涙を拭いながら、目を見てゆっくりと話だす。
蒼汰「好きなんだ。」
蒼汰「大っぴらには会えないし、会う回数も減ると思う。だけど、、、付き合って欲しい。迷惑かけないように慎重にする。家とか、決まったお店、とかになっちゃうと思うけど、〇〇のこと守るから。」
〇〇「ほんとに?笑」
蒼汰「俺、頑張るよ! 既に俺のワガママ
通おそうとしているけどね 笑」
〇〇「、、、う、うん。、、なんか、、、
覚悟、、、決まった!、、、私も好き。」
蒼汰「うはぁぁーーーーーー!本当に?あぁぁ良かったー!もぉーーーずっと言わせてくれないし、伝わるかなーて思っても、流されるしさ。
なのにキスして、とか言うしさーー!もう、どうしようかと思った。道端で襲いそうになった!」
〇〇「ごめん、、、私もどうしていいのかわかんなかった。好きすぎて、冷静になれって、自分諌めて。また蒼ちゃんに会ったら、んーてなって。」
蒼汰「んふ笑 可愛いすぎ!」
また抱きしめられて、お互いに笑う。
〇〇「笑 明日起きれないよ。おやすみー笑」
蒼汰「照れてんのー笑 おいで。おやみなさい。」
腕枕して寝てくれた。
少ししても眠れなくて。
横を向くと目をつぶった蒼ちゃんがいて。
色々考えてまだ眠れなくて。
次に会えるのはいつかな、と切なくなる。
蒼ちゃんの寝顔を見てまだ涙が出た。
可愛い子や綺麗な子が近くにたくさんいるんだから、本当に直ぐに忘れられちゃうかもしれない、、、
付き合うなら付き合うで、不安。
蒼汰「、、、泣かないで、、、」
〇〇「え、起きてたの、、、」
蒼汰「寂しいのも不安なのも、一緒だよ。」
〇〇「ごめん、、、おやすみ。」
蒼汰「毎日連絡する」
〇〇「、、、毎日じゃなくていいよ 笑」
蒼汰「じゃあ、毎日連絡して」
〇〇「笑 うん。」
蒼汰「なんかさ、絶対付き合わない!てくらいの感じだったのに、凄い好きじゃん 笑」
〇〇「笑 本当だよね 」
蒼汰「もぉ、、、可愛すぎて辛い 笑」
蒼ちゃんにギュっと抱かれて、眠りについた。
朝、先に起きた私は、ベッドからスルリと抜け出て準備する。
新幹線の時間、ホテルをチェックアウトして、名古屋駅でPC開ける所探さないとな。
シャワーをサッと浴びながら、頭の中で予定を確認する。
バスローブを羽織って、寝室を覗くと蒼ちゃんはまだ寝ていた。
綺麗な寝顔。
ドライヤーをかけ、メイクをする。
寝室の荷物を音を立てないように気をつけてしまっていると、モゾモゾとベッドが動いた。
蒼汰「んーーーーー!」
〇〇「起きた?おはよ」
蒼汰「んーーー。きて。」
寝たまま、目もつぶって両手を伸ばしてる。
その手に吸い込まれるように抱きしめられる。
〇〇「もう少しで起こそうかな思ってたとこだよ」
蒼汰「今、何時?」
〇〇「6時、9時出発でしょ?」
蒼汰「うん。7時には部屋戻らなきゃでしょ?シャワーして30分、、、まだ少し大丈夫 笑」
〇〇「そ?」
蒼汰「シャワー浴びたの?」
〇〇「うん。」
蒼汰「化粧もしている、、、」
〇〇「うん。笑」
蒼汰「こんな脱がせやすそうなバスローブ着てるのに?」
〇〇「な、、、今、着ようかなって、、、」
蒼汰「なんで?まだ少し大丈夫だよ?笑」
そう言いながらバスローブの紐に手を伸ばす。
〇〇「だーーーーめ。準備するんでしょ?」
蒼汰「起きたら好きな人がいる、って、、仕方ない気がする、、、やだ?」
〇〇「、、、や、とかじゃなくってー」
蒼汰「もぉーーーー」
〇〇「オトナの魅力にハマりました?笑」
蒼汰「オトナ魅力、なのかな?、、、いや、可愛すぎるんだよな、、年上に感じない。」
どーかな?と思うけど、なんか、嬉しい。
〇〇「シャワー、浴びて?遅れちゃう」
蒼汰「一緒に?、、、は、もうだめ?笑」
〇〇「だめーーー。時間が、ね笑」
ぶつぶつ言いながら、ようやくシャワーを浴び、
支度をしていると、2人同時にLINEの通知音が鳴った。裕貴くんとのグループLINE。
裕貴LINE「おはよー♪ 今、同じホテルにいるんだけど、蒼汰と〇〇ちゃん2人一緒にいる?」
蒼汰LINE「うん、いるよー。」
裕貴LINE「笑 〇〇ちゃんの部屋?」
蒼汰LINE「うん」
裕貴LINE「5分後、
〇〇ちゃん、部屋行ってもいい?」
〇〇LINE「大丈夫だよー。」
裕貴LINE「2人ともちゃんと服 着とくんだぞー笑」
蒼汰LINE「( ̄▽ ̄)」
〇〇LINE「着てるよ笑」
〇〇「もーーー。」
蒼汰「ごめん笑」
すぐに部屋をノックする音が聞こえた。
蒼汰「おはよー。」
〇〇「おはよう。」
裕貴「おはよー。
やっぱり落ちたねー〇〇ちゃん笑」
ニヤっと笑う。
裕貴「2人とも今日移動日でしょ?この前、
ちゃんと送ってあげられなかったし。」
〇〇「わざわざ来てくれたんだ、嬉しい。
ありがとう。」
蒼汰「おー。ありがとうね」
裕貴「2ショットって、撮ってないでしょ?
チェキ持ってきたから、
名古屋の思い出に2人撮ってあげるよ」
あ、、、名古屋の思い出、、、。
蒼ちゃんと目が合った。
蒼汰「名古屋の思い出な 笑 ありがとう」
にやりとしながら見られるともう顔を上げられない。俯いた私に蒼ちゃんが頭をぽんぽんとする。
蒼汰「〇〇、撮ってもらお?」
〇〇「うん。」
裕貴「じゃー行くよー。」
「はい、チーーーーーーズ。」
パシャ。シャッター音と同時にごっつん。
お互いが相手側に頭を傾けた拍子にぶつかる。
〇〇「つぅーーー。」
蒼汰「ごめん 笑」
ぶつかった私の頭を撫でながら覗き込む。
でも、その顔はめちゃめちゃ笑顔。
〇〇「大丈夫、ごめん 笑」
裕貴「お前らなーー。ほんと、似てんな笑」
「何、頭ごっつんこしてんのよー。笑」
「あ、でもこれいい感じだわ。はい。」
何枚か撮ってもらった、チェキは
蒼汰「〇〇が持ってて。」と、私が預かった。
蒼汰ちゃんと2ショット嬉しい。
写真にもきっと制約があるんだろうな、と、ちょっと寂しく感じた。
優しいな。裕貴くん。
裕貴「じゃぁ、俺このあと取材あるから行くね。」
蒼汰「また連絡するな。ありがとう。」
〇〇「ほんと、ありがとうねー。
最後にちゃんとお礼言えて良かった。」
裕貴「うん。気をつけ帰ってな。もう行くわ。」
〇〇「あっという間に帰っちゃったね笑」
蒼汰「裕貴らしいわ笑」
一旦部屋に戻った蒼ちゃんが
支度を終えて部屋に戻ってきてくれた。
9時出発まであと30分ちょっと。
〇〇「私、チェックアウトまでまだ時間あるからね。」
蒼汰「でも、ちゃちゃっとやっちゃお。
〇〇の荷造り。」
1人だし、荷物も少ないし、ほんの数分で終わる。
蒼汰「座って」
ソファーの隣りをぽんぽんと叩く。
〇〇「ん。」
蒼汰「どの辺だっけ。家。」
〇〇「中目らへん、かな。」
蒼汰「行っていい?」
〇〇「、、、うん」
蒼汰「細かいスケジュールが分かったら連絡するね。たぶん、直前だけど」
〇〇「しばらくはバタバタしてるけど、時間は自由に調整出来るから大丈夫だよ」
蒼汰「、、、うん」
ゆっくりと答えた蒼ちゃんは、ゆっくり私の唇に唇を重ねる。
優しく腕に包まれながら、顔を覗き込み尋ねる。
〇〇「まだイベント行脚続くんでしょ?」
蒼汰「あと3都市かな。それが終わったら次の作品の撮影が始まるしね、、、。」
〇〇「その忙しさの見当がつかないけど、、、なかなか会えないってことだよね」
蒼汰「んー。かもねー。」
〇〇「夜遅くてもいいよ、、連絡、とか。」
蒼汰「しなくていいとか、言ってたくせにー笑」
恥ずかしくなって横を向くと、後ろから抱きしめられた。
〇〇「そろそろ時間じゃない?」
蒼汰「だね、、、」
〇〇「気をつけて、頑張ってね」
蒼汰「〇〇も」
私からのキス。
応えるように何度も唇が離れては重なる。
蒼汰「やば、、、」
〇〇「笑 もうタイムオーバーだからね」
蒼汰「むり、むり、、、」
〇〇「しかも、ない、、し。」
蒼汰「あったら?笑」
〇〇「、、、え?」
蒼ちゃんがスマホケースの中から小袋を取り出す。
〇〇「なん!」
蒼汰「さっき裕貴がね、最後に俺のスマホで写真撮ってくれた時、挟んで返して来たの。笑」
10数秒前の気持ちを取り戻すように濃厚なキスをされる。
いつから、こんなになっちゃったんだろう。
そう思うほど歯止めがきかない。
蒼ちゃんの首に手を回し、蒼ちゃんを感じる。
壊れた私。
蒼ちゃんが小さく呻めき、私も蒼ちゃんの肩にうな垂れる。
蒼汰「やばい、、、」
〇〇「、、はぁ、、もう、、、笑」
蒼汰「、、、やばかった」
〇〇「あ、ほんと、時間!!!」
テーブルのティッシュに手を伸ばし
大慌てで支度する。
蒼汰「俺、汗もやばい、、、笑」
〇〇「拭いて、拭いて!」
ハンドタオルで汗を拭くけど、なんとも言えないハードワークした感が拭えない。
先に部屋を出た蒼ちゃんがエレベーター前で私を待つ。一緒に乗って、蒼ちゃんの部屋のフロアまで上がり蒼ちゃんだけ降りる。
蒼汰「じゃあね、東京着いたら連絡してね」
〇〇「うん、わかった。」
扉が閉まり、また自分の部屋のフロアに1人降りる。
部屋の窓から小型バスが見えた。
窓際に立って見ていると、蒼ちゃんが出てきた。
蒼ちゃんがちらりと上を見る。
どの辺だったかな、と目が探してる。
気づくかな、でも恥ずかしいから小さく手を振る。
大きなホテルだから、分かんないだろうな。
私から見ても目があったかどうか分からない距離。
蒼ちゃんが下を向いた。
あ、気づかなかったかぁ…。
ピコン
蒼汰LINE「いた。笑」
慌てて返す。
〇〇LINE「見てた笑」
蒼汰LINE「行ってきます」
〇〇LINE「気をつけてね」
蒼ちゃんが小さく手を振って、バスに乗り込む。
しばらく見ていると、数人のスタッフさんが続いて乗り込んだ。
バスが出発した。
たまたま、その場所にいただけ。
たまたま、出会っただけ。
あまりに違いすぎる環境。
でも気持ちは同じで
窓から見ているよ、と言わなくてもどんなに遠くても見つけてくれる。
そんな蒼ちゃんに少し安心した。
これからの私達、
同じ歩幅で歩めないかもしれない。
お互いの背中が少し遠くに見えるほど
歩幅が合わなくなるかもしれない、けど、
見失わずに
ずっと一緒に歩めますように。
fin
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