Wark together No.1
Walk together
3月のある日。
出張で名古屋にいた。出張と合わせて休暇を取り、名古屋に住む友人と会う事になってた。
土地勘のないとこでの待ち合わせは不安しかなく、早めにホテルを出る。
待ち合わせ時間よりだいぶん早くに着いてしまい、どこかお店に入って待とうかと思ったけど、その場を離れない方がいいような気がしてスマホを触りながら待つ事にした。
行き交う人を何となく眺めていると、
右往左往する背の高い若い男の子が何度となく視界に入ってきた。
目深に被った帽子から何となく漂うオーラ。
その姿につい目が追ってしまう。
誰かわからないけど、たぶん有名人なんだろうな、、、そう思いながらまた目で追っていた。
しばらくするとオーラを纏った男の子が私のもたれている柱の反対側にやって来た。
間近で見て、あ、俳優の福士蒼汰だと気づく。
特に彼のファンという訳ではなかったけど、彼の作品は何作か知っていたし、TV番組に出演している姿に好印象は持っていた。
たぶんプライベートで来てるんだろうなと思いながら、スマホを触っていると
「すいません」
ハッとそちらを見ると、
帽子もマスクも外した彼が隣りに立っていた。
〇〇「はい?」
福士「この辺に公衆電話ってありますか?」
〇〇「ごめんなさい。私ここの土地勘なくて」
福士「あ…すいません。ありがとうございます」
心細そうな顔してお礼を言う福士くんと目が合い「お一人ですか?」思わず話し掛けてしまった。
福士「はい…友人と待ち合わせしているのですが」
〇〇「もしかしてスマホ失くしたのですか?」
福士「落としてしまい画面操作出来なくなっちゃって」と言うと
粉々になった画面のスマホを見せてきた。
〇〇「あぁぁぁ」
半分泣きそうな顔を見るとほっとけなくなり
〇〇「よろしければ、私のスマホ使います?もちろん掛けた後は履歴を削除しますから」
福士「それは、、、」
〇〇「どうする事も出来ないのなら、どうぞ」
少し考えた後、「じゃあ、お言葉に甘えて」と言いどこかに電話をした。
福士「ありがとうございます」
〇〇「いえ。お役に立てて良かったです」
にこりと笑うその笑顔は紛れもなく福士くんだった。
福士「あ、僕、福士といいます。」
〇〇「存じ上げております笑 〇〇です。」
福士「〇〇さん、本当にありがとうございます」
〇〇「マスクと帽子しなくて大丈夫ですか?」
福士「あっ!テンパっちゃっていつの間にか外してました笑」
安心したのかやたらと爽やか笑顔を振りまき福士蒼汰丸出しで、私にも周りの目線が刺さり始めていた。
〇〇「気付かれ始めてますよ」
福士「あ、すいません笑」
帽子を目深に被るけど既に福士くんが溢れていた。
福士「!!!!!」
何か思い出したのかビクッとすると粉々のスマホを顔の前で持ち「hey! Siri!」徐に呼びかけた。
Siriが起動すると目を見開き喜びを表した。
福士「え!凄くない?起動するじゃん笑」
〇〇「凄い!よく気付きましたね!!!」
画面操作が出来なくてSiriで今話している旨を
何箇所かに連絡しているようだった。
全く隠しきれてないけど彼の盾になるように立っている私はマネージャーか?と可笑しくなる。
なんとなくほっとけない。一般人とは違う特別な魅力なのかなと思いながら、話し終えるのを待っていた。
一通り連絡出来たようで、嬉しそうに振り返った。
福士「名古屋はお仕事なの?」
〇〇「はい。出張で来てるんですが少し休暇も兼ねてます。」
福士「あ、すいません。友達みたいに聞いちゃいました。」
〇〇「私、福士くんより年上だけど笑 うん。その方がいい。」
私は、彼を知っているからなんとなく年はわかっているけど、彼は私を知らないんだ。
〇〇「プライベートなの?」
福士「そう。仕事が終わって、途中マネージャーと別れてね。」
〇〇「で、スマホ落として?」
福士「画面バキバキになっちゃった笑」
「ご愁傷様です」と2人でお辞儀をし向かい合って思わず微笑んだ。
あれ。なんだこれ?
福士「じゃあーそろそろ行くね」
〇〇「うん。応援してるね。頑張って。」
福士「色々ありがとう。助かりました。」
これ以上一緒にいて何かの問題になったら大変だ。
じゃあね。と歩き出した彼を見送っていると、
あっ、と、何か言いたげな顔で振り返った。
何?と思った同じタイミングで、誰かに呼ばれたのか直ぐに向きを返して、小走りで消えていった。
しばらくして、友人が到着した。
サラベスでお互いの近況報告しながら食事を楽しんでいると
友人「そういえば、福士蒼汰くんがさっき歩いてたみたいよ?会ってみたかったー♪」
〇〇「へーーー、、、」
友人「何かロケしてたのかな?」
そう話しながらスマホで何かを検索し
その画面を私に見せると、外国の映画祭で堂々とスピーチしている福士くんの映像が、映し出されていた。
あれ、私ほんの数時間前まで彼と話してたんだよね、、、画面の中の彼があまりにも違う世界すぎて福士くんと話した数分間が、夢だったんじゃないかって思ってしまう。
友人は家庭があるし、私は明日一日仕事があるので、残念ながら夜遊びとまでは行かず、早々にホテルに戻り準備をして眠りについた。
出張先ということもあり、どっと疲れが出たのかベッドに入った次の瞬間もう朝だった。
TVをつけると、ちょうど映画の番宣で福士くんがインタビューを受けている映像が流れていた。
名古屋のローカル番組のようで、昨日の仕事ってこれかな?と思いながらスーツに着替え支度をした。
スマホのメールチェックや仕事関係のアプリチェックをしながら、着信発信履歴も見てみると掛けた覚えのない番号があった。
直ぐに昨日福士くんに貸してかけた時のモノだと気付き約束通り履歴を削除した。
その日のランチは、有名なひつまぶしのお店での接待ランチで、出張ならではの高級店に心が踊っていた。予約席に通してもらうとお店の一角でロケをしているのが見えた。
さすが有名店だなぁと見ていると、福士くんと共演者らしき人と数名でひつまぶしの食レポをしていた。
((うそでしょっっっ))
驚いて声が出そうになったのをぐっと堪えた。お取引様が「撮影に出会すなんてラッキーだね」と言ってた気がするけど、ビックリしすぎて思考停止してたのか一瞬記憶がない。少し落ち着いて撮影している方を見ると福士くんと目が合ったのがわかった。
ただの偶然だよと思いながらも
昨日といい、今日といい、どーなってるんだろ?
出張のお仕事を無事に終え、ホテルに戻るタクシーの中で知らない番号から着信があった。
普段から知らない番号は取らないし、それが何か大切な連絡なら何度もかかってくるはずだからと、その時は電話に出ないでいた。
ホテルに戻り、シャワーを浴びてほっと一息つき、テイクアウトしたサラダを食べながら、スマホを見てみると同じ番号から何度か着信履歴が残っていた。誰からだろう?お仕事関係からだったら何かトラブルかもと思い掛け直してみると
「もしもし。〇〇さん?」
〇〇「福士くん?」
福士「すいません。昨日お借りした時に電話をかけた先は母でして、母のスマホの履歴から〇〇さんの番号を聞いて電話してます。」
〇〇「ちょっと。それって笑」
福士くんの方が約束を破っちゃうなんてと思いながら耳を澄ませて、その心地よい声に聞き入ってしまっていた。
福士「どうしても電話したくて、ごめんなさい。」
〇〇「もういいよ。スマホあれからどうしたの?」
蒼汰「今朝、新しいのを用意してもらいました。」
〇〇「良かったね。」
福士「うん。それで今日、これからって会えるかな?」
〇〇「えっと、、予定があって、、、知り合いのBarに行くんだけど、、、」
福士「そこって俺も行ったら迷惑?」
〇〇「私1人だし。いいけど、、福士くんこそ大丈夫なの?出歩いて?」
福士「うん。友達も誘ってみる」
〇〇「じゃあお店の住所教えたらいい?」
福士「LINE ID教えてくれる?お店のURL貼って送って欲しい」
分かったと言い、LINE交換してお店のURLを貼ると直ぐ既読になり、ありがとうのスタンプが返ってきた。
社会人になりたての頃、会社の先輩によく連れて来てもらったBarの名古屋店がオープンしたので、一度顔を出したかった。
雑貨ビルの奥まったところに名古屋店があった。
カウンターとテーブル席が1つだけのこじんまりとした店内。当時は大人な雰囲気が嬉しくてよく通っていた。名古屋店も同様とっても雰囲気も居心地も良かった。
私と入れ違いで先客が帰ったので、店内のお客さんは私だけだった。
久しぶりに会うオーナーさんは深みが増して、よりダンディになっていた。よく来てくれたね。ありがとうと。優しく迎え入れてくれた。オープン祝いのお花を渡すととても喜んでくれた。
オーナー「何にしますか?」
〇〇「フローズン。フルーティなやつで」
オーナー「笑 昔と同じだね」
〇〇「覚えてくれてるの?」
オーナーさんの優しい微笑みが返ってきた。
カウンターに座りオーナーさんとあの頃の話しや近況を話しをしていると、頭に何か乗った感触がした。
見上げると私の頭に手を乗せた福士くんがいた。
〇〇「へ?あ、来た。」
福士「えーーー何それ笑」
〇〇「来ると思ってなかった笑」
裕貴「どもっ。友人の山田裕貴です」
福士「俳優の友達です。」
〇〇「山田裕貴くん…初めまして〇〇です。」
(あ。俳優さんね。見たことある感じがするはずだ。)
裕貴「〇〇ちゃんよろしくねー♪」
福士「〇〇さんね」
裕貴「ん?」
「〇〇ちゃん蒼汰から聞いたよー♪マジで凄い運命的じゃない?」
〇〇「運命的って笑」
福士「だから、〇〇さんね!」
〇〇「呼び名のくだりガン無視だね裕貴くん笑」
わらわらと3人でテーブル席に移動して、それぞれのグラスが揃うと
裕貴「この出会いにcheers!!!」
福士、〇〇「cheers!!!」
勢いのある乾杯に声を出して笑ってしまった。
乾杯すると直ぐに、裕貴くんはカウンターに行ってオーナーと楽しく話し始めていた。
〇〇「裕貴くんて凄いテンションだね。」
福士「いいヤツなんだ。数少ない友達。笑」
〇〇「そうなの?友達多そうなのに。」
「人懐っこくて憎めない感じだね」
福士「うん♪」
〇〇「わぁ。眩しい笑」
福士「え?何?」
〇〇「笑顔が、眩しかったです。」
福士「そ?笑」
こんな綺麗なお顔を近くで見てるこの状況に頭がついていってない。
福士「で!今日さー昼間、会ったじゃない?」
〇〇「うん。びっくりだったわ」
福士「これはもう絶対連絡しなきゃって思ったの!」
〇〇「そうなんだ…ありがと笑」
福士「えー何それ!あれ?さっきもこのフレーズ言っな笑」
〇〇「デジャブかな笑」
福士「でも、また会えて嬉しい。」
さらりと目の前でそんな事言われると、まともに福士くんの顔を見る事が出来ず、俯いてしまった。
〇〇「どうも。。。」が精一杯。
福士「改めて、昨日は本当にありがとう。〇〇さんがいなかったらどうなってたのか思うと、怖いよ。」
〇〇「声をかけて来たのは福士くんだよ?」
福士「〇〇さんがあそこにいてくれて良かった。」
〇〇「いやいや、私もだよ。私ですら知っている俳優さんと話が出来るなんて笑」
福士「絶対思ってない。」
〇〇「いやいや、そんなこと笑」
福士「笑ってんじゃん笑」
〇〇「笑。まぁでも感謝しなさい、おばさんに」
福士「〇〇は、お姉さんだよ」
〇〇「〇〇⁉︎ いいねー笑」
福士「ちゃん、いる?いらないでしょ?笑」
ちゃん、ていう歳でもないしな。と思いながら
お互いオーダーしたカクテルを飲み比べして笑った。
福士「全然関係ないんだけど聞いていぃ?何で裕貴くんなの?」
〇〇「ん?何が?」
福士「では問題です 。〇〇は俺のこと何て呼んでますか?」
〇〇「福士くんです。」
福士「正解。では山田の事は何て呼びますか?」
〇〇「山田って、裕貴くんだよね?裕貴くんです。」
福士「はい、ぶぅぅぅー。俺と裕貴、〇〇と過ごした時間が長いのはどっち?」
〇〇「福士くん。」
福士「正解。なら、俺が福士くんなのに裕貴は裕貴くんなんて納得出来ません。山田さん。もしくはそちらの方でもいいぐらいです。」
〇〇「意味が分かりません」
福士「裕貴くんと呼ぶなら、蒼汰にしてください」
〇〇「え?そういう事?」
福士「いいでしょ?」
〇〇「笑。可愛いねー」
福士「バカにしてるなぁ?」
〇〇「いや。本心ですよ笑」
福士「あと、蒼ちゃん枠もありす。」
〇〇「では蒼ちゃん枠を頂きます笑」
なに?このやり取り笑
裕貴「何なに?なんの話し?俺のこと呼んでなかった?」
蒼汰「なんもないよ。教えない笑」
〇〇「笑」
裕貴「何だよ!イチャつくなよ!」
〇〇「何言ってんの笑」
オーナー「お似合いだよね。〇〇ちゃんにもようやく春が来たんじゃない?笑」
〇〇「ちょっ!オーナーまで!ようやくとか言わない!しかも10ぐらい下でしょ?ないない笑」
裕貴「えー?〇〇ちゃんて36?」
〇〇「待って、蒼ちゃんてまだ26なの?、、、あ、じゃあ、10以上だわ、、、わぁーーーこれ以上掘り下げないでよ!ね!お願いだから!!!」
蒼汰「俺、そこそこ大人だよ。それに5月には27歳」
〇〇「誕生日が5月なのね笑。まぁ26なら立派な大人だね。それでもだいぶん下。笑」
運命的とかイチャつくとか言われて、勘違いしかけてた。年齢を聞くと現実に引き戻され一気に酔いが冷めた気がした。
いい気になってた自分が恥ずかしい。
蒼汰「ねー何で26はダメなの?運命的じゃない?」
〇〇「いやいや。もしかしたら、26と28とかだったらそう思うかもねぇ」
蒼汰「あのさー。50歳の男性は良くて、なんで26歳がダメなの?ねー。」
〇〇「めっちゃ絡むじゃん。酔ってんの?」
「あのね、ダメとかじゃなくってさ、俳優さんだよ?しかも私ですら知っているイケメン俳優さん。」
蒼汰「同じ人間ですよね?」
〇〇「うん。でも住んでる世界が違いすぎるよ」
蒼汰「違わない。昨日も今日の昼も、そして今は目の前で一緒にお酒飲んで話してるじゃん」
〇〇「まーね…はい…」
蒼汰「ふふ笑。論破される気がしない笑」
〇〇「めっちゃ悪戯っ子みたいに笑うねー」
裕貴「蒼汰ー。〇〇ちゃん困ってるじゃん!グイグイ行きすぎるなよ笑」
蒼汰「あ。ごめん。」
〇〇「ううん。」
裕貴「そんなグイグイいく蒼汰初めて見るわ!」
蒼汰「言うな恥ずいわ!」
裕貴くんからの助け舟にほっと胸を撫で下ろしたけれど、自分の顔がひきつってるのがわかった。動揺している自分にしっかりせねばと気を引き締め直す。
蒼汰「名古屋は確か仕事でしょ?いつまでいるの?」
〇〇「今日、火曜日でしょ?金曜日午後の新幹線で東京に帰る。」
蒼汰「〇〇て、東京の人なの?」
〇〇「うん。今はね。蒼ちゃんはいつまで?」
蒼汰「明後日一旦東京戻るけどまたその日のうちに名古屋入りだったはず。」
〇〇「行ったり来たり大変なんだね」
裕貴「〇〇ちゃんは明日何か予定あるの?」
〇〇「特には。郊外に行ってみたいけど運転得意じゃないし、ホテルの中でのんびり過ごすかも。」
蒼汰「じゃあさー。明日一緒に行かない?」
〇〇「ん?」
裕貴「俺も蒼汰も明日は1日オフなの。で、俺の地元で毎月、骨董市っていうがあってね。出店もあるし、花見も兼ねて蒼汰とドライブする予定なの。」
〇〇「いや、それはちょっと流石に図々すぎるよ。」
裕貴「何で?いいじゃん。桜見たくない?」
蒼汰「ね?一緒に行こ?」
確かに、東京に帰ればいつもの日常にもどる。
地方での思い出作りに少し夢みたいな事してもいいかなって、思えてきた。
〇〇「んーーー。じゃあ行こうかな。」
裕貴「決まりな!〇〇ちゃんホテルどこ泊まってんの?」
〇〇「⬜︎⬜︎ホテル。」
蒼汰「うそ!同じホテルじゃん!」
裕貴「マジか!」
裕貴「じゃあ明日10時にホテル迎えに行くわ」
「蒼汰、〇〇ちゃんをLINE招待して」
蒼汰「〇〇いい?」
〇〇「もちろん笑」
蒼汰「ほんと?〇〇には俺が個別で連絡してもいいけど?」
〇〇「お任せします。私はどちらでもいいよ。」
裕貴「だから、イチャつくなって!」
「何だろ?とってもムカつくんだよなー笑」
蒼汰「裕貴わかったよ。絶対に個別LINEするなよ」
蒼ちゃんがスマホを操作して、私のスマホが鳴った。
〇〇「裕貴くん、よろしくね」
裕貴「よろしくー♪じゃぁそろそろ出ようかね?」
蒼汰「そうだな。」
いつの間にかもうお会計は終わっていた。
裕貴「〇〇ちゃん、いいよ。」
〇〇「悪いよ!」
お財布を出そうとする手をそっと握りながら
蒼汰「今日は、俺がわがまま言って来ちゃったからね。」
〇〇「そ、そう?ありがとう。御馳走様。」
オーナー「タクシー店の前に止めてますのでどうぞ」
裕貴、蒼汰「ありがとうございます。また、お邪魔させて下さい。」
〇〇「今日はありがとう。戻ったら東京の店にも行こうかな。」
オーナー「是非お越し下さい。お待ちしております。」
オーナーに挨拶して店を出る時、reservedの札が扉に掛かってるのが見えた。
さすがだわと、オーナーの気配りに感心しながら、
3人でタクシーに乗り込んだ。東京の店にも絶対また行こう。
私の部屋の前まで2人とも送ってくれて、また明日と別れた。蒼ちゃんが何か言いたげだったけど、最後まで手を振って、ドアを閉めて。のジェスチャーをしていた。あ、そうかとすぐドアを閉める。
お風呂に入ってベッドに入り、スマホを見るとLINEが入っていた。
蒼汰LINE「おやすみー」
〇〇LINE「お休み。明日寝坊しないようにね」
蒼汰LINE「起きたらLINEして?」
〇〇LINE「うん。蒼ちゃんもね」
蒼汰LINE「やば。なんか、、、嬉しい」
〇〇LINE「お休みー笑」
ちょっと、喜びそうな返信をしてしまった。
何やってんだと、布団を頭から被る。
翌朝8時に起きる。
昨日から動きのないLINE。
蒼ちゃんも。て!おい!
シラフで読んで恥ずかしくて身震いする。
〇〇LINE「おはよー。」
とりあえず送って、シャワーをする。
支度を終えてコーヒーを飲んでいるとドアをノックされた。
覗くと蒼ちゃんが立っていた。
〇〇「おはよ。どうしたの?」
蒼汰「おはよ。迎えにきたの」
〇〇「まだ早いよね?蒼ちゃんもコーヒー飲む?」
蒼汰「え、うん。ありがとう」
コーヒーを飲みながら街を眺める。
〇〇「名古屋もいいとこだね」
蒼汰「うん」
〇〇「こっち来る前にTVのバラエティで蒼ちゃん見たよ」
蒼汰「あ、TBSのやつだな」
〇〇「わかんない。ドラマチームでアトラクションみたいなゲームしてたよ」
蒼汰「まだオンエア見てないわ。めっちゃ難しかった笑」
〇〇「頑張ってて可愛かった。
街で右往左往している時もオーラ溢れてた。」
蒼汰「え?」
〇〇「東京戻ったら、たぶんもう会えないよね?」
蒼汰「なんで?会えるよ。」
ホテルの一室で名古屋の街並みを眺めながら、隣でコーヒーを飲む福士蒼汰がいるこの状況があまりにも現実離れしていて
夢かな?と。少し寂しく感じた。