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「いつでもスマイル」という呪いと女性が歌う強い歌。

昨日あったFNS歌謡祭。

個人的にCreepy nuts×SixTONES田中樹を楽しみにして見ていました。

この二組のコラボレーションを見終わってからも続けてずっと見てたんだけど、そこで森七菜さん登場。

私はSixTONESのファンなので、お!松村北斗(映画「ライアー×ライアー」で森さんとW主演で共演)見てるか!って思ったり、勝手に森さんのことは妹みたいな気持ちで見てたんだけど、森さんが歌った「スマイル」を聞いて凍りついてしまった。

何、この歌。

この歌が使われてるCMは見たことあったしその時も何も思わなかったし(というかそんなちゃんと聞いてなかった)、シーンによっては聞こえ方も違うんだろうけどゴリゴリの音楽番組でのこの歌はきつい。

先に言っとくと、森さんは可愛かった。歌もうまかった。森さんは悪くない。と、少なくとも私は森さんを擁護したい。

でも、見ている人全員が簡単に笑えるわけではないだろう中でこの歌をチョイスする理由は?そんなことも想像するに難しかった?

「いつでもスマイルしようね」

「とんでもないことが起きてもさぁ」

いやいや、「とんでもないこと」の解釈は人によって違うかもしれないけど「とんでもないこと」があったら大抵の人は笑えないよ。それでも笑えって言われてるみたいで、心の底から辛かった。

「いつでもスマイルしててね」

「深刻ぶった女は綺麗じゃないから」

「すぐスマイルするべきだ」

「子供じゃないならね」

完全に女を飾り物だと思ってる歌詞だと思った。笑わない女は価値がないとでもいいたいのかな?女の感情なんて取るに足らない物、そんなの関係なしに笑ってないといけない生き物と思われているみたい。女性に向けてだけ笑ってろって言ってる曲じゃないのかもしれないけど、「深刻ぶった女」は完全にアウトだよな。そもそも「ぶった」という表現も気になる。「深刻な女」じゃなくて「深刻ぶった女」。女が深刻になることなんてないかのような。女に知性が備わっていないように聞こえる。いつでも能天気で、どんな時でも笑ってる。いねーよそんな奴。

それを、純粋無垢な森七菜さんに歌わせる残酷さよ。しかもジェンダー平等を謳うこの時代に。ましてや森さんはこの時代を担っていく大切な存在だよ。本当何を考えてるの?最低な気分になってしまった。

その後に登場したTWICE。披露したPerfect Worldの歌い出し、

「愛想なくてI apologize」

「君とはこれでおしまい」

早くも全私が立ち上がって大拍手を送りました。

まさにそれ。いつでもスマイルしててねなんていう奴とはおしまいだわ。

逆に作られた演出??と思うくらい綺麗な女からの反撃というか。TWICEのPerfect Worldは男性にコントロールされない女性の力強い曲にとても励まされた。

その後もファーストサマーウィカさんの力強い「うっせえわ/Ado」(最高でした)、

私の中で今回のFNS歌謡祭の大優勝の橋本愛さんはあんまり笑わずに「ギブス」を歌ってたけど最高に綺麗だったし、

THE BLUE HEARTSを歌う上白石百音さんも素敵だった。スマイル後の流れが「女性が歌う強い歌」あるいは「強い女性が歌う歌」っていう印象が強かったから、あの森さんのスマイルには悪い意味でぶち抜かれました。

女はいつでもニコニコ笑ってる人形じゃありません。

辛い時は辛いし、たとえ楽しい時でも嬉しい時でも笑うかどうかは自分で決めます。

そして深刻な顔してる女は綺麗です。真剣に何かに取り組んでいる表情です。

男性にとって横でいつでもニコニコ笑ってる都合の良い存在ではないのです。

もちろん男性も。そういう意味で対等です。

笑う時は自分で決めていいし、女性の隣でずっとかっこつけてなきゃいけない都合の良い存在でもありません。

きっとそんな価値観は「古い負の遺産」になりつつあるのかもしれないけど(そう祈ってる)、いまだに「女らしさ」「男らしさ」のジェンダーの悪しき価値観は色んなところに蔓延っているんだなと感じた。

でもそんな中でも昨日はたくさんの歌に励まされた。こんな世の中でも文句を言いながら戦っていかなきゃね。


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