大谷翔平の後払い契約に関する割引現在価値について

大谷の契約金額について、「10年7億ドル(現在価値では10年約4億6000万ドル)」という記載をよく目にするが、これは不正確な表現かと思われる。

この約4億6000万ドルという数字は、あくまで、MLBにおける「ぜいたく税対象年俸の総額」であって、「現在価値」とは異なる。

MLBが定めている「ぜいたく税対象年俸」の算出ルールの"一部"に割引現在価値の考え方が取り入れられているため混同されがちになってしまっている。

例えば、MLBが定めている算出ルールでは、後払いが含まれる14年契約の選手がいた場合、14年後に支払われる金額には割引現在価値は適用されないが、15年後に支払われる金額には割引現在価値が適用されることになっている。
一方、ファイナンスの世界では、もちろん14年後に支払われる金額にも、もっと言えば1年後、2年後に支払われる金額にも割引現在価値の考えが適用される。
その為、「ぜいたく税対象年俸の総額」と「現在価値」は完全に異なるのである。

(MLBが"一部"にのみ割引現在価値の考え方を取り入れている理由は、恐らく「ぜいたく税対象年俸」の計算をより簡素で分かりやすいものにするため等が考えられる。)

ちなみに、ファイナンスの世界に基づく本当の「現在価値」で言うならば、大谷の契約金額は3億8900万ドルになる模様。
※参考
https://bespoke-pro.jp/2023/12/16/npv_otani/

以上を踏まえ、それぞれ表現するならば、以下3パターンが適していると考える。
①契約金額7億ドル
②MLBにおけるぜいたく税対象年俸の総額4億6000万ドル
③現在価値3億8900万ドル

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