旅の途中
ある人がつぶやいた。「旅してるなと思う。いまの自分は。どこから来てどこへいくのか」
私たちはどこから来て、どこへ向かっていくのだろう。
何もわからずこの世に生まれ、ただ目の前のことをこなすのに必死でひたすら前を向いて歩んできたけれど。
風が吹いた。
花が咲いた。
雲が流れた。
途中、嫌なこと、困ったこと、躓いたこと、失敗したこと、悩んだこと、挫けそうになったこと、悲しいこと、辛いこと、たくさんたくさんあったけど。
それでもなんとかここまで歩いてきて。
途中、手を携えて一緒に歩んでいこうとしたけれどいつの間にかその手を放し、気づけばまた一人になって。
それでもなんとかここまで歩いてきて。
毎日が旅の途中だと、思う。
もしかするとゴールは目の前にあるのかもしれないし、まだまだ遠い先の先にあるのかもしれないし。それでもいつでも、あぁ、この旅は面白かったな、楽しかったなと笑えるように。その全てを愛せるように。毎日を精一杯、先を目指して歩いていこう。
ゴールがどこか、誰にもわからないからこそ、成功だの失敗だのと、騒いだり落胆したりせず、ただ淡々と、目の前に伸びる道を、前を向いて歩んで行けたら。
それは唯一無二の、私だけの旅。あなただけの旅だから。
途中に巡り逢った人たちは旅の思い出。いい思い出だけじゃなかったとしても、みんな私の人生に訪れてくれた人たち。来訪者。こんにちは。さようなら。またいつかどこかで会えるといいな。もう二度と会いたくないな。色んな感情が蘇る、旅の途中。最後には笑って「いい旅だった」と思えたら。
旅の途中は、みんなこの地球の、この宇宙の、隣同士歩む旅人。たくさんのことに出会って、たくさんのことを学んで、少しずつ少しずつ、心を満タンにしていこう。
「もうこれで十分です」と思うところまで、少しずつ少しずつ。
受け取ったものを素晴らしいと感じられたら、それを誰かに手渡して。
心が満タンに近づくほど、手渡すものも増えていく。
独り占めになんてしたらもったいない。次の人へと循環させて。
手放すものが増えるほど、心は軽くなっていく。
「ありがとう」の思いが増えていく。
私もあなたも、旅の途中。淡々と。前を向いて。
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