静かなるルーティン、気合いの朝 / #冒頭3行選手権
ダイニングテーブルのiPadからはサブスクで選んだ「朝カフェ」が静かに流れている。
ハンドドリップでゆっくりとコーヒーを入れる。いつもと変わらぬ甘く深い香りに安堵する。
毎朝のルーティンをこなしながら浮き立つ心を無理やり押さえ込んだ。
「今日も暑そうだな…」
何を着ていこうか。
マヤは頭の中で素早くクローゼットの中の候補をいくつか思い浮かべた。
今夜は半年前にオンラインで知り合ったある人と実際に会う約束がある。いわゆるオフ会だ。本当のところ少し怖さもあるが、SNSの出会いに躊躇していてはこの先自分には「運命の出会い」などは巡っては来ないだろう。
夢を見ていい年齢はとうに過ぎた。かといって出会い系サイトを使う勇気もない。できればその「運命の出会い」というやつをなるべく自然に自ら起こして、周りの人たちが当たり前のように手に入れている「幸せ」というものを一日も早く手にしたかった。
「よし、これだ!」
マヤはワードローブの中から一番顔映りのよさそうな明るいサーモンピンクのブラウスを気合いを入れて手に掴んだ。
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野やぎさんの企画に参加します!
冒頭3行✨面白いですねぇ。いくらでも出てきそう。妄想列車はスタートが命!
野やぎさん、楽しい企画をありがとうございます(*^^*)