ろんりーらぷそでぃ💕
「今夜のご予定は?」
「特にない」
「じゃあ、仕事帰りに一杯どう?」
「なに?どこか美味しいお店見つけたの?」
「うん、ちょっと行ってみたいんだよね」
「私でいいの?」
「え?なにそれ。いいに決まってんじゃん」
「決まってるの?知らなかった」
「なにそれ。なんかあった?」
「ううん、なんでもない。ちょっと聞いてみたかっただけ」
「なんか疲れてる?」
「あ、うん、そうね、ちょっと疲れてるかも」
「なにがあったの?」
「なんでもない。とるに足らないことよ。いつものこと」
「いつも疲れるのは良くないね」
「そうねごめんなさい。ちょっと甘えたかったのね」
「だから最初からそういえばいいじゃない。私、甘えたいのって」
「そうね。でもなかなか言えないわよ、あなたは私のものじゃないから」
「まあそうだけど。でも君も僕のものじゃないからおあいこだよね」
「ああ、そうね。私はあなたのものじゃないわね。残念だけど」
「僕のものになって。っていえばそうしてくれるの?」
「いいえ、私は誰のものでもないのよ。私は私だけのものなの」
「ああ、そうだよね。確かにそうだ。そして僕も誰のものでもないよ」
「そうかしら?」
「そうだよ。人間は誰しもが誰かのものじゃない。みんな一人でしょ。みんな孤独でしょ」
「そうなのね。じゃあ、私だけが孤独じゃないのね?」
「そうだよ。君だけが孤独じゃないよ。僕も孤独だよ」
「よかった。それなら寂しくないわ。一人でも、寂しくなんかない」
「そうだね。よかったね」
「ええ。よかったわ」
「じゃあ、お互いの孤独に乾杯しようか」
「ええ、乾杯しましょう。今夜は月が綺麗よ」
「知ってるよ。だから君を誘ったんだ」
「そうなのね、ありがとう」
「もう寂しくないだろ?」
「いいえ、寂しいわ。私はずっと寂しいの。とても寂しいから月を見ていたのよ」
「その月を僕も見ていたよ」
「あなたも同じね」
「そう。寂しさを分かち合おう。みんな一人でしょ。みんな孤独でしょ」
「いいね」
「うん、いいよね」
「孤独な月に乾杯しよう」
「そうね。孤独なあなたと私に、乾杯」