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映画が私の生活になるまで

気がつけば、私は映画好きになっていた。

小学1年生の頃、当時の6年生が卒業記念の音楽会か何かでリコーダーでサウンドオブサイレンスを演奏していて、私はすっかりその旋律が気に入った。

その後親からサウンドオブサイレンスは卒業という映画の主題歌であることを教えてもらって、それからまた数年経ったある日、DVDショップで500円で卒業のDVDが売っていたので買ってもらった。
数年経ったとはいえまだ小学校高学年に差し掛かろうとしていた時期だったので、親には「もっと大人になってからね」と言われて、そのDVDをすぐに観ることはなかった。

当時の私は家から小学校まで徒歩2分ほどの距離だったにもかかわらず、朝は5時半に起きて登校までの2時間を各局の朝の番組をはしごして過ごすという毎日を送っていた(父は私が起きたころに会社に出かけ、母は私が家を出る時間に起きていることは珍しかったので、この時間は完全にひとりの時間だった)。
小学校6年生になった頃、私は閃いた。「この朝の時間を使って映画の1本でも観られるんじゃなかろうか、まだ早いと言われている卒業のDVDもこっそり観られるかも」。

その日を境に朝起きてから小学校に登校するまでの2時間を映画を観る時間に充てることとなり、ずっと観られていなかった卒業のDVDもめでたく観ることができた。
もっと大人になってから、と言われていたのでかなり刺激的な内容なのかと思っていたが、当時の私はなんだ、これなら全然大丈夫じゃん、と思った(今振り返ると、まだ幼くてひとつひとつの描写の意味があまり分かっていなかったのかも、とも思う)。
それでも、この作品に終始流れる気だるい雰囲気やラストシーンの2人の表情は、当時の私にも静かに衝撃を残した。

それからというもの、朝の映画の時間を使ってたくさんの映画を観た。
この時期に私の映画の好みの礎が築かれたと思っているし、今でも身支度をする時間に映画を流す習慣があるのは完全にこの頃の名残りだろう。

最近家にいる時間が多くなり、映画を観ることもこれまでにも増して多くなった。
せっかくnoteを始めたので、これから時々観た映画の感想も記事にできたらと思っている。
フィルムの世界の航海は、果てしなく続く。

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