つぶやき【noteはじめます】
「つぶやき」を辞書で調べてみると、独り言を放つとか、小さい声で話すとかそんな意味があるらしい。さらに辞書の解説文の最後に付け足すように書かれていた意味がある。それが「ツイートする」。
辞書の通り「つぶやき」と聞くと、たぶん多くの人はTwitterにおける「tweet」を想像する。
だが、今やTwitterはニュースよりも新聞よりも早く情報(正確性は置いておいて)を得ることができ、運が良ければ芸能人や有識者と交流ができてしまう。
本来の意味を置き去りにして、少しばかり有益なツールとなりすぎたような気がする。
もっとひとりよがりで、誰からも期待されない、身勝手になれる場所が欲しい。
日々の生活の中で浮かんでは消える、ざわめきとかささやきとか。受け取り方によっては雑音にもなるかもしれない。
だが、本屋で流れるクラシックが心地よいと感じる人とうるさいと感じる人がいるのと同じように、私の気まぐれな言葉が誰かの琴線に触れることも…ひょっとしたらあるかもしれない。
だから「murmur」くらいがちょうどいい。
海外アニメのキャラクターが文句を言っているような愚痴っぽい響きも、なんだか可愛らしい。
***
日々のふとした瞬間に思い起こされる記憶を、砂時計のようだと思ったことがある。
乾いた音を立てながら、一定のリズムで落ちていく砂。その一粒を掬い上げようとしても、勢いついた砂は指からすり抜けてしまう。
私の大好きな小説『パイロットフィッシュ』(大崎善生著)では、記憶を湖に沈む沈殿物に喩えている。
水面のゆらめきが小さな渦を巻き、湖底を優しく撫でて、どういう巡り合わせか忘れていた記憶がぷかりと浮かぶ。「あっ」と声を上げ手を伸ばしても、ひらひら漂い、また湖底に帰っていく。船の上からは見えなくても、確かにそこにある。
私はこの考え方が、ものすごく好きなのだ。
どんなに大切だと思った記憶も、永遠に心に留めておくことはできない。だから私は書き留める。
ーnoteはじめました。
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