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【エッセイチャレンジ③】THE BOYS

ここ2ヶ月、金曜日が来るのが待ち遠しかった。なぜなら、Amazonオリジナルドラマ「THE BOYS」(以下"ボーイズ")の新エピソードの公開日だったから!

私はもともと海外ドラマが好き、というほどでもない。ただ洋画然り、海外の作品はPRが上手で、宣伝動画など見ているとどれもそれなりに興味をそそるんだよね。好奇心に任せてちょいちょい新しい作品を見始めるのだが、結果はさほど芳しくない。

離脱したドラマは「デクスター」「this is us」「モダンラブ」「SUIT」「BOSH」「ブラックリスト」「グッドドクター」・・・こう振り返ると結構ある。
そういえば、羊たちの沈黙の世界が好きだったので、ワクワクしながらシーズン1をまとめ借りした「ハンニバル」もダメだった。レクター博士がかっこよすぎた。

1話目こそハマれそう!と期待に胸を膨らませても、だいたい3話まで行かない。ほとんどラジオ代わりに映像を垂れ流し、惰性でワンシーズン完走しても、次シーズンを待つ間に熱が冷める。そのうち「きっとこれから面白くなるはず」と思いながら見ている自分に気付き、私は誰と戦ってるのだろう?と急に冷めてしまう。

そんな私がTHEアメリカ!なヒーローもの(?)のドラマにどハマりするなんて。なぜ「ボーイズ」沼に堕ちたのか、理由を考えてみた。

あらすじ

舞台はアメリカ。超能力を持った人間たちは、大企業・ヴォート所属の「ひヒーロー」としてプロデュースされ、人命救助からポップアイコンとして、国民から絶大な人気を集めていた。家電販売員で働くヒューイは、平凡ながら恋人のロビンと幸せに暮らしていた。しかし、人気・実力共にトップのヒーローで構成されたチーム「セブン」のメンバーとの接触事故によって彼女を失う。形ばかりの謝罪と誠意のない対応に怒りを募らせるヒューイに、ヒーローに対抗する一般人集団(=boys)「ザ・ボーイズ」が近づく。そして、権威に溺れ腐敗したヒーローに立ち向かうが、、、という話。

魅力①エンターテイメントなグロ

度々話題になるのが、ぶっとんだストーリーに相応しい過激な映像。R18+は伊達じゃありません。

まず、人がとにかくバタバタ死ぬ。ブシャー!とかビシャー!とかドッカーン!って具合で派手に飛び散ります。ほとんどスプラッタなので苦手な方は要注意!でも、映像が良い意味でチープなんです。
あまりに安っぽいと萎えるし、リアルすぎると痛々しくて見るのに体力と精神力を要する。ボーイズのCG自体はそこそこリアルなのだが、さすがスーパーヒーロー。対峙した人は、現実ではあり得ない死に様を迎えるよね…。やりすぎで、もはやギャグ。だから、まったく共感できないし「痛そう」「可哀想」なんて、思う余地がない。大袈裟な効果音と派手な画面運びに爽快感すら覚えるようになるはず。
個人的には「冷たい熱帯魚」や「ヘレディタリー」の方がよっぽどグロテスク!

魅力②ゲスさと人間味のバランス

大半のヒーローは、倫理観が破綻している。自分の不注意で一般人を死なせてしまっても、虫を踏んでしまった程度にしか思わない。能力者である「選民意識」でナチュラルに一般人を見下す。
しかし、どのヒーローも完璧な悪人ではない。コンプレックスやトラウマといった、人間らしい弱さがある。ひと匙の慈悲を見せたり、冷酷非情でも身内には行き過ぎた愛情を見せるなど、感情も持ち合わせている。

ヒーローを取り巻く特殊な環境が、時に彼らから人間以上に人間臭さを引き出すことがある。特別な能力によって人々から愛されている、「近道をした」という自覚はじゅうぶんあるようで、ただの人としての価値は自分にはないと恐れている。その恐怖に耐えきれず薬物やアルコールに依存する姿は、脆い。
個人的にはヒーローがジャンクフードを食べたりポルノを見たり、俗っぽいところも好き。

とにかく「悪としてのヒーローVS正義の一般人ボーイズ」と一筋縄でいかないのが良い。(ボーイズもだいぶぶっ飛んでるしね)
双方の人間らしい葛藤がストーリーに深みを出している。

③アメリカ文化への風刺

私はアメリカに行ったことがないのだけど、あちらの文化や社会への皮肉がたっぷりの演出が面白い。まだ根強く残る黒人差別やLGBTに対する考えも垣間見える。純粋に笑えることもあるし、学びになる。

ネタバレになるので言えないが、ストーリー内の重要な要素となる「完璧な父と完璧な息子」の図。これ、日本ではあまりないような気がする。
日本では母の存在感が強い。母親の育て方が…と言われることはあっても、父親の育て方が…と言われているのはあまり聞かない。
でも、アメリカでは父親は息子の憧れであり、親友である。息子は「同類」である父から男として認められることが、自分の価値を決めると信じている。

男性登場人物の大半は、父親へ良くも悪くも強い感情を抱いている。それがストーリーのスパイスとなっており、因縁を感じさせる。(ホームランダー、ブッチャー、マザーズミルク、フレンチ―、ヒューイ、ランプライター、、、)

④スタイリッシュな映像と音楽

とにかく目でも耳でも楽しめるのが、ボーイズの魅力。
私はドラマはキッチンに置いたスタンドにスマホを置き、夕飯を作りながら見ることが多いので、邦画みたいに彩光低めなものは不向きだったりする。ボーイズは映像がとにかく派手(笑)なので、横目で見てもストーリーが掴みやすい。

あと音楽。ブリトニーとか、ビリージョエルとか、なんでもありなキャッチーな選曲が最高!残虐な戦闘シーンやシリアスなシーンで底抜けに明るい曲が流れたりと、皮肉な選曲にもセンスを感じます。
たまにヒーローのショボいオリジナルソング(という設定)が流れるのも楽しい。

私のような「ながら見」民にこそおすすめしたいドラマです!


最新のシーズン3を早くも見終えてしまい、もう2周目です。しばらくロスが続きそう。ボーイズファンの方の考察noteにスキを押しつつ、寂しさを紛らわすことにするか、、、
ちなみに私の推しヒーローはクイーン・メイブです。

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