ライターのしごと #1「プロ意識とは」
すごく久しぶりに書籍の企画書を作っている。
ウェブが幅を利かせる時代になってから日々の仕事に追われることが増えて、つい目先の仕事に走ってしまい、企画書を作るという作業から遠ざかっていた。新型コロナウイルスの影響でMLBも当分シーズンが始まりそうにない状況なので、この機会に普段やっていなかったことに取り組むのもいいかもしれないと思った。
企画書が通らなければもちろん書籍にはならないので、この企画書を作っている時点ではこれが日の目を見るかどうかわからない。出版社の編集だの営業だの、いくつもの企画会議をパスしてようやく「出版予定リスト」入りすることろまで漕ぎつける。ボツになることの方がむしろ多い。つまりこの時点では、無収入の仕事だ。
ライターの仕事には、こういうことも結構あると思う。
SNSでたまに「プロのライターとは何か」という議論を目にすることがあるが、お金にならない仕事も結構やることがあるのがライターだ。いや、ライターに限らずどんな仕事でもそうなのかもしれない。稼げるからプロ、稼げないからプロじゃないとはいえない。
少し話が脱線するかもしれないが、プロとそうじゃないライターの違いは、著作権や版権に対する意識の差というのが、ひとつあるのではないかと思う。
Twitterを眺めていると情報発信アカというのがあってプロのメディアではなさそうな方が運用しているようだけれど、自分は情報アカであるという自負を結構持っている方がたまにいるように見受けられる。でもその使っている写真は、自分で撮ったものなのか何なのかと思う。
昔、出版社で週刊誌や月刊誌の記者をしていたとき、グラビアページを担当することもあり、たまに写真を借りに行くことがあった。グラビアに使う写真を、地下鉄に乗って共同通信写真サービスさんとかアフロ・スポーツさんのオフィスビルまで足を運んで借りるのだ。
海外の写真などは1枚4万円くらいして「高っ!」と思ってしまったこともあった。「この写真はこれくらいの大きさで使いますがこっちのは小さく使うだけなので、これとこれで合わせて6万円で借りられませんかね?」なんて、値切ったこともある。しかし、もしこの写真を自分で撮りに行くとしたら国際便の航空券往復と宿泊代で4~5倍したりするので、まあこんなもんかとも思う。
因みにMLBの仕事をしていると、たまにMLBや球団から写真が提供されることがあるが、そのような場合は1度だけ使用可とか、ネットなら使用期限などがあったりする。
とはいえSNSでは楽しむ目的で使う方が大半だと思う。娯楽で気軽に写真を使うのはOKとされている。
娯楽なら全然いい。しかし自分はこういう経験をしているので、写真を気軽に使うことができなくなってしまった。これも一種の職業病かもしれない。