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勝手に10選〜ギタリスト達が愛したギター編〜

(前記)
先日、ビートルズのメンバーと楽器について記した。

ギターという楽器に関して、形状、色、音色、こんなに種類のある楽器は他に思いつかない。

故に、どんなアーティストがどんなギターを弾いているか、どんな音色を奏でているかをイメージしやすい楽器である。

ギターは愛用するアーティストの代名詞、象徴になるのだ。

逆に言えばギター単体から愛用しているアーティストのルックスだとか、音まで感じる事が出来る。

そこで今回は、ギタリストが愛用して世間的にも有名になったギターとアーティストを共に前編、後編に分けて勝手に10選する。

・Buddy Holly

Buddy Holly

1950年代のロックンロール創世記を担うアーティスト、バディ・ホリーだ。
その短いキャリアで数々のロックンロールを生んだレジェンドである。

Fender社製のStratocasterがバディ・ホリーのトレードマークだ。
最初はGibson社のLes Paulを購入したが、重い、という理由でStratocasterに落ち着いた。

元々ストラトキャスターはカントリー用のギターであり、バディ・ホリーがストラトキャスターをロックの世界に誘ったパイオニアのだ。

近眼に眼鏡、そしてストラトキャスター、イカしたロックンロールとくれば、バディ・ホリーなのだ。

バディ・ホリーを聴いて観て、近眼かつ眼鏡でもロックンローラーになれる、と思ったのは少年期のジョンレノンである。

・Eddie Cochran

Eddie Cochran

1950年代のロックンロール創世記を担うアーティスト、エディ・コクランだ。

Gretsch社製のChet Atkins Model 6120がエディ・コクランのトレードマークだ。

元々Gretschとはドラムのメインのメーカーであった。
このギターは"ギターの神様"との異名をもつ、チェット・アトキンスのシグネイチャーモデルであり、どちらかというとフィンガーピッキング、ジャズ用のギターであったが、エディ・コクランが使用する事により、ロックの世界に持ち込まれ、後にブライアン・セッツァーが影響を受けて使用する事となり、今やロカビリーにおけるギターのアイコンにまでなったのだ。

エディ・コクランはこのギターのピックガードを透明にして、ピックアップを黒に改造しているが当時としては画期的な事であり、未だにシグネイチャーモデルが発売されているのだ。

・Chuck Berry

Chuck Berry

ロックンロールの創始記を担い、いわゆるロックンロールのギターにおけるパワーコードを用いたバッキングを発明したギターの神様的存在であるチャック・ベリーだ。

GIBSON社製のES-335がチャックベリーのトレードマークだ。

いわゆるロックンロール創世記の時代はGIBSONのフルアコースティックギターであるES-350を使用しており、よく初期のジャケットなどで見かけるが、オールキャリアの中ではやはりES-335であろう。

ES-335は1958年にGIBSONが世に出した世界初のセミアコースティックギターで、簡単に言ってしまえば、ギターの中にセンターブロックを搭載する事で、ホロウボディとソリッドボディの中間的な構造となり、アコースティック寄りのエレキギターと言ったところである。

スラリとした長身のチャック・ベリーにとても似合っているのだ。

・Eric Clapton

Eric Clapton

世界3大ギタリストの1人で、ギターの頂点的な、もはやギタリストとしてのアイコン的存在である。

愛称が"ブラッキー"でその名を知られるFender社製のStratocasterがエリック・クラプトンのトレードマークだ。

長いキャリアの中で、沢山の種類のギターを演奏しているクラプトンだか、どれか1本、と言えばこのブラッキーである。

1970年にストラトキャスターを気に入ったクラプトンは1本目のサンバーストのストラトキャスターを購入し、ブラウニーと愛称を付ける。
大名曲"Layla"はこのブラウニーを用いてレコーディングしている。

同じ年にクラプトンは楽器店に赴き、なんと50年代製のストラトキャスターを6本購入する。

そして、3本をジョージ・ハリスン、ピート・タウンゼントなどにプレゼントして、残りの3本を解体し、良いパーツを組み合わせて1本のギターを作り上げた。これがブラッキーなのだ。

実に豪快なエピソードであるが、クラプトンがストラトキャスターを購入した当時はストラトキャスター自体が不人気でヴィンテージも格安だったため可能であった事であり、結局クラプトンやジミヘンがストラトキャスターを使用する事によりストラトキャスターがロックギターの代表格に君臨する事となる。

そんなブラッキーは、1973年から使用しされ、老朽化により1985年に引退したのだ。
後にオークションに出品され、実に95万ドル(日本円で約1億円)の値をつけた。

・Keith Richards

Keith Richards

ローリングストーンズのギタリスト、キース・リチャーズだ。
テクニカルなギタリスト、というよりはそのキース自身の存在感と幾多の名フレーズ、名曲を排出したギタリストなのだ。

Fender社製のTelecasterがキース・リチャーズのトレードマークだ。

このギターは1970年に誕生日プレゼントとしてエリック・クラプトンからプレゼントされたギターである。
そして、フロントのピックアップがハムバッカーに改造され、ミカウバーと名付けられたのだ。サブな存在でほぼ同使用のマルコムというギターも存在する。

長いキャリアの中でGIBSONのレスポールやES-335など様々なギターを使用してきたが、代表的な、もはやキース=テレキャスターというイメージなのだ。

ちなみにキースの所有するギターは3000本を超える。

・Jimi Hendrix

・Jimi Hendrix


世界の3大ギタリストのひとりであり、テクニックと存在感はもちろん、ギターを叩き壊し、火をつけるなどのパフォーマンスも有名な左利きのギタリストだ。

Fender社製のStratocasterがジミヘンのトレードマークだ。

右利き用のギターで左右逆に持ち通常の弦を張って、全身全霊を持ってギターを奏でる姿が実にカッコいいのだ。

さて、このストラトキャスターというギターであるが、当時は人気が低迷し、生産中止の話も噂されていたがジミヘンが使用してから、クラプトンやジェフ・ベック、リッチー・ブラックモアなどのギタリスト達がこぞって使用する事により、完全に息を吹き返し、今ではロックギターには欠かす事の出来ない代表格ですらあるのだ。 

今でも、逆に左利き用のストラトキャスターを右利きで弾ける様にしたジミ・ヘンドリックスモデルも販売されている。


・Jimmy Page

・Jimmy Page


世界3大ギタリストの1人で、ハードロック、メタルにおけろ教祖的なバンド、レッド・ツェッペリンのギタリスト、ジミー・ペイジだ。

GIBSON社製のLes Paul Standardがジミー・ペイジのトレードマークだ。

ギブソンのレスポールというギターは、1952年にギタリストのレス・ポールと共同開発して、彼のシグネイチャーとして発表されたエレキギターだ。

1952年からゴールドトップにシングルコイルのピックアップとして販売されていたが、1957年からピックアップがハムバッカーに変更され、1958年頃からボディのカラーがサンバーストに変更された。

しかし、1960年にこのいわゆるレスポール・スタンダードは終焉を迎える。

サウンドがラウドな上に重さが理由で人気が出ず、1400本程生産されたのみだった。

その後、エリック・クラプトンや、キース・リチャーズがこのギターを使用し始める事で注目を集め始め、その極めつけが、今回のジミー・ペイジである。

低い位置にレスポールを携え、マーシャルのアンプとともにラウドで歪んだ唯一無二をサウンドを披露し、レスポールスタンダードは一気に知名度を高め、ロック界に欠かせないギター、ロックのアイコンにすらなるのだ。

今やそれら当時は売れなかった1400本のレスポールは世界中において数千万円で、取引きされている。


・Brian May

Brian May


イギリス出身のロックバンド、クィーンのギタリストであるブライアン・メイだ。

Red Specialという愛称のギターがブライアン・メイのトレードマークであるが、なんとこのギターは自作のギターなのだ。

時は1963年、ブライアン・メイと父親であるハロルド・メイによってギターの制作が開始された。
オーク材で作られたテーブルを切り取りボディに仕立て上げ、友人宅で破棄される予定であった100年以上使用されていた暖炉のマホガニーをネックに使用し、実に2年の歳月を費やし完全したギターなのだ。

世界で1本のギターで数々の名フレーズを世に送り、天下を取り、このギターのコピーモデルも相次いで発売されたが、今もブライアンはこのギターを改造、修理をして使用し続けているのだ。

実に素晴らしい逸話だ。

・Angus Young

Angus Young


オーストラリア出身のロックバンド、AC/DCのリードギタリストであるアンガス・ヤングだ。

GIBSON社製のSGモデルがアンガス・ヤングのトレードマークである。

イングランドで生まれ、オーストラリアのシドニーに移住し、兄であるマルコム・ヤングと共にモンスターバンド、AC/DCを結成し、ロック界のギタリストとしてレジェンドに到達するアンガス・ヤングの象徴であるギターだ。

このGIBSON社製のSGというギターであるが、元々は1961年にGIBSONのレスポールの後継種として小型化、軽量化などを吟味して発表されるが、見た目からレスポール氏の気に沿わずレスポールの名を継ぐ事がなく、SGモデルとして今に至る。

アンガス・ヤングであるが、兄の手ほどきつだギターの道に進むが速攻で兄であるマルコムをテクニカルな面で追い越してしまう。

以降はこのSGをトレードマークにロック史に燦然たる名を刻むが、有名かつ実に興味深いエピソードは、アンガス・ヤングはギターとアンプを直結しており、エフェクターに頼らないギタリストとして有名だ。 

かのレスポール氏にダメ出しを喰らったSGというモデルを、ロックの象徴にしたのだ。

・Kurt Cobain

Kurt Cobain


言わずと知れたNIRVANAのボーカリスト、ギタリスト、アイコンであるカート・コバーンだ。

1965年製のFENDER社によるJaguarがカート・コバーンのトレードマークだ。

カートは1991年に新聞のリサイクルの広告を見て、このギターを購入する。
フロント、リアともにピックアップがハムバッカーに変更しているが、これは購入時に既に変更されていた。

このフェンダーのジャガーというギターであるが1962年に発売され、特にサーフ・サウンドにおいて特に人気を博すも、1975年に製造中止となる。

そして、1990年代にこのカート・コバーンが使用する事により、ロック界で息を吹き返すのだ。

ジャガーと並んで1969年製のFENDER社によるMustangもカート・コバーンをイメージさせるギターである。

基本的にFENDERのギターがお気に入りで、日本製のストラトキャスター、ムスタングも複数愛用していたが、ピックアップはほぼシングルハムバッカーに変更され、愛用するギターもある一方で、壊す様のギターもスタンバイしていたのだ。

(後記)
自称ギタリストとしては、大変に楽しい作業であった。

不人気で発売中止になりそうな、なってしまったギターが使用するアーティストによって息を吹き返し、ロックギターのアイコンにまでなってしまう、
また、別のアーティストに憧れて入手したギターが自身のアイコンになってしまう、などはギターという楽器ならではであろう。

ロックとギターの関係は実に面白く、ギターもアーティストの個性なのだ。
今後もアーティストと楽器について考察していく次第だ。

読んでくださった方々へ
ありがとうございました。

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