勝手に10選〜カッコいいアルバムジャケット邦楽編〜
(前記)
何事も見た目、第一印象は大切な事である。
洋楽編でも述べたが、今の時代はアルバム単位で曲を聴く時代では無いのかも知れない。
アルバムのジャケットを見ただけで、何かを感じ、そのアルバム手に取りレジに持って行ってしまう、そんな時代は確実にあったのだ。
いわゆる"ジャケ買い"である。
ただアルバムのジャケットを自身の部屋に飾り、自身の世界観を改めて実感し、鼓舞する、そんな時代があった筈だ。
そんな時代を懐かしく、今のジャケット無き音楽史に問いかけるべく、今回はイカしたジャケットを邦楽において勝手に10選する。
キャロルのファーストアルバム"キャロル"のジャケットだ。
フォーク全盛期に、いきなりレザーのセットアップにリーゼントでロックンロールをシャウトする衝撃が、このジャケットに集約されている。
モノクロームのフォトにピンクを用いた"CAROL"の文字。
これだけで、イカしたロックンロールの挨拶がわりになるのである。
1980年に発表された山口百恵さんの21枚目のアルバムジャケットだ。
実にカッコいい。山口百恵さんの中から発生される熱量が胸を打つ。
このジャケットは撮影が篠山紀信さんで、アートワークは横尾忠則さんという実に豪華な2人によって生み出されたのだ。
1979年に発表されたYMOのセカンドアルバム"SOLID STATE SURVIVOR"のジャケットだ。
デザインはグラフィックデザイナーの羽良多平吉さんによる。
実に背景と衣装のコントラストが素晴らしく、全体的なバランス、文字のフォント、色もジャケットに見事に調和している。
1978年に発表された矢沢永吉さんの4枚目のアルバムジャケットだ。
もはやYAZAWAの世界観ここにあり、という矢沢さんの魅力を遺憾無く発揮している名ジャケットなのだ。
1989年に発表されたザ・タイマーズによるファーストアルバム"TIMERS"のジャケットだ。
一本一本が形長さの異なる大麻をシルクスクリーン(だと思う)にて、少しずつ色合いを変え、薄いグリーンの背景との相性が抜群で実にカッコいいジャケットだ。
1989年に発表されたザ・モッズのアルバム"NAPALM ROCK"のジャケットだ。
革ジャン、リーゼントにイカしたモノクロームのシンプルなジャケットだ。
イカしたロックがジャケットから聴こえてくる様だ。
1992年に発表されたブランキー・ジェット・シティのセカンドアルバムのジャケットだ。
黒をバックにモノクロームのフォトを乗せて、白の背景に黒文字によってバンド名、表題を載せるセンスも流石であり、文字のフォント、バランスも見事に初期のブランキーの世界観を表しているジャケットだ。
2014年に椎名林檎さんによって発表されたアルバム"日出処"のジャケットだ。
横尾忠則さんのポスターアートを彷彿とする、自身のギター、エフェクター、北斎などを見事にコラージュし、全体的な世界観もバッチリはまり、椎名林檎さんも実にキュートなのだ。
1999年に発売された宇多田ヒカルさんのファーストアルバム"First Love"のジャケットだ。
突然現れた16歳の女性シンガーソングライターの出現に日本の音楽界に実に大きな衝撃が走った。
私が宇多田ヒカルですけど、と余裕さえうかがえるジャケットいっぱいに映し出された16歳のこの美しい、艶っぽい表情も人々のハートを鷲掴みしたのだ。
1987年に発表されたザ・ブルーハーツのファーストアルバム"THE BLUE HEARTS"のジャケットだ。
最高にカッコいい。
白とブルーの背景にそれぞれ、白には黒文字、ブルーは白抜き、字体もクールで、実にミニマムでシンプルかつストレートに胸に突き刺さりまくりである。
(後記)
今回は邦楽のジャケットを勝手に10選したが、書いている最中も、ジャケット自体が歌い出すかの様な楽しい作業であった。
ジャケットもそのアルバムの重要なマテリアルである。
このアルバムジャケット10選も継続する次第だ。
読んでくださった方々へ
ありがとうございました。