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勝手に10選〜イカしたロック 60's編(後編)〜

(前記)
張り切って後編に移る。


・I’m Waiting For The Men

1967年にザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンドにより発表されたアルバム"The Velvet Underground and Nico''に収録された曲だ。

大学を卒業し、ニューヨークにてシンガー希望で活動していたルー・リードのもとにメンバーが一人一人と集結して結成されたバンドがザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンドである。

ニューヨークのグリニッジビレッジを中心に地道にライブ活動を行っていたが、ある日アンディ・ウォーホルが彼らの演奏を観て自身のイベントに参加をさせたら、大盛況となり、ウォーホルのプロデュースにて、この収録アルバムにてアルバムデビューを果たす。

曲であるが、実に単調でタイトな演奏であり、抑揚も激しくない。

が故にルー・リードのボーカルと歌詞の世界観が際立つのだ。

歌詞の内容であるが、レキシントンの125丁目とはマンハッタン区イーストハーレムの125丁目であり、主人公がハーレムにヘロインを買いに行くが、道中で脅されたり、売人の登場が遅かったり、そんな時間をひたすらに強がっている、というなかなかストーリー性がユニークな歌詞だ。

ルー・リードの甘いボーカルで粋なメロディラインとともに、ユニークなストーリーが歌い語られているのだ。


・Daydream Believer

1967年にモンキーズのシングルとして発表された曲だ。

日本ではあまりにも忌野清志郎に凄く似ているZERRY率いるタイマーズによるカバーが有名な曲だ。

モンキーズは元々、TV番組なども並行して行うアイドル狙いでレコード会社がオーディションやら何やらで集められたメンバーで構成されたグループであり、少し音楽史、ロック史を語る上では土俵が違う感じが否めないが、今日も曲が歌い継がれているのは、楽曲に恵まれていたのが大きい印象だ。
メンバーもセルフプロデュースに挑んだりしたのだが、過去の楽曲を超える事は無かった。
この曲もその典型的な曲だろう。

曲であるが、実に爽やかで、切なさをスパイスにした世界観を持ちつつメロディラインが秀逸して美しい名ミドルバラードだ。

歌詞は、なんてことのない恋愛におけるお惚気であるが、美しいメロディラインと実に調和している名曲である。

しかし、日本におけるタイマーズによるカバーバージョンは歌詞を全く逆にして、彼女を亡くしてしまっているのだ。

よって、華やかさをノスタルジックな切なさに世界観を変えてしまっている例のZERRYのセンスは流石なのだ。


・Born To Be Wild

1968年にステッペンウルフのデビューアルバム"Steppenwolf"に収録され、同年にシングルカットされた曲だ。

映画"Easy Rider"の主題歌であり、映画のオープニングを飾る、あまりにも有名な楽曲だ。

前身のバンドであるザ・スパロウズは1964年にアメリカのトロントで結成されたプルース・バンドであり、喫茶店などで地道に活動を行っていた。

1967年にバンドは拠点をサンフランシスコに移し、そのサウンドもロック色をより強いものにシフトし、ロスアンゼルスのプロデューサーの目に留まってバンド名をステッペン・ウルフとしてデビューに至った。

曲であるが、実にイカしたギターリフから曲は始まり、このリフを首軸とし、構成もAメロ、Bメロ、サビの王道を各々のパートが独立して素晴らしい世界観を持ちつつ見事に融合して、疾走感と重厚感を併せ持った素晴らしいロックである。


・Crosstown Traffic


1968年に発表されたザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスによるアルバム"Electric Ladyland"に収録された曲だ。

ジミヘンは、15歳の頃ギターを手に入れギタリストの道を歩み出すが、自動車を盗んだ罪で投獄を逃れる為に陸軍に入隊し、やがて除隊し、本格的に音楽活動を開始する。

1966年にアニマルズのメンバーであるチャス" チャンドラーに見出されイギリスへと移住し、オーディションを経てザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスを結成し、そのギターのテクニックは瞬く間に有名となり、人気はアメリカに飛び火し、アメリカでデビューし、ヒットした後はアメリカに活動拠点を移す。

ザ・フーのギタリストであるピート・タウンゼントがエリック・クラプトンを呼び出して語ったのは、ヤバい奴が出てきた、俺達の職が無くなる、という逸話は有名だ。

実に興味深いエピソードで、いわゆる逆輸入のミュージシャンなのだ。

曲だが、筆者が中学生の頃であろうか。
その背景、きっかけ、などは覚えていないが、筆者のジミ・ヘンドリクスの初体験はこの曲だった。

勿論、名前やレガシーはなんとなく知ってはいたが、なんてったってギターの神様だけに正座をして聴く様な気持ちで初めて聴いたのが懐かしい。

イントロからステレオを活かし切り、Aメロはロックでラップか、と言わんばかりのジミのボーカルが炸裂し、見事なコールアンドレスポンスとギターリフが交錯するサビを迎える。
実に重厚感に溢れ、聴きどころが多い楽曲なのだ。

これが、ジミヘンか…と、当時の筆者が腰を抜かした事が更に懐かしい。


・Like a Rolling Stone

1965年にボブ・ディランのシングルとして発表され、アルバム" Highway 61 Revisited"に収録されている曲だ。

ここまで年代順に曲を挙げてきたが、最後の10曲目はこの曲と決めていた。
筆者にとっての1960年代のアイコンとも言える大名曲なのだ。

ボブは幼少期からラジオで音楽を楽しみ、ギター、ピアノを独学で学び、高校時代には当時一世を風靡していたエルビス・プレスリーらの影響でバンドを組んでいた。
始まりはロックンロールであったのだ。

大学へ進学するも授業には出ず、それまではエレキギターを使用していたが、アコースティックギターに持ち替えフォークシンガーへの道を歩み出す事になり、大学は中退してニューヨークへ渡る。

ニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジで、様々な場所で弾き語りを披露し、レコーディングにも参加する様になった際にレコード会社が目をつけ、1962年にデビューを果たした。

曲であるが、ディランはアコースティックギターを用いて弾き語りのスタイルで活動してきたが、1965年からエレキギターを取り入れるのだが、その時期の曲である。

当時、ディランの熱狂的な1部のファンから、フォークに対する裏切り者扱いをされ、ブーイングを受ける事も多々あったが、結果的にディランの更なる世界観の拡大、進化を意味する事であった。

エフェクトされていないエレキギターとハモンドオルガンが絶妙に絡み合い、実に気持ちの良い楽曲、ロックと言って良いだろう。

歌詞は、上流階級から転がる石の様に転落した女性に対して、気分はどうだい?とサビで問いながら、他のパートでその上流社会、格差を間接的に皮肉る内容である。

サビで、How does it feel?、とディランが問いかけるのだが、そのボーカルの隙をサッとすり抜ける様なハモンドオルガンが実に見事にハマって気持ちが良い。

ディランの名歌詞と名演奏が見事に融合した大名曲なのだ。


(後記)

世界のロック史の分岐点のひとつが1960年代ではないだろうか。

これから出現するハードロックだったりパンクだったり、ロックの更なるレンジの広さ、多様性を予見している様な時代である。

もっと1960年代も深掘りしたい。

読んでくださった方々へ
ありがとうございました

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