勝手に10選〜イカした女性ボーカル80's 邦楽編(後編)〜
(前記)
それでは後編いきます。
・My Revolution
1986年に発表された渡辺美里さんの4枚目のシングルだ。
渡辺美里さんは、デビュー前のインタビューで好きな歌手は?との問いに、セックス・ピストルズと即答しており、もはやこの地点でロッカーである。
筆者はこの曲をリアルタイムで聴いていたが、後に作詞作曲が小室哲哉さんだと知る。ミドルテンポのシンセサイザーなども多用しながら透明感の中にビートが光る80年代の代表的なサウンド、ロックだ。
歌詞は非常に前向きでかつ、メッセージ性も兼ね備え、この曲の持つサビの疾走感、世界観と突き抜けるメロディラインが、お互いを高めあう事によって、この大名曲が生まれたのだ。
・LONELY BUTTERFLY
1986年に発表された NOKKOさんがリードボーカルであるバンド、レベッカの6枚目のシングルで作詞は NOKKOさんだ。
1982年にギタリストの小暮武彦(通称はシャケ)を中心に結成されたバンドであるが結成当初はリードボーカルは男性であったが、間も無く他のバンドからヘッドハンティングしてNOKKOさんがリードボーカルとなる。
1983年にCBSソニーのコンテストで優勝し、1984年にデビューするも、セールスに恵まれず苦難の時代を過ごし、1985年に発起人の木暮武彦さんが脱退する。
しかし、皮肉とも言えるが、これを契機にキーボードの土橋安騎夫さんが、バンドの方向性をシンセを多用した80年代を象徴するロックスタイルに変更する事により、1985年発表の"フレンズ"の大ヒットによりブレイクする。
そして、この"LONELY BUTTERFLY"だが、ミドルなハーモニカを思わせるシンセととも優しく曲は始まり、 AメロのNOKKOさんのボーカルも優しく切なげに、そしてBメロを経て、サビに移行するが、曲名にあるように、蛹から蝶が飛び立つかの様な、決意、孤独、不安、運命みたいな事を全て背負った蝶の如く、演奏、メロディ、ボーカルが疾走感、重厚感を兼ね備えたサビになるのだ。この緩急と、メロディの美しさがこの曲のコアとなる。
また、後半のNOKKOさんによるサビのハモリが実にクール、激しい程に美しくこの曲に見事に花を添え、心に突き刺さるのだ。
・孤独なハリケーン
1987年に本田美奈子さんの12枚目のシングルとして発表された曲だ。
本田美奈子さんは、母親がシンガーを目指していた影響を受けて女優、歌手を自然を目指す事になる。
1983年にスカウトされ芸能界に入り、1984年に長崎歌謡祭にてグランプリを受賞して、1985年に満を持してのデビューを果たす。
しかしながら、当時はアイドル全盛期、もちろんアイドルとしてのデビューだ。
何なら、とびきりキュートなルックスと歌唱力で、充分に日本におけるアイドル史に、そのまま名を刻める存在であった。
しかし、アイドルとして成功しても、もっと自分の個性を強く出したい願望により、5枚目のシングル”1986年のマリリン”から、ロック色を強くし、今も伝説となる過激なヘソだしルックで、世間の度肝を抜いた。
そしてアイドルでありながらロックをシャウトする本田美奈子さんの唯一無二のスタイルが形成されたのだ。
そんなこの”孤独なハリケーン”であるが、実に爽快感に重厚感のみなぎるストレートなロックだ。歌詞も実にストレートで前向きだ
実に可愛らしいキュートな顔立ちをして、コンパクトで華奢なイメージのある本田美奈子さんと、卓越した力強いボーカル、シャウト、全身で歌い叫ぶギャップがこのストレートなロックにより疾走感と重厚感を与えている。
・TATTOO
1988年に中森明菜さんの21枚目のシングルとして発表された曲だ。
中森明菜さんは1981年の番組"スター誕生"で合格し、翌年1982年に16歳にして"スローモーション"でデビューをする。
以降セカンドシングル"少女A"でブレイク、以降は順風満帆に抜群の歌唱力と、曲毎に変幻自在に自身を通じて世界観を表現し、アイドルとしてアーティストとして1980年代を圧巻する。
この"TATTOO"であるが、ジャズ、ロカビリー、ロックの融合といえる実にゴージャスでクールな、ナンバーである。イカした古きナイトクラブを現代のTVでアップグレードしたかの様な世界観だ。
ガイコツマイク、バックにホーン隊を引き連れ、ラメラメのミニのボディコン、ハイヒールで振り付けも実にクールだ。
しかし、23歳にしてこの色気と風格を持って、男を手玉に取る様な歌詞を実に見事に歌い上げている。
・SWEET MEMORIES
1983年に松田聖子さんの13枚目のシングル"ガラスの林檎"のカップリングとして発表された曲だ。
1979年にドラマ"おだいじに"で一足早く、女優としてデビューし、翌年の1980年に"裸足の季節"にて歌手デビューを果たし、2枚目のシングル"青い珊瑚礁"でブレイクした。
キュートなルックスと抜群の歌唱力で、80年代のアイドルブームの代表格として、大ヒットを連発する。
この曲には面白い逸話があり、キャラクターのペンギンが出演するビールのCMに起用されるのだか、これが名CMであり、1人のペンギンがバーカウンターで飲んでいると、シンガーのペンギンがこの曲を歌い出し、この曲を聴いたバーカウンターのペンギンがホロリと涙を流す、という内容である。
当時、このCMに歌手のクレジットが無く、しかもこの曲の英語の部分を流しており、曲調もアイドル松田聖子とかけ離れている事も相まって、このボーカルは誰だ?と世間に物議を醸し出した。
そして、CMにクレジットを入れ、またこのシングルを両A面にする事で大ヒットに至った。
曲はジャズも香るロッカバラードで、偶然以前の恋人と出会ってしまい、甘い思い出が蘇るが、もうそこには戻れない、という歌詞を、少しハスキーがかって実に美しく切なく歌われており、ペンギン君も涙する訳だ。
(後記)
ジャンルにこだわらず、ロックしてるな、と選曲したのだが、やはり足りない。まだ、いるのだ。
この女性編も続編を作りたい。
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