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勝手に10選〜偉大なるインスト曲 邦楽編(前編)〜

(前記)
先日、洋楽における偉大なるインストロメンタルの勝手に10選を投稿させて頂いたのだが。

言語、歌詞なき音楽。
言葉、歌詞を無くしても、世界中の人々が共感出来るが故に実にハードルが高いとも言える。

はてさて、日本におけるインストロメンタルとはなんぞや?

と思い、自身の中のライブラリと格闘しながら、今回は邦楽におけるインストロメンタルについて、前編、後編に分けて勝手に10選する。

なお、筆者はフュージョンというジャンルに対して非常に不勉強であり、浅はかな知識からフュージョンの曲を紹介してはならぬ、の一心で今回は僭越ながら、フュージョンは除外させて頂いた。

・傷だらけの天使
1974年に井上堯之バンドがドラマ"傷だらけの天使"の主題歌として発表した曲だ。

たかが主題歌と思うなかれ。

さてこの井上堯之さんとは、リバプールサウンドに傾倒し、独学でギターを学び、ザ・スパイダースの結成時からのギタリストとなる。

ザ・スパイダース解散後は、元ザ・タイガースの沢田研二さんや、萩原健一さんらとPYGを結成する。
その後は沢田研二さんのバックバンドを務め、PYGのリードボーカルの萩原健一さんが出演する、"太陽にほえろ"、"傷だらけの天使"の主題歌を担当する事になるのだ。

たかが主題歌、と思われた方々、井上堯之バンドは実にテクニカルかつ重厚感溢れる日本の誇るロックバンドなのだ。

曲は実に軽快でミドルテンポが心地よいロックだ。
AメロとBメロからなるシンプルな構成であるがその緩急が実にクールだ。
主役となるテナーサックスも哀愁を帯びながら、ピアノも良いスパイスとなり、実におしゃれな哀愁漂うロックナンバーなのだ。

・RYDEEN
1979年にYMOのセカンドアルバム"SOLID STATE SURVIVOR"に収録され、として発表され、1980年にシングルカットされた曲だ。

YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)は、元はっぴぃえんどのベーシスト細野晴臣さんの働きかけで、元サディスティック•ミカバンドの高橋幸宏、当時は東京藝術大学在学中で、スタジオミュージシャンとして大滝詠一さんや山下達郎さんのサポートメンバーとして活躍していた坂本龍一さんの3人によって結成されたトリオだ。

1978年に結成後、同年にファーストアルバム"イエロー・マジック・オーケストラ"を発表し、翌1979年に同アルバムのリミックス版をアメリカにて発売する。

更に1979年9月にセカンドアルバム"SOLID STATE SURVIVOR"を発売するや否や、10月から初のワールドツアーを敢行する。
その間にこのセカンドアルバムがミリオンセラーを叩き出し、YMOが12月に帰国する時には日本でもYMO旋風が巻き起こっていた。

1980年を前後して、エレクトリック、テクノのムーブメントを日本のみならず、世界で巻き起こしたトリオがYMOなのだ。

この曲"RYDEEN"は間違いなくYMOの代表作だ。
実にに軽やかで爽快なテクノサウンドに乗せ、曲に逆行するかの様な歌謡曲も香り、異国情緒も感じさせるキャッチーなメロディラインが見事に融合し唯一無二のテクノにおけるインストロメンタルが日本の音楽史に確実な足跡を残したのだ。


・FINAL LAP

1992年に発表されたチェッカーズのラストアルバム"BLUE MOON STONE"に収録された曲で、作曲はサックス担当であり、藤井フミヤさんの実弟である藤井尚之さんだ。

ジャズ、ファンク、ロック、様々なマテリアルが融合し、5拍子、4拍子、3拍子が絡み合う実に難解ながら、そのグルーヴによりクールになとまる名曲である。

サックス、ギターのアドリブ、ベース、パーカッション、ドラムの掛け合いも実に見事だ。

この曲は1発録りであり、筆者の記憶が確かであれば、実に60テイク以上演奏し完成に至った。

如何にチェッカーズというバンドはテクニカルで唯一無二のグルーヴを持っているバンドだ、と証明する曲なのだ。

・U-K
2005年に日本のジャズバンド"勝手にしやがれ"が4枚目のシングルとして発表した曲だ。

勝手にしやがれ、というバンドであるが、ドラムとボーカルを担当し、殆どの楽曲の作詞作曲を手掛ける武藤昭平さんが中心となり、1997年に結成された。

ギターを使用せずに様々なジャズを如何にパンクテイストにするか、というジャズバンドなのだ。

2001年にアルバム"WILD ROOM"にてメジャーデビューを果たし、以降その唯一無二のスタイルで活動を継続している。

曲であるが、出だしはイカしたジャズ、主要なパートはロック色を強く独自のグルーヴを保ちながら曲間で、サックス、ピアノ、トロンボーンのアドリブ合戦が繰り広げられる中も、安定し、かつ実に心地よいドラムが全てをまとめ、帰結する素晴らしいジャズ・ロックなのだ。

・火の玉ジャイブ
1999年に発表された東京スカパラダイスオーケストラのシングルだ。

東京スカパラダイスオーケストラは、日本のインストロメンタルを語るにあたって、外してはならないバンドなのだ。

東京スカパラダイスオーケストラ(通称.スカパラ)は、1985年に結成され、1990年にシングル"MONSTER ROCK"にてメジャーデビューし、同年にファーストアルバム"スカパラ登場"にてブレイクした、日本を代表するスカバンドだ。

筆者もスカパラの登場はリアルタイムで経験しており、大所帯で揃いのスーツを身に纏い、自由奔放にスカを演奏するバンドの出現に驚いたのが懐かしい。

2000年代から、様々なボーカリスト、アーティストとコラボレーションをするなど、その存在感は今も日本のロック史において現在進行形で絶大なるものである。

この曲だが、スカパラの中で実に疾走感溢れる、もはやスカの枠を超えてジャズ、ロックンロールをも融合した実にゴキゲンなナンバーなのだ。

悲しい追記であるが、初期からのメンバーでドラムの青木達之さんが亡くなる前に参加した最後の楽曲である。

(後記)
それでは続編に続きます。

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