勝手に10選〜BLANKEY JET CITY編〜
(前記)
筆者にとって日本における3ピース編成の最高峰は、BLANKEY JET CITYだ。
メンバーはギター&ボーカルのベンジーこと浅井健一さんと、ベースの照井利幸さん、ドラムの中村達也さんである。
ギターソロのオーバーダブはあれども、この3ピースで、しかも1発撮りで実にクールな、幅広く、様々な曲を世に発表したが、一貫して軸が、世界観が全くブレていない。
今回はそんなBLANKEY JET CITYの曲を勝手に10選してみる。
・BANG!
1992年にに発表されたアルバム"BANG!"の表題曲だ。
ブランキージェットは1991年にアルバム"Red Guitar And The Truth"にてデビューをしたが、プロデューサー達と折り合いが合わず、メンバーは不満だった。
そして、2枚目のアルバムである"BANG!"から、土屋昌巳さんをプロデューサーに迎え、ブランキージェットシティの"音"が出来上がる。
この"BANG!"の表題曲"BANG!"であるが、1つのパートと、クールなギターのリフによる間奏の繰り返しである。
しかし、転調が鍵となる。転調を行ったり来たりすることで緩急をつけて、シンプルかつソリッドな演奏に独特の世界観をもたらしているのだ。
歌詞も洒落たカップルの戯言が実にカッコよくマッチしている。
・PUNKY BAD HIP
1993年に発表されたアルバム"C.B.Jim"のオープニングを飾る曲だ。
筆者はこの曲がブランキーを最初に聴いた曲だ。
ベンジーのシャウトと共に、実にクールなギターリフを交えたイントロで曲が始まるが、とにかく聴いた瞬間に圧倒されたのを覚えている。
ロカビリーでもなく、パンクでもなく、ロックのいうには言葉足らず。いや、そんなマテリアルを融合してブランキーが咀嚼、消化して、再構築して、この素晴らしい曲が世に出されたのだ。
そうさ、俺達は自然の掟の中で生きる獣の世代さ。
・D.I.J.のピストル
1993年に発表されたアルバム”C.B.Jim"に収録されている曲だ。
レッド・ツェッペリンの"Rock’n Roll"を彷彿とさせるドラムから幕を開け、怒涛のロックが始まる。
D.I.Jとは、"ドキドキする様なイカれた人生"の略であり、散文的なベンジーの歌詞がこのD.I.Jに帰結する。
クールなギターのリフが冴える Aメロと疾走感に溢れたサビ、ベンジーのサビ終わり、間奏でのシャウトが炸裂する名ロックだ。
・3104丁目のDANCE HALLに足を向けろ
1993年に発表されたアルバム”C.B.Jim"に収録されている曲だ。
クランチの効いたギターのカッティングから、激しいドラムと冴え渡るギターリフで曲の幕が開ける。
この曲の持つ重厚感は、中村達也さんのドラムと照井利幸さんのベースが前にでていて、ベンジーのギターはパーカッションの様なカッティングと美しいリフにて華を添えている。
誰にでも日常を忘れて己を発散させる場所、時間は必要なのだ。
・Skunk
1995年に発表されたアルバム"Skunk"の表題曲だ。
このアルバムの頃からセルフプロデュースの曲が多くなる。
この曲は、陽気でキテレツ最高にクールなギターのリフから始まり、最終的にそのリフで完結する。
歌詞の内容は、実に筆者が幼少期からなんとなく感じていた違和感を、絶妙に完結に詩にして頂けた。
No more zoo.
君は一生檻の中の見せ物でいるのか。
本当は、限りなく広い大地、限りなく深い海の中で、自由を満喫されるべきが、人間という奴等の見せ物で一生を終える事に耐えれるはずがないのだ。
ソロになった浅井健一さんのライブでも、ほぼ定番となっている。
・15才
1995年に発表されたアルバム"Skunk"に収録された曲だ。
実に壮大な、鮮やかな、美しいロックバラードだ。
誰しもが、ピュアで無邪気な15歳があったんだ。ソーダ水の粒の様に、自由な日々が。
誰しもが無邪気なピュアな子供だったんだ。
素敵な映画を鑑賞している様な名曲だ。
・パイナップルサンド
1998年に発表されたアルバム"ロメオの心臓"に収録された曲だ。
1つ前のアルバム"LOVE FLASH FEVER."から全曲メンバーによるセルフプロデュースとなる。
この曲であるが、ドラム、ベース、ギターの順で音が重なり、軸となるリフが始まる。
Aメロはベース、ドラムが主となるが、歌の間に奏でられるリフが実にカッコいい。
そしてサビになるとディストーションの効いたギターによる重厚感溢れる演奏となり、この緩急が実に素晴らしい。
歌詞は散文的だか、解散を予告してる様にも受け止める事が出来る。
・ぼくはヤンキー
1998年に発表されたアルバム"ロメオの心臓"に収録された曲だ。
ブランキーの楽曲では珍しく、作曲に中村達也さんも絡んでいる。
前奏、サビ、間奏の繰り返しでシンプルな構成だ。
前奏、間奏におけるリフに合わせてベンジーがイカしたワードを入れてくるのが実にクールだ。
サビはディストーションが炸裂するストローク、スピード感が堪らなく、歌詞は"パパママごめんね 僕はヤンキー"の後にさらりとイカした一言を付け加え、繰り返す。
サビの疾走感と、間奏のリフが見事に緩急を付けている。
実に聴いた後、爽快になるロックなのだ。
・赤いタンバリン
1998年に発表されたアルバム"ロメオの心臓"に先立ちシングルカットされた曲だ。
ちなみにシングルの中で最高のセールスを叩き出した。
筆者にとってこの曲はブランキーの中でフェイバリットであり、人生におけるベスト10に入る、思い入れの強い曲だ。
ベンジーの実にイカしたギターのストロークから曲は始まり、そのままベンジーが歌い始め、サビの瞬間からドラム、ベースが加わる。
歌詞はストレートに愛を語る。実に歌詞が素晴らしい。"流れ星1個盗んで 目の前に差し出した時の顔がみたい"など、イカしたフレーズのオンパレードだ。
この曲の更に素晴らしい魅力は構成にもある。
書いてしまうと長くなってしまうが、パートの構成、組み合わせ、順序が実にクールなのだ。
間奏のベンジーによるギターソロも最高に世界観と相まって実に気持ちが良い。
これほど何回聴いてもリピートしても全く飽きない曲は稀なのだ。
・ロメオ
1998年に発表されたアルバム"ロメオの心臓"に収録された曲だ。
この頃から、これまでの経験によるスキルの上達や、セルフプロデュースになった事もあるのか、ブランキーの演奏に重厚感、多様性、安定感、グルーヴ感が増している印象がある。
ギターのカッティングをリフとして曲の幕が開ける。基本的にこのリフを軸に曲は進行する。実に図太いロックだ。たがブランキー独特の疾走感は確実にある。
パート間に入るギターのリフや間奏のギターソロも実に素晴らしい。
歌詞は散文的なもので、そのワードのチョイスと使い方が、そしてその使い方がベンジーの歌詞の魅力でもあり、この曲にも遺憾無く発揮されている。実に気持ちがあがるのだ。
(後記)
いつまでも色褪せることのがない、ブランキー・ジェット・シティだ。
そんなにキャリアが長くなくとも、10選に絞るのは大変窮屈で、もっともっと沢山素敵な作品を提供してした、その密度は非常に濃いのである。
まだまだブランキー・ジェット・シティの事も投稿したい。
読んでくださった方々へ
ありがとうございました。