勝手に10選〜偉大なるインスト曲 邦楽編(後編)〜
(前記)
それでは、言葉なきインストロメンタル邦題編の後編を張り切ってい綴る。
・ルパン3世のテーマ
1977年に大野雄二さん率いるYou & Explosion Bandが発表したシングルだ。
ただの主題歌と侮るなかれ。
ジャズピアニストである大野雄二さんにより、作曲された曲だ。
演奏は大野雄二さん率いるYou & Explosion Bandによる。
一般的にはインストロメンタルであるが、ボーカルが入ったバージョンも存在し、インストロメンタルのバージョンは"ルパン三世'78"、ボーカルの入ったバージョンを"ルパン三世のテーマ"と分けて表記される事になる。
実に痛快で疾走感のあるジャズロックだ。
ギターのカッティングはファンク的で、ホーンの繰り出すメロディも実にクールで、ブレイクに合わせる"ルパン・ザ・サード"のコーラスもバッチリハマり、弦楽も良いスパイスとなっている。
東京スカパラダイスオーケストラもカバーを発表して、ライブの定番曲となっている。
この曲をライブで聴いて、盛り上がらない訳がないのだ。
・vs. ~知覚と快楽の螺旋~
2007年に発売された"ガリレオ オリジナル・サウンドトラック"に収録された曲だ。
俳優、シンガーソングライター、ラジオのパーソナリティ、フォトグラファーと多岐に渡り大活躍されている福山雅治さんであるが、元々はミュージシャン志望である。
中学生の頃からギターを弾き始め、バンドも行っていた。高校を卒業し、一旦は就職するも、ミュージシャンの夢が諦めきれず、単身上京し、アルバイトで生活を送るなかアミューズのオーディションに合格する。
1988年に俳優としてデビュー、1990年にシングル"追憶の雨の中"でミュージシャンとしてデビューした。
徐々に頭角を表し、1993年に出演したドラマ、シングル"MELODY"がヒットして本格的にブレイクし、以降はミュージシャンとしてミリオンセラーを連発し、大河ドラマの主演など、ミュージシャンとして俳優として大活躍を継続している。
特筆すべき点は、福山雅治さんはシンガソングライターである。
自身のヒット曲の作詞作曲を全て担っているのだ。
俳優としてトップに君臨しながら、自身の主演作の主題歌まで制作してしまう実に突出した稀有なアーティストなのだ。
この曲は自身初のインストロメンタルであるが、原作の小説を読み、その世界観を咀嚼した上で制作された。
この曲はAメロ→サビ→Bメロで構成されており、なるほど、勢いのあるカッティングから、福山さんのオルタネイトピッキングによる重厚なメロディラインを持つAメロを通して、一気に加速し、爽快感を伴い突き上がるサビ、そして謎めいた雰囲気を持つBメロへと展開するが、実に緩急自在で、まるで物語の様であり、福山さんのセンスには脱帽なのである。
・BLOW UP
1995年に武田真治さんが、ミュージシャンとして発表したファーストシングルだ。
武田真治さんは幼少期からチェッカーズのファンであり、チェッカーズのサックスを担当していた藤井尚之さんの影響で中学生の頃サックスを手に入れ、練習を重ね、将来の夢はプロのサックスプレイヤーだったのだ。
武田真治さんが芸能界に入るきっかけとなったオーディションでもサックスを披露してグランプリを受賞する。
そして、チェッカーズが解散した後に、チェッカーズのリーダーでギタリストの武内享さんがプロデュースをしてミュージシャンとしてデビューをするに至ったのだ。
この曲の作曲は武内享さんで、アレンジは武田さんと享さんが共同でクレジットされる。
曲はファンク、アシッドジャズ、ハウスを融合し、ほんのりジャズも香る重厚感に溢れるインストロメンタルだ。
ちなみにホーンも豪華で、この曲を盛り上げているが、なんとホーンは東京スカパラダイスオーケストラによるものである。
・N.
1993年に藤井尚之さんにより北野武さんの映画"教祖誕生"のサウンドトラックとして発表されたアルバムに収録された曲だ。
チェッカーズ解散後に初めて自身の名義で全ての曲をセルフプロデュースし、単にアルバムとしても実に素敵なアルバムで、その中の代表曲である。
切なさと色気と華やかさを持ち合わせ3拍子の異国情緒も感じさせる演奏に合わせて、舞い踊る様に奏でられるソプラノサックス。実に切なく激しく、言葉は無くとも心に刺さる。インストの大名曲だ。
結果的に、藤井尚之さんのインストロメンタルにおける代表作になった。
・Energy flow(ウラBTTB)
1999年に坂本龍一さんが発表したシングル"ウラBTTB"に収録されたオープニングを飾った曲だ。しかしこのシングルである"ウラBTTB"というシングルには"ウラBTTB"という曲は存在せず、1998年に発表したアルバム"BTTB"のスピンオフ的な位置付けである。
しかし、結果的に収録されている"Energy flow"が大ヒットする事により、"Energy flow(ウラBTTB)"とクレジットされる事にもなった。
更に2002年に"BTTB"がインターナショナルで発売された際に、この"Energy flow"がオープニングを飾る事となった。
元々、この"Energy flow"はCMの為に制作された為に30秒位の一部しかなかったが、CMにて曲が大評判をよび、残りのパートは、慌てて後に制作された。結果的にこの”Energy flow"は日本初のインストメンタル曲としてオリコン1位となり、実に180万のミリオンセールスを記録し、日本の音楽史におけるインストロメンタルの代表曲として名を刻むことになるのだ。
"戦場のメリークリスマス”にて英国アカデミー賞、”ラストエンペラー”で日本人唯一のアカデミー賞を受賞した、世界に名を知られるピアニストの坂本龍一が、当時の日本における音楽のチャートに対して一種の憂いみたいなものを感じて、このピアノのみの楽曲で、ピアノだけでこれだけ人の胸を打つ曲が作れるんだ、と一石を投じた。
…と言いたいところだが、本人は5分程で制作された曲がこんなにヒットしたか全く解らなかった、とのことだ。
(後期)
様々な角度から、日本におけるインストロメンタルを10選してみた。
洋楽編に比べると、少々難儀であったが筆者の勉強不足だろう。
まだまだ日本にも、イカしたインストロメンタルがあるはずだ。
更に楽しく勉強していく。
読んでくださった方々へ
ありがとうございました。