勝手に10選〜タイトルに数字が入るイカした曲〜(邦楽編 後編)
(前記)
張り切って後編に移る。
・1000のバイオリン
1993年にザ・ブルーハーツのシングルとして発表された曲だ。
作詞作曲は真島昌利さんによる。
実に清々しい疾走感に溢れるロックンロールである。
タイトな演奏と、実に美しいメロディライン、素敵な歌詞がストレートに心に刺さる素晴らしいロックンロールだ。
1000のバイオリン、ヒマラヤほどの消しゴム1つ、ミサイルほどのペン、なんと壮大な気持ちの良いメタファーだろうか。
生きて行く上で、どうにも避ける事の出来ない、ついてまわる弊害みたいな事柄がどうしても起こる。
そんな事柄がある中でも、この様なスケールの大きなメタファーを心に持って楽しんで行く、というポジティブな歌詞である。
ブルーハーツの歌詞は常に前向きである。
時にストレートにキャッチーなワードを用い、時にメタファーを用いて抽象的な歌詞を素敵なロックンロールに乗せて歌う。
イノセンスに愛や夢や平和を歌う。
結果的に、聴く者に対して、聴く者それぞれに曲の意味だったり、形を変幻自在に変えて舞い降り、人々の心に突き刺さるのだ。
甲本ヒロトさんと真島昌利さんは、バンドが変わると以前のバンドの曲は歌わない。
しかし、ブルーハーツの楽曲は確実に歌い継がれているのは、その様な理由ではないだろうか。
疾走感とストレートで重厚感を兼ね備え、少し切なさをトッピングした実にイカした素晴らしいロックンロールである。
・15才
1995年にブランキー・ジェット・シティにより発表されたアルバム"SKUNK"に収録された曲だ。
スリーピースならではのタイトでミニマムな演奏ながら実に美しく清々しい、実に心地の良いミディアムテンポのバラードである。
ブランキー・ジェット・シティの楽曲の持つレンジは実に幅が広く、ラウドなロックやロカビリーの香りがプンプンとするロックンロールから、聴く者を魅了してやまない美しいバラードまで、様々な世界観、独創性に満ちた楽曲を送り出しているが、浅井健一さん(以下:ベンジー)による楽曲や歌詞、3人のグルーヴに絶対的な揺るぎない芯の様なものがあるのだ。
この曲は楽曲自体の素晴らしさは勿論、歌詞の幻想的な美しさが肝であろう。
15才の少女が家出するところから曲が始まるが、その後は一人称、二人称、三人称を見事に使用し、まるで夢の中に招待された様な、個人的な見解として村上春樹さんの小説に通ずる世界観を感じる。
最終的に誰もがイノセントな子供、15才を経ている事に帰結されるが、その過程には散文的なメタファーでしか表せない事項が各々の15才にはあったのだ。
ただ、ひたすらにベンジーの綴る世界観に身を委ねると、実に心地の良いバラードである。
・LOVE2000
2000年にhitomiさんのシングルとして発表された曲だ。
hitomiさんは、中学3年生の時にホリプロタレントスカウトキャラバンをきっかけに芸能活動を歌手としてではなく、タレントとして行っていたが、小室哲哉さんに見出され、歌手としての活動を始めるに至る。
しかし、幼少期の頃からの夢は歌手であり、氷室京介さんをリスペクトしており、小室哲哉さんと会った際には小室哲哉さん率いるTM NETWORKの事も頭に無かった、という。
歌手になれる手段を模索しており、それがたまたま小室哲哉さんだった、という根っからの歌手志望であり、デビューから作詞も担当している。
そして、いわゆる小室ファミリーから離れた後に発表されたのが本曲である。
筆者は当時、その呼び名もどうかと思うが小室ファミリーの人々の音楽には疎かったので、hitomiさんのアーティストとしての過程を知らずに本曲を初めて聴いた時に、その素晴らしいロックにかなり驚いたものだ。
疾走感と駆け抜ける高揚感が堪らなく気持ちの良いロックだ。
イントロにおけるミディアムテンポのギターリフを経てサビから曲が始まるが実に清々しい素晴らしいメロディと勢いを持つ。
曲の構成はAメロ、Bメロ、サビと王道であり、各々の役割を見事に全うして、サビの輝きが実に堪らない、ストレートで実に気持ちの良い曲なのだ。
歌詞も実に素晴らしい。
日常生活の中、自問自答し、愛を探し、葛藤があり、そして曲のラストのフレーズで、全ての答えが解る、全てが帰結する歌詞が、実に素晴らしい。
是非聴いて頂いてラストのフレーズに痺れて頂きたい名曲だ。
・One Night Carnival
2002年に氣志團のデビューシングルとして発表された楽曲だ。
筆者は最初に雑誌か何かで氣志團というバンドを見たのが最初の記憶があると思われるが、長ラン、ボンタン、リーゼントにサングラスの野郎達。
果たして、これは本気なのか、どんな音楽を奏でるのか全く想像もつかず、人知れずビジュアルに圧倒され興味を持ち、CDを手に取ったのだ。それが本曲である。
ガラスの割れる音から曲が始まり、イントロのギターリフがイカしており、良い予感しか感じない。
俺んとこ、来ないか?、という綾小路 翔さんのセリフと共に前奏に突入するが、実に粋なギターリフとダンサンブルかつ重厚感を伴ったロックの融合が見事である。
Aメロは前奏の勢いをそのままにメロディラインに実にイカしてセリフを交えるフレーズも素晴らしい。
BメロはAメロの勢いをそのままにサビへのしっかりとした助走となり、重厚感が堪らない。
サビに入ると、実に突き抜けるメロディラインが心地よい。切なさを少しトッピングした様な素晴らしいメロディラインがハートに刺さりまくるのだ。見事なサビであり、実に気持ち良く気分が高揚する。
歌詞は多少パロディも取り入れつつ、ストレートに軽やかかつキャッチーで胸にすっと入って来てハートを鷲掴みにされる心地よさが堪らず、これまた素晴らしい。
MVは曲を知った後に観たのだが、振り付けや氣志團の世界観が、あまりに素晴らしく何回も繰り返し観たのが懐かしい。
堪らなく気分が高揚して、楽しく、気持ち良い実にイカしたロックなのだ。
・The Galaxy Express 999
1979年にゴダイゴによってシングルとして発表された曲だ。劇場版"銀河鉄道999"の主題歌である。
筆者が、もし仮に人生で好きな曲を10曲挙げる機会があるとすれば、真っ先にこの曲はランクインさせる。
"銀河鉄道999"の作者である松本零士先生は、最初ゴダイゴによる主題歌に違和感を感じていた。元々、松本先生はクラシックを好んでいたのだ。
しかし、作中で主人公の鉄郎とメーテルが別れるシーンで、松本先生がこの曲が流れてくるのを聴くと、鉄郎はこの先、未来も大丈夫だ、と安心した、という。
実の作者に、BGMとして流れてきた曲に、自身が生んだキャラクターの未来に安堵を感じた、という、実に興味深いエピソードである。
この曲に実に相応しい逸話だ。
疾走感に溢れ、999が宇宙に向かって飛び立つ様な突き抜けるメロディが遺憾無く発揮された素晴らしい大名曲だ。
曲の構成として、Aメロ、Bメロ、サビからなるシンプルな構成だが、Aメロは突き抜ける助走、Bメロで少しの不安と思い出への未練を振り切ってサビへの架け橋となり、サビにて最高潮に突き抜ける構成が堪らない。
疾走感と重厚感、どこまでも突き抜ける高揚感に身を委ねたくなる。
いつまでも、自身の中で輝き続ける大名曲なのだ。
(後記)
この様に自身の中でカテゴライズして曲をピックアップする作業は、曲に対しても新鮮感が生まれ面白い。
また、色々と着眼点を変えて、勝手に10選して行く次第だ。
読んでくださった方々へ
ありがとうございました。
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