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動物たちの幸せのために~アニマルウェルフェア

『アニマルウェルフェア』
直訳すれば動物の幸福、農林水産省のホームページでは「動物の生活とその死に関わる環境と関連する動物の身体的・心的状態」とありました。

私が確か小学校入学前だったと思いますが、飼っていた犬が誤って農薬を食べ、死んでしまいました。かわいがっていただけに、突然の別れをとても悲しんだ記憶が今も鮮明に残っています。そのことがトラウマになったわけではありませんが、その後は生き物を家族にすることなく、これまできました。

熊本市長になり、市動物愛護センターの職員さんたちが、保護した犬猫の『殺処分ゼロ』に取り組んでいることを知りました。今でこそ、ほとんどの自治体の動物の保護に係る組織の名称には『愛護』がつくようになりましたが、以前は『管理』が主流で、保護した犬猫が収容能力を超えれば、当たり前のように殺処分されていました。

そのことに疑問を感じた職員さんたちが、飼い主の終生飼養を徹底し、やむを得ない場合は新たな飼い主を探す取り組みを始めました。熊本市がモデルケースとなり、現在では全国に広がったものです。その最終目的は「殺処分を無くす」のではなく、「命を大切にしよう!」―その崇高な取り組みに感心したものです。

『アニマルウェルフェア』に関して採卵鶏・卵のことが紹介されていました。身動きの取れない狭いケージで機械的に卵を産ませるのではなく、羽を広げたり砂浴びのできるような環境で卵を産ませる。その卵は結果的に人間の健康にも良い影響を及ぼすことにつながるといいます。

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ただし、「コストが高くなること」と、日本には生食文化があるため「サルモネラ菌感染リスクが高まること」などの課題があるそうです。現在の『飽食の時代』では、採卵鶏に限らず、あらゆる家畜の飼育において、生産量を上げることが優先されてきました。ただ『アニマルウェルフェア』の理念は、法制化やガイドラインの制定など、欧州に端を発し、米国、東南アジア等、世界中にかなりのスピードで浸透しつつあり、昨今のSDGSが後押しにもなっています。日本では、農林水産省が策定したガイドラインを生産者に推奨するなどしていますが、その動きはかなり鈍いようです。

最近、我が家では、自動販売機で少々値の張る生みたて卵を買うようになりました。少し遅い時間に行くと売り切れていることもあります。意識が少しずつ変わってきているのかもしれませんね。

そんなことを考えていたら、県内で鳥インフルエンザ疑いが発見され、多くの鶏が殺処分されているようです。蔓延防止のためにはやむを得ない措置であることは理解しながらも、一度に多くの命が失われていることに、胸の痛みを禁じえません。『アニマルウェルフェア』は防疫にもつながります。意識だけでなく、システムとしての変革が求められているのだと強く感じました。

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