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岸田政権も変わらず~国の思考停止

「相変わらず何も答えてないじゃないか」

『内密出産』に関する国会答弁の様子を見て、思わずそう叫びたくなりました。『言語明瞭、意味不明』とまでは言わないものの、政治家が聞かれたことに対して答えをはぐらかすのは、決して珍しいことではありません。それでは、なぜはぐらかすのか?――『答えられない』のか『答えたくない』のか、そのどちらかだと類推しますが、岸田首相の場合はどちらだったのでしょうね。

『内密出産』については、これまでもこのnoteで何度か触れてきました。『こうのとりのゆりかご』の重要な課題の一つである『出自を知る権利』を守ることにもつながると、『ゆりかご』検証委員会の提言にも盛り込まれていたものです。『ゆりかご』はドイツに習いスタートしたもので、そのドイツでは『内密出産』が2014年に法制化されています。一方、なかなか進展しない国内の動きにしびれを切らしたかのように、『ゆりかご』を運営する医療法人が2019年に独自で内密出産制度を導入すると宣言。そして先日、10代の女性が身元を明かさずに出産する『内密出産』を行ったことが発表されました。

そんな中、昨日、国会でこの問題がとりあげられました。国民民主党の玉木代表が岸田首相に対して「刑法上の違法性も指摘されている内密出産については、違法とならない条件を通達するか、法制化すべきではないか」と質したのに対し、「一般論として子どもの『出自を知る権利』をどう考えるのか、未成年が『内密出産』を希望する支援のあり方などの課題がある」「違法性については、児童福祉法や医師法など厚労省所管法令には、ただちに違反すると考えられる点はないが、その他刑法上の犯罪にあたるかどうかは捜査機関により収集された証拠に基づき、個別に判断されるべき事柄であると考える」と答えています。

一般論に終始し、明確に答えることを避けてきた国のその姿勢は、この15年間、全くと言っていいほど変わっていません。2007年『ゆりかご』を許可するかどうかの際も、国は「設置すること自体に違法性はない」と繰り返すのみ。その後、運用が始まった『ゆりかご』の検証に関わることを求めても同席することすら拒み続け、そして『ゆりかご』の持つ課題から考えられた『内密出産』についても、先述のように一般論に終始しています。この間、いわゆる『思考停止状態』が続いているわけですが、その根本的な原因を明らかにしなければ事態は何も変わらないのでしょうね。思考停止しようがすまいが、15年の歳月は流れ、ゆりかごに預けられた子どもや内密出産によって産まれた子どもは成長し、これからも成長を続けます。

冒頭の問いに戻れば、この15年間に『ゆりかご』で積み上げられてきたことを踏まえれば『答えられない』ことはないはずです。もし『答えたくない』のであるならば、子どもたちを前に、これ以上の単なる責任回避や先送りは許されるものではない、私はそう考えます。皆さんは、どう思われますか?

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