『ケアリーバー』をどう支える?~改正児童福祉法
6月8日の参議院本会議で改正児童福祉法が可決成立したことにより、児童養護施設や里親家庭で育つ若者の自立支援に関して、原則18 歳(最長22歳)までとなっている年齢上限が撤廃されることになりました。支援を年齢で一律に制限することをやめ、施設や自治体が自立可能と判断した時期まで継続できるようになります。
https://news.yahoo.co.jp/articles/4e6a630c055e68de677a7b7152e68a85ec178408
施設や里親の保護を離れた人を『ケアリーバー』と呼ぶそうです。私は、そんなケアリーバー達を支援するNPO法人のボランティアスタッフとして、今年から活動を始めています。ケアリーバー個々の自立支援や自立セミナー、生活相談、居場所事業などといった事業に加えて、今年度からインターンシップ事業を始めることとなり、私は主にそちらを担当することになりました。今日はある企業を訪問し、概要説明とともに、受け入れ先となっていただくようにお願いをしてきました。社会貢献活動に積極的に取り組む企業でしたので、前向きに検討していただくことに。夏休み期間中の事業実施に向けて、ある程度は目処がついてきました。
自立して間もないケアリーバーたちが、離職・退学を機にあっという間に孤立するという例は少なくありません。私が活動しているNPO法人の調査資料によれば、高校卒業後、約3年後の離職率は、全国平均の39.5%に対してケアリーバーは67.5%、かなりの開きがあります。インターンシップの目的は、できるだけ早い段階で社会性や職業観を身につけてもらうことで、離職を防ぎ定着率を高めようとするものです。色んな事情を理解してもらう必要があるだけに、受け入れ先も私たちも慎重に話し合います。せっかくの経験が、マイナスになってしまっては元も子もありませんから。
それでも色んな事情でケアリーバーとなってしまう人たちはいます。「実家」というセーフティーネットが無いことから、その後の支援が重要になるため、冒頭に紹介した法改正は、とても意味のあることだと思っています。ただし、受け皿がなければ、まさに『絵に描いた餅』。法改正に伴い、相談・支援体制の充実を唱ってはいるものの、一朝一夕できるものでもありません。現在の活動が、これまで以上に責任が重くなることを実感しています。
『こうのとりのゆりかご』の存在が、現在の活動につながっています。ゆりかごがつないだ命のバトンをほんの僅かでも受け継ぐために、ゆりかごが照らしてくれている社会的養護の現状を少しでもよくするために、私にできることは何でもやろうと考えています。
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