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あなたは人を殴ったことがありますか?

あなたは人を殴ったことがありますか?
もしくは、殴りたいという衝動に駆られたことはありますか?

殴った人は、その後の気持ちはどうでしたか?

スカッとした。
余計に怒りが増した。
嫌な気持ちになった。

あなたは人から殴られたことはありますか?
殴られたときはどんな気持ちでしたか?

頭にきて殴り返した。
びっくりした。
悲しくなった。
泣けてきた。

人は感情の生き物といわれます。喜怒哀楽の中でも、怒りの感情がコントロールできなくなり「思わず手を出した」なんて経験もあるかもしれません。

私だって、もちろん怒ったり、喧嘩をしたことはあります。どちらかといえば短気な性格ですから。でも相手を殴ったことはありません。

確か中学生だったと思いますが、友だちと、最初はふざけあっていたのが、次第にエスカレートして、つかみ合いの喧嘩になったことがありました。私の方が少しばかり上背があり、体力的にも勝っていたので、相手を床の上に押し倒し、馬乗りの形になりました。目の前には、相手の顔があり、殴ろうと思えば殴れたのですが、どうしてもできない。相手からは「殴ってみろ」と挑発されもしましたが、やはりできませんでした。
当時「自分は、なんて情けないやつだ」と自己嫌悪に陥ったことを記憶しています。

なぜ、こんな話をするかというと、アカデミー賞でのウィル・ スミスの行為について考えたからです。
妻が公然と侮辱されたと激怒したスミスが、プレゼンターのクリス・ロックに近付き、いきなり平手打ちをした。自席に戻ったあとも、クリスに対して暴言を吐き続けた。
このセンセーショナルなニュースは、皆さんもご存知ですよね。

スミスの暴力的な行為は決して許されないとする一方、妻の名誉を守ろうとしたと理解を示す意見もあります。結果的に、スミスが全面的に謝罪し、アカデミー賞の会員を自ら辞退、スミスの10年間の授賞式への出席を禁止することが公表されました。
暴力はいけないと思いつつ、正直言って複雑な気持ちでいます。

現在ウクライナで起きていることは究極の暴力です。暴力を振るうまでにいろんな葛藤があるはずですが、戦争に至るまでに、武力の行使以外の解決手段は尽くされたのか、思いとどまることはできなかったのか、今さらながらそう思ってしまいます。
戦争とは、 一人の権力者の衝動的な判断から始まることがあれば、計算され尽くした上で行動に移ることもあるのかもしれませんが、どちらであっても許されるものではありません。

そう考えればスミスの行為も決して許されるものではない、という結論に至ります。

でもスミスは非を認め謝罪しています。

戦争は人が始めたもの。終わらせるのも人です。正義を振りかざすだけでなく、欲望に流されるでもなく、一旦立ち止まり、自らの非を認めることができるのか、あるいはそれを許す寛容さを持てるのか。「終わりの見えない戦争を終わらせるため、人類の本質的な部分が問われている」—私は、そう思います。

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