動き出すか!?内密出産制度
明日2月25日、慈恵病院の蓮田院長が、参院予算委員会に参考人招致されることが報じられていました。内密出産制度の法整備を訴えられるようです。これまでなかなか動かなかった国や国会がこれを機に変わるのか、注目したいと思います。
その報道を見て『菊田事件』を思い出しました。宮城県の産婦人科医が、中絶手術を求める女性を説得して思いとどまらせ、生まれてきた赤ちゃんを養子を望む夫婦に無報酬であっせん。その際、偽の出生証明書を作成することで、実親の戸籍には出生の記録が残らず、養子であるとの記載も残らないことから、誰にも知られることなく養親がその子を実子として育てることを可能にしたのです。その数は100人を超えるといわれていました。
新聞報道を通してその事実が明らかになり、その医師は国会に呼ばれることになります。そして、赤ちゃんあっせんについての法整備を国会議員に訴えました。国会では概ね好意的に受け止められたものの、他の産婦人科医から医師法違反で告発され、医療停止の行政処分を受け、最高裁でも確定しています。
菊田事件の10年程前から特別養子縁組制度の法制化は検討されてきたものの、店晒し状態が続き、事件を契機に本格的な議論がようやく始まりました。新聞報道を通して世に知られるようになったのが1973年、特別養子縁組制度の法案が可決したのが1987年。検討開始以降、20年以上もの歳月が流れました。
この動きを知れば知るほど、まるで当時にタイムスリップしたかのよう感覚を覚えます。歴史は繰り返すことを痛感しました。
なぜ日本ではこのような制度の見直しに時間がかかるのでしょう?
なぜ何か事件でも起きない限り真剣に向き合おうとしないのか?
蓮田院長が少し前に、なかなか動こうとしない国に業を煮やし「自分が捕まった方がいいのかな」と語られたようですが、まさに言い当てているのかもしれません。
こうのとりのゆりかごの構想が明らかになったのが2006年、運用開始が2007年。現在の内密出産に至るまで、国は基本的に関わらない姿勢を貫いてきました。明日の参考人招致で動き出すきっかけになるのでしょうか。それとも……
一言一句に注目しておきます。