秀岳館高校サッカー部暴行事件のお粗末
娘が「秀岳館高校は大丈夫ー?」、と聞いてきました。サッカー部のコーチが部員に暴力行為を働き、その動画がネット上で流れたことくらいは知っていました。スポーツに力を入れている学校では時々聞く話なので、「またか」とあまり気にもとめていませんでしたが、「娘が心配するくらい大事になっているのだろうか」と思い、少し経緯を調べてみることに。
●4月20日頃、男性コーチがサッカー部員を暴行している動画がネット上に投稿されたと、メディアが報じ、学校への批判が殺到。
●その後、サッカー部の公式Twitterに、部員11人が顔と実名を明かして騒動を釈明、謝罪する動画が投稿された。被害者である部員を問題の矢面に立たせる対応は、さらなる批判を呼び、謝罪動画は削除された。
●サッカー部の監督は当初、「動画は部員のみで撮影され、投稿後に事実を把握した」と地元紙の取材に説明。
●学校側の説明によると、部員4人と監督が4月21日夜に話し合い、対策として動画を撮影・投稿する案が出て、監督が他の部員にも協力を呼びかけ、撮影役の部員を含めて12人で動画撮影に臨んだ。監督は、撮影方法や内容について「4人ではなく、みんなで出たほうがいい」「こういうポイントで撮りなさい」などと部員に伝えたという。
●さらに監督は「悪いことをしているわけではないから、マスクもとって、名前も言った方がいい」と動画の撮り直しを指示。その内容を確認し、サッカー部の公式SNSで投稿することを部員に許可した。
●学校側は、複数の部員からこうした証言があったと説明。「(最初の)話し合い自体は生徒側からの申し出だったと認識している」と述べている。
●記者会見には監督も出席。記者からは、動画撮影のポイントや顔と名前を出すよう伝えた経緯や理由についての質問が相次いだ。これに対して監督は「話し合いの中でそういうことが出てきたので、賛同しました」などと、繰り返し説明。
●動画の存在を投稿後に知ったと説明していた意図を問われると「生徒から(話し合い)の申し出があったので、僕があらかじめ知っていたとなったらいけないと思って、そう回答しました」などと釈明。「(部員を)尊重してきたということが全てで、隠したわけでありません。結果こうなったことをお詫びします」と陳謝。
●教頭は、監督の対応について問われ、「生徒が動画に顔を出して自分の名前を名乗ったり、殴られた側の被害者生徒が謝罪することは、あってはならない」と述べる。
●学校側は、問題を受けて実施した全生徒対象のアンケート調査の結果、サッカー部に関する暴力行為の報告が38件あったことも明かす。そのうち、書類送検された30代の男性コーチに関する報告が24件。複数の生徒に対する暴力行為の報告だったという。生徒間での暴力行為の報告も13件あったと説明。
●学校側は、生徒のプライバシーを理由に具体的な内容は明かさなかった。
●学校側は、暴行事件を起こしたコーチについて、刑事処分を待って対応を検討するという。
ざっと、こんなところでした。
皆さんはどのように受け止められましたか?
途中、監督は『スッキリ』という情報番組に生出演し、事実とは異なる説明をしています。またTwitterでは、(動画を投稿した生徒は)『加害者』であり、監督自身は『一番の被害者』と語る音声も拡散されています。
はっきり言って呆れました。暴力行為自体、決して許されるものではありませんが、その後の対応があまりにもお粗末。生徒たちに謝罪の動画を許可しただけでなく、監督自身が暴行動画を流された被害者であると捉え、生徒に指導までしていた事実。そして、その全てを覆い隠そうとしたことに加え、さらに数多くの校内暴力行為が明らかになったことなどが、それを物語っています。
ここまでくると、監督やコーチ個人の問題ではなく、学校全体の組織の体質やコンプライアンスの問題となっています。日大アメフト部の事件を想起しました。現状では、記者会見や保護者会等での発言が全く信じられないものとなっています。
熊本県内では、熊本市以外の私立高校はどこも経営が厳しいと言われる中、県南における同校の存在はとても大きいものがあります。だからこそ、今回の一連の対応は残念でなりません。信頼回復は急務ですが、その前に真実を明らかにすることが大前提です。自浄作用が機能するのか、全国が注目しています。私もしばらくは成り行きを厳しく注視するつもりです。
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