地方路線を守るのは誰なのか
2020年7月の豪雨で被災し、現在も八代ー吉松間で不通となっているJR肥薩線の復旧費が、JR九州の試算によると約230億円であることが明らかになりました。これから国や県、沿線自治体、JR九州等により、復旧方法や費用負担の検討が始まることになります。
https://note.com/s_kohyama/n/n1d90dc18943a (何も終わっていないし、何も始まっていない〜球磨川流域の復興)
同じJR九州管内には、北九州市小倉南区の城野駅と大分県日田市の夜明駅とを結ぶ日田彦山線という路線があり、2017年の豪雨で添田駅ー夜明駅間が被災。当初は鉄道での復旧を目指したものの、約70億円の復旧事業費の捻出や、被災前から年間2億6千万円程度の赤字路線で、復旧後の運行の見通しが立たなかったこともあり、鉄道の敷地をバス専用道化するBRTでの復旧が決まりました。2023年秋には復旧工事が完了予定とのこと。
一方、新潟県と福島県を結び、只見川沿いを走るJR只見線。残念ながら乗ったことはありませんが、車窓からの新緑や紅葉、雪景色などは絶景だと聞いています。そのJR只見線も2011年の7月豪雨で甚大な被害を受けました。鉄道の存続か代替案か、激しい議論の末、上下分離方式を採用し、鉄道で復旧させる方針が決まりました。復旧費用は約81億円、今年の秋には運行が再開される予定です。
簡単にまとめてみましたが、これらと比較しただけでも、今後のJR肥薩線の復旧がいかに難しいかがわかります。上下分離方式を採用し、鉄道での復旧の道を選んだ只見線。苦渋の決断だったとは思いますが、BRTによる復旧を選んだ日田彦山線。もちろん、どちらかが正解で、どちらかは不正解というものではありません。鉄道での復旧を選んだ只見線は、復旧費だけではなく、これから毎年生じる赤字を地元が背負って行くことになります。BRTを選んだ日田彦山線もこれで安泰と言いきれるわけではありません。
これまで公共交通に関しては何度か取り上げてきましたが、地方路線を守るのは誰なのか、国鉄の分割民営化を押し進めた国も交えて、本質的な議論をやらなければならない時期にきています。もちろん、地元は、ただ国やJRにお願いするだけでは、復旧は出来たとしても、将来を見通すことなどできません。鉄道再生のカギを私たちの手に取り戻す時がきたようです。
https://note.com/s_kohyama/n/n84547ead8bed (鉄道再生のカギは誰の手に)