選挙後の関心、政策チェックが熊本を変える
「あなたはなぜ選挙に行かないのですか?」
先週末、5月30日に行われた熊本県議会議員の熊本市1区補欠選挙では、投票率が20%に達せず、熊本市で実施された各種選挙で過去最低の18.57%を記録しました。なんと5人に1人も投票していないことになります。冒頭の問いを誰かに投げかければ、「なぜ行かなければならないのですか!」と、激しい逆質問を受けそうな空気感が漂っていました。それほど今回の選挙は関心が低いというより、誰も興味がなかったように感じたものです。
政治は、私たちの日々の暮らしや地域の諸問題、経済、地域の将来にも深く関わっています。それは国であれ、都道府県であれ、市区町村であれ、役割や程度は違えども基本的には同じだと、子どもの頃から授業で教わってきました。
それでも、なぜ選挙に行かないのか?
現状に満足しているから?
誰がやっても同じと、はなから当てにしてないから?
誰も意中の人がおらず、選びようもないから?
全くもって、関心も興味もないから?
物価高騰やコロナ対応、広がる格差、先行きの不安も含めれば、「現状に満足」というよりも、「選びようがない」と感じている人の方が圧倒的に多いように思います。
「選びようがない」という人で、「政策がわからない」「違いが見えない」等の理由を聞くことがよくあります。以前に比べれば、SNS等を通じて、候補者の情報は量的には格段に増えました。もちろん候補者自身が発信するものには、演出がかったものも多く、逆に相手を意図的に陥れようとするものもありますので、その点は差っ引いて判断材料としなければいけません。
「選びようがない」人にとってもう一つの問題は政党。私は、地方の政治においては、国政政党の枠組みに当てはめられる必要はないという立場でいます。地方の選挙では無所属で戦う候補者が多いのですが、実際にはほとんどの候補者に何らかの政党色が着いています。その上、国政においては『一強多弱』の状態が長く続いているので、『一強』以外を支持する人の行き場が失われています。
以前と比較して感じるもう一つの違いは、政治、特に選挙をタブー視する風潮が強まったということ。これも長く続く『一強他弱』の影響かもしれないと思っています。「何かおかしい」「問題だ」と思っても、現状ではなかなか声を上げにくく、「関わらない方が利口」との判断が働く傾向にあります。
などと、悲観的なことを列挙しましたが、決して諦めるものではありません。
低投票率の選挙でも、候補者はそれぞれ必死だったはずです。数少ない投票した人たちも、何らかの期待を込めて1票を投じたのでしょう。低投票率が問題視されますが、無投票よりマシであり、立候補を決意した勇気は讃えた方がよい。候補者はなぜ必死だったのか、選挙で何を訴えたかったのか、何かが変わるのか、何も変わらないのか、当落に関係なく、選挙後も候補者に問い続けることも意味のあることではないでしょうか。
補欠選挙では1億数千万円の費用がかかったといわれています。「全くもって無駄」と一刀両断するのは簡単ですが、選挙が終わった後も、関心を持って政治をチェックすることで、かかった費用分の価値を見出してみませんか。
やはり、私たちの意思を反映する貴重な機会であることに、違いはありませんから。