政治家を志す覚悟を問う
皆さんは相談ごとにはどのように対処されていますか。相談者の人生を左右するような深刻な内容については、どうしても答えは慎重になりますよね。
私の場合は、これまでの経験から、「選挙に出たいのですが、どうしたらいいですか?」という相談がときどき舞い込んできます。「選挙に出たい」ということは、「政治家になりたい」という方がほとんどです。中には「一度でいいから選挙を経験してみたい」という『ツワモノ』もおられます(笑)
そんな方を除いて、私が真っ先に尋ねるのは「何がやりたいんですか?」。『動機』というか、『目的』が何なのかを探ります。ただ、政策や政治的理念を知りたいわけではありません。例えば「とにかく一度でいいからやってみたい」や「現在の政治家ではだめだ。何ができるかわからないけど、自分が代わる」でもいいし、もちろん「〇〇という政策を実現したい」でも構いません。
その上であらためて「なぜ出ようと思ったのか?」と尋ねます。今度は『きっかけ』を知るためです。そこで「〇〇さんに薦められたから」や「〇〇会社が全面的にバックアップすると約束してくれたから」と返って来たときには、「ちょっと待った!」と声をあげるようにしています。
というのも、当たり前なのですが、選挙で100%当選する保証はありません。薦める人の中には「純粋に政治を良くして欲しい」と託そうとする人がいれば、何らかの『計算』か『思惑』で薦める人もいます。おそらく後者の方が圧倒的に多いでしょう。その『計算』や『思惑』も、個人的な利害に絡むものがあれば、社会課題の解決や、腐敗した政治の浄化を求めるものなど、さまざまです。そこの見極めは自分でやるしかありません。
私が確認したいのは、人から薦められたのが『きっかけ』であったとしても、自分自身の覚悟は固まっているのかという点です。というのも、先述の通り100%の保証の無い選挙に出て、仮に落選したとき、その覚悟が無ければ、自分の実力は棚に上げて他人のせいにしたがるものです。そして「やらなければよかった」と後悔することになります。そして政治家のなり手がますます減るという悪循環に。
政治家のなり手不足は深刻です。選択肢の少ない選挙はまだしも、無投票当選も珍しくありません。そんな中に「選挙に出たい」という人はとても貴重で、思いっ切り背中を押してあげたいと思う反面、当落に関係なく人生の転機であることは間違いなく、ましてや政治は社会に一定の影響を与えることになりますから、『動機』と『きっかけ』だけはしつこく確認するようにしています。その上で、相談に来られた方に、冷静に考える時間を取ってもらうようにしています。
もっとも困る質問は「どうしたら当選できますか?」
そんなことがわかっていれば、私自身も含めて苦労はしません(笑)
選挙に当選するためのテクニックが知りたいのであれば、組織票を持っている有力者やその筋のコンサルタントに、お願いなり尋ねに行ったほうが早いのでしょうね。まあ、そんな方は、私のところには来られませんが。
「選挙って何のためにあるの」「そもそも政治って何なの」「政治にできることは」そんな禅問答のようで青臭い議論をやりたい方は、どうぞ遠慮なく訪ねて来てください!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?