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市民のための魅力創造が観光訴求に

子どもの日、空には少し雲が広がりましたが、汗ばむくらいの陽気で、観光地はどこも賑わっていたようです。観光というわけではありませんが、私は久しぶりに熊本城の二の丸公園に足を運びました。コロナ以前、熊本地震以前のこの時期の熊本城は、観光客で賑わっていて、周囲の道路は駐車場待ちの観光バスや自家用車ではかなり混雑していました。それに比べれば、今日はほとんど渋滞もなく、駐車場も待つことなく入庫できました。

熊本城は1607年に加藤清正公により築城され、西南戦争開戦直前に天守や本丸御殿一帯が焼失しています。1960年には大小天守が再建され、2007年の築城400年に向けた復元事業も進められました。2008年、復元の目玉ともいわれた本丸御殿大広間が完成した際には、入場を待つ人たちで長い行列ができました。その当時に比べれば、少し寂しい感じであることは否めませんが、熊本城内の二の丸公園は市民の憩いの場として親しまれてきました。

今は完成した天守の復旧工事の様子です



そこは観光地というよりも、ジョギングやバドミントン、フリスビーなどで身体を動かしたり、ミニテントやブルーシートを広げてランチしたり寝そべったり、小さな子どもが自転車の練習をしたり、伝統文化のちょんかけごまを披露する人たちがいたりと、地元の人たちが思い思いに楽しむ空間。ゴールデンウイークとあってか、地元の皆さんの憩いの場としての当時の空間が戻ってきたような、そんな感覚を覚えたものです。

観光業は、全国的に主要な産業に位置づけられるようになりました。インバウンドを含め、目標を上回る成果が続いたのも事実です。ところが熊本の場合、2016年の熊本地震が、全国的には新型コロナウイルス感染拡大がこの状況を激変させてしまいました。アフターコロナとして、観光業を再興させようと既にさまざまな取り組みが始まっています。ワーケーション、マイクロツーリズム、オンラインツアー、バーチャル体験、グランピング、体験型ツアー、災害ボランティアツアーなどのほか、フードロス削減や自然環境配慮、モノ消費からコト消費へ等々、今後を見据えた色んなキーワードがあるようです。

もちろん、そういった新たな発想も必要でしょう。しかし、「熊本の魅力を伝えることができるのは熊本の人たち」との基本に立ち返れば、「地元の人たちが普段着で何度でも訪れたくなるような、そんな空間を大事にしていくことが、来訪者にとっても魅力的に映るのかもしれない」—二の丸公園でのんびり過ごすひと時、遠くでは復旧工事の進む熊本城を眺めながら、そんなことを考えました。


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